仕事の単身赴任や親の介護など合理的理由があれば、夫婦が別居していても配偶者ビザの取得は可能です。ただし定期的な同居実績や連絡記録など、実態ある婚姻を裏付ける証拠提出が必須となります。
本記事では認められる別居パターン、提出すべき証拠、理由書作成のコツ、更新時に注意すべきポイントを丁寧に解説するので、最後までご覧ください。
日本に住まないと配偶者ビザを取得できないのか

日本に住まないと配偶者ビザを取得できないのかという疑問は多くの申請希望者を悩ませますが、結論から言えば「合理的な別居理由」と「実質的婚姻の証拠」を示せば許可される余地があります。
また、入管の審査要領では夫婦の同居を原則としつつも、単身赴任・親の介護・海外勤務など社会通念上やむを得ない事情がある場合は例外的に認め得ると明記されています。
具体的には①過去一年程度の定期的な同居歴や渡航履歴、②毎週・毎月の通話やメッセージの記録、③共同名義口座や送金・生活費負担を示す明細、④結婚写真や家族行事への共同参加を示す画像を組み合わせ「実体的婚姻」を立証します。
さらに、別居理由の合理性を丁寧に説明する理由書と、将来的な同居計画(帰任予定日や介護終了見込み、渡航頻度など)を添付すると審査官の懸念を払拭できます。
審査期間は案件によって三〜六か月程度と幅があり、情報不足や書類の不整合があれば一年以上要する例もあるため、更新時を含め継続的に証拠を蓄積しておくことが不可欠です。
申請前に専門家へ一度相談し、証拠の過不足や翻訳・認証の要否を点検してもらうだけでも、不備補正通知を減らしリードタイムを短縮できるので有益です。
合理的な理由として別居が認められるパターンとは

配偶者ビザの取得において、夫婦が別居している場合でも合理的な理由があれば認められることがあります。
具体的には、単身赴任や親の介護、離婚調停中のケースなどが該当します。これらの状況では、夫婦の関係が実態として存在していることを証明するための証拠が重要です。
単身赴任の場合
単身赴任は、配偶者ビザの取得において合理的な理由として認められるケースの一つです。特に、仕事の都合で一時的に夫婦が別居することは、ビザ申請において一般的な状況です。この場合、配偶者が日本に住んでいないからといって、必ずしもビザが取得できないわけではありません。
ただし、単身赴任を理由に配偶者ビザを申請する際には、いくつかの重要なポイントがあります。まず、夫婦の関係が実態として存在していることを証明するために、定期的な連絡や訪問の記録を提出する必要があります。例えば、電話やメールの履歴、訪問時の写真、旅行のチケットなどが有効な証拠となります。
また、単身赴任の期間中においても、夫婦としての生活を維持していることを示すために、共同名義の口座や共有財産の存在を示す書類も役立ちます。これらの証拠をしっかりと準備することで、配偶者ビザの取得がスムーズに進む可能性が高まります。
さらに、単身赴任の理由や期間についても具体的に説明する理由書を作成することが重要です。なぜそのような状況になったのか、今後の計画はどうなっているのかを明確に記載することで、審査官に対して信頼性を高めることができます。
離婚調停や離婚裁判が途中である場合
離婚調停や離婚裁判が途中である場合でも、配偶者ビザの更新・取得が認められる余地は残ります。入管は「婚姻の実体」と「別居理由の合理性」を評価するため、調停・訴訟の正式書類を提出し、夫婦関係修復の可能性または財産分与協議中であることを説明する必要があります。
証拠として①家庭裁判所の呼出状や調停申立書②弁護士委任契約書③面会交流写真や通話履歴④生活費送金記録を揃えれば婚姻未解消と示せます。
保証人を親族に頼る場合は経緯を理由書に追記すると誤解を避けられます。調停・裁判が長期化する際は進捗を報告し、更新申請時に資料を添付すれば虚偽疑念を払拭できます。進行状況照会書を追加すれば手続き実在性が裏付けられ、疑いも低減します。
さらに、別居中でも住宅ローン返済や共通口座管理といった経済的一体性を示す資料を準備し、将来見通しを時系列で整理すれば好結果につながります。
親の介護で一時的に別居している場合
親の介護で一時的に別居している場合は、高齢社会の日本で頻出する事情として入管も合理性を認めやすい傾向にあります。
ただし、申請では介護の必要性と婚姻実体を裏付ける資料提出が不可欠です。要介護認定通知書・診断書・介護サービス契約書で「介護が不可欠」と示し、別居が一時措置であることを理由書に明記します。
