日本で外国人を雇う際には「就労ビザ」が欠かせません。しかし、その取得手続きは複雑で、必要な書類や手続きの流れを正確に把握しておかないと、思わぬトラブルにつながることもあります。
本記事では、就労ビザの基本的な仕組みから、取得手続きのポイント、就労ビザの種類などを徹底解説します。
外国人材の採用を検討している企業や個人事業主の方はもちろん、初めて就労ビザについて調べる方にもわかりやすい内容です。必要な知識をしっかり身につけ、安心して外国人雇用を進めましょう。
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就労ビザとは外国人が日本で働くために必須のもの

日本では日本国籍のない外国人が日本で暮らすために在留資格制度を設けています。つまり、日本で暮らしている外国人はなんらかの在留資格が許可されているということです。
就労に関する19種類の在留資格の通称として「就労ビザ」と呼ばれています。
就労ビザが必要なケースと不要なケース

一般的に外国人が日本で働く際には、在留資格として就労ビザが必要です。ただし、例外的に就労ビザが不要なこともあるため、就労ビザが必要なケースと不要なケースをご紹介します。
必要なケース
たとえば、外国に住んでいる外国人が来日し、日本で仕事をする場合は就労ビザが必要です。また、留学生がそのまま日本で就職する場合も就労ビザの申請が必要になります。
不要なケース
留学生や日本人と結婚し、配偶者ビザで日本に滞在している外国人などは、就労ビザがなくてもアルバイトで働くことが可能です。その場合は、1日4時間、週28時間の就労が認められています。
ただし、留学生が退学をした、配偶者と離婚したなど、本来の在留資格が認められなくなった時は、アルバイトもできなくなるため注意が必要です。
配偶者ビザについては、「配偶者ビザとは?日本で国際結婚するなら知っておきたいこと」の記事をご覧ください。
就労ビザの取得方法

就労ビザの取得方法は2パターンあります。それぞれのパターンによって、企業としてサポートできることが変わるため、外国人を雇用する前によく確認しておきましょう。
新規で就労ビザを申請する場合
新規で就労ビザを申請する場合、外国人本人はまだ海外にいることが大半です。そのため、企業側が代理人として、在留資格認定証明書を勤務先所在地管轄の地方出入国在留管理局から交付してもらいます。
その後、海外にいる外国人本人に在留資格認定証明書を送付し、在外日本公館で外国人本人が在留資格認定証明書を提示することでビザの申請ができます。
就労ビザを変更する場合
たとえば、留学生が日本の企業に就職する場合など、既存のビザを変更する場合は外国人本人が出入国在留管理局へ申請を行います。新規で就労ビザを取得するよりは簡単にビザ申請が可能です。申請の際、パスポートと在留カードの原本が必要となりますので、忘れないよう注意しましょう。
就労ビザ取得までの詳しい流れは以下の記事で解説しています。
就労ビザの取得方法は?具体的な流れと必要な書類までをわかりやすく紹介
就労ビザ申請時に注意するポイント

就労ビザの申請方法をご紹介しましたが、申請すれば必ず許可されるものではありません。ここでは、就労ビザの申請が不許可になってしまう場合や、申請の際に注意すべきことをご紹介します。
不備が多いと申請が却下される
書類に不備があると、申請が不許可になります。就労ビザの場合、多くの不備は外国人の仕事内容と専門学校や大学で学んだことが合わない場合です。また、外国人の在留状況が悪い場合も不許可になることがあります。
審査には数か月がかかる
申請が許可になる場合でも、審査完了までは数か月を要するため、日数に余裕を持って申請すると良いでしょう。たとえば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」のビザでは、申請後おおむね1か月〜3か月の間に審査されます。
また、日本では4月入社が多いことから、2〜3月は窓口が混み合う可能性もあるので早めに申請を行いましょう。
就労ビザの種類と特徴

ここまで、就労ビザと呼んできたものは実は19種類あります。その中から、主な就労ビザを5つ抜粋してご紹介します。
- 特定技能ビザ
- 技術・人文知識・国際業務ビザ
- 技能ビザ
- 医療ビザ
- 研究ビザ
特定技能ビザ
日本国内で人手不足が深刻とされている「特定産業分野」において、人手不足解消のために、即戦力となる外国人材の雇用が可能になった在留資格が特定技能ビザです。
特定技能1号は「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」とされ、就労可能な業種は介護や自動車整備、宿泊、農業などが挙げられます。
特定技能2号は、特定技能1号からの移行のみで取得できる、「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」で、特定技能の中でもエキスパートが持てる在留資格となります。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html
技術・人文知識・国際業務ビザ
日本でオフィスワーカーとして働く場合、基本的に在留資格「技術・人文知識・国際業務」が必要です。学歴(職歴)と業務内容の関連性があることが要件なので、関係のない仕事には就けません。
「技術」の主な業務内容は、「理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術を要する業務」とされ、調査研究や技術開発、建築・土木・測量技術などの業務がこれにあたります。
「人文知識」は、「法律学、経済学、社会学等、その他人文科学の分野に関する知識を要する業務」とされ、法律関係業務やコピーライティング、会計事務、法人営業などがこれにあたります。
「国際業務」は、「語学力や外国の文化、国際経験等を要する業務」とされ、翻訳者や通訳、デザインなどがこれにあたります。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html
技能ビザ
日本にはない特殊な分野や、日本よりレベルの高い分野等で熟練した技能を持つ外国人を日本に招聘できる在留資格が技能ビザです。たとえば、料理人や、外国特有の建築、航空機の操縦やスポーツ指導者などで、それぞれ必要な実務経験年数がある場合に認められます。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/skilledlabor.html
医療ビザ
医師・歯科医師、看護師、薬剤師、理学療法士等、医療機関で法律上資格が必要な医療に従事するための在留資格が医療ビザです。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/medicalservices.html
研究ビザ
日本における公私の機関との契約に基づいて、研究などの活動を行うための在留資格が研究ビザです。政府機関や企業の研究者がこれにあたります。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/researcher.html
また、これらの他にも以下の就労ビザがあります。
- 教授(大