そのうえで、①定期訪問の航空券や高速道路履歴②夫婦間の通話・送金記録③共同名義口座や住居維持費の明細④介護終了後の同居計画を提示し実質婚姻を証明します。介護先住居と配偶者宅双方の公共料金領収書を提出すると二重生活の実態を示せます。
さらに、親の容態急変で更新時期が重なる場合は経過報告書と医師意見書を追加し審査遅延を防止しましょう。介護方針とケアマネ連絡メモを添付し負担割合証明や介護休業給付決定通知を提出すれば負担状況を裏付け、長期化が予測される際は半年的な帰省予定表と在宅勤務許可書で再同居意向を示しましょう。
会社から転勤を求められた場合
配偶者ビザの取得において、会社からの転勤が理由で夫婦が別居するケースも認められています。特に、転勤が業務上の必要性から発生する場合、合理的な理由として評価されることが多いです。
この場合、転勤先での生活が始まるため、配偶者が日本に住んでいない状況が生じますが、ビザ申請においてはしっかりとした証拠を提出することが求められます。
まず、転勤の証明として、会社からの正式な転勤通知書や異動命令書を用意することが重要です。これにより、転勤が一時的なものであることを示すことができます。また、転勤先での生活状況を示すために、住居契約書や公共料金の請求書なども役立ちます。
さらに、定期的に連絡を取り合っていることや、訪問の記録を残しておくことも大切です。例えば、電話の通話記録やメールのやり取り、訪問時の写真などがあれば、実態のある婚姻関係を証明する材料として有効です。これらの証拠をしっかりと揃えることで、配偶者ビザの取得がスムーズに進む可能性が高まります。
別居の状態でビザ申請を行う場合の注意点

配偶者ビザの申請を別居の状態で行う際には、いくつかの重要な注意点があります。これから解説する注意点を踏まえて、正しい手順でビザ申請を行いましょう。
理由書の理由は具体的に明記する
配偶者ビザの申請において、別居の理由を記載する理由書は非常に重要な役割を果たします。特に、夫婦が別居している場合、なぜその状況が生じているのかを明確に説明することが求められます。具体的な理由を示すことで、入国管理局に対して実態のある婚姻関係を証明する手助けとなります。
まず、理由書には別居の背景や状況を詳細に記述することが必要です。例えば、単身赴任の場合は、どのような仕事のために赴任しているのか、赴任先の地域や期間、またその仕事がどれほど重要であるかを具体的に説明しましょう。
さらに、親の介護や転勤などの理由についても、具体的な事実を挙げて説明することが求められます。例えば、介護が必要な親の状況や、転勤先の会社の要求など、具体的な情報を盛り込むことで、入国管理局に対して信頼性を高めることができます。
このように、理由書は単なる形式的な文書ではなく、夫婦の関係性や状況を理解してもらうための重要なツールです。具体的な情報を盛り込み、誠実に記述することで、配偶者ビザの取得に向けた大きな一歩となるでしょう。
履歴や証拠を提出する
配偶者ビザの申請において、夫婦が別居している場合は特に、実態のある婚姻関係を証明するための履歴や証拠の提出が重要です。
まず、定期的に連絡を取り合っていることを示すために、メールやメッセージの履歴を保存しておくことが推奨されます。これにより、夫婦間のコミュニケーションが継続的に行われていることを証明できます。
また、同居していない期間中に訪問した際の旅行記録や、宿泊先の領収書、写真なども有効な証拠となります。
これらの資料は、夫婦が物理的に離れていても、精神的にはつながっていることを示すために役立ちます。特に、訪問の頻度やその際の活動内容を詳細に記録しておくことで、より説得力のある証拠を提出することができます。
さらに、夫婦の生活状況を示すために、共同名義の銀行口座や不動産の契約書、保険の受取人が配偶者であることを示す書類なども提出すると良いでしょう。
これらの証拠は、夫婦が経済的にもつながっていることを示す重要な要素となります。配偶者ビザの申請においては、これらの履歴や証拠をしっかりと準備し、提出することが成功の鍵となります。
同居の義務があることを理解しておく
配偶者ビザを取得する際には、同居の義務があることをしっかりと理解しておくことが重要です。日本の入国管理局は、配偶者ビザの申請において、実態のある婚姻関係を重視しています。そのため、夫婦が別居している場合でも、定期的に同居していることを証明する必要があります。
具体的には、配偶者ビザの申請者は、夫婦がどのようにして関係を維持しているのかを示す証拠を提出しなければなりません。
例えば、定期的な訪問や電話、メールのやり取りなど、コミュニケーションの記録が求められます。また、同居の実績がある場合は、その期間や場所についても詳細に記載することが望ましいです。
さらに、別居の理由が合理的であることを示すために、具体的な事情を理由書に明記することも大切です。単身赴任や親の介護など、社会的に認められる理由があれば、入国管理局も理解を示す可能性が高まります。しかし、これらの理由があったとしても、同居の義務を果たす努力を怠ってはいけません。
拠点が離れた夫婦の配偶者ビザの更新のポイントとは

拠点が離れた夫婦が配偶者ビザを更新する際には、いくつかの重要なポイントがあります。このセクションで解説する拠点が離れた夫婦の配偶者ビザの更新のポイントを踏まえ、スムーズに配偶者ビザを取得しましょう。
できるだけ夫婦が同じ日に出入国する
配偶者ビザの更新を行う際、特に別居状態にある夫婦にとって重要なポイントの一つが、できるだけ夫婦が同じ日に出入国することです。
これは、ビザの更新審査において、夫婦の実態ある婚姻関係を証明するための有力な証拠となります。出入国のタイミングを合わせることで、互いの存在を示し、婚姻の継続性をアピールすることができます。
例えば、夫婦が同じ日に日本に入国し、同じ日に出国することで、共に過ごした時間を明確に示すことができます。このような行動は、ビザ申請時に提出する書類や証拠の一部としても活用でき、審査官に対して信頼性を高める要素となります。
また、出入国の際には、旅行の目的や滞在期間を明確にし、必要に応じて宿泊先の予約確認書や旅行の計画書を用意しておくと良いでしょう。これにより、夫婦が共に過ごす意図があることを示すことができ、ビザ更新の際の審査をスムーズに進める助けとなります。
このように、夫婦が同じ日に出入国することは、配偶者ビザの更新において非常に重要な要素です。別居の理由が合理的であっても、実態のある婚姻関係を証明するためには、こうした具体的な行動が求められます。
夫婦で安定した収益があることを証明できるようにする
配偶者ビザの更新において、夫婦が安定した収益を持っていることを証明することは非常に重要です。特に別居している場合、収入の安定性はビザ申請の審査において大きな影響を与えます。
収入が安定していることは、夫婦が経済的に自立していることを示し、婚姻関係が実態のあるものであることを裏付ける要素となります。
具体的には、給与明細や納税証明書、銀行の残高証明書など、収入を証明する書類を提出することが求められます。また、夫婦それぞれの収入源を明確にし、どのように生活費を賄っているのかを示すことも重要です。
例えば、夫婦がそれぞれ異なる職場で働いている場合は、各自の職業や収入の詳細を記載した理由書を添付することで、より説得力のある申請が可能になります。
さらに、収入の安定性を示すためには、過去数ヶ月の収入の推移を示す資料も有効です。これにより、単に現在の収入が高いだけでなく、長期的に安定した収入を得ていることを証明することができます。
特に、別居の理由が仕事や家庭の事情である場合、経済的な基盤がしっかりしていることは、ビザの更新においてプラスに働く要素となります。
まとめ
配偶者ビザの取得において、夫婦が別居している場合でも合理的な理由があれば申請が可能であることが分かりました。単身赴任や親の介護、離婚調停中のケースなど、さまざまな状況が認められることから、必ずしも同居が必要ではないという点は重要です。
しかし、別居の状態でビザを申請する際には、実態のある婚姻関係を証明するための証拠や理由書の提出が求められます。
特に、定期的な連絡や同居の実績を示すことが、ビザ取得の成功に繋がります。また、理由書には具体的な状況を明記し、履歴や証拠をしっかりと整えることが大切です。配偶者ビザの更新時には、夫婦が同じ日に出入国することや、安定した収益を証明することもポイントとなります。
このように、別居の状態でも配偶者ビザを取得するためには、しっかりとした準備と証拠の提出が不可欠です。夫婦の絆を大切にしながら、適切な手続きを行うことで、安心してビザを取得し、生活を共にすることができるでしょう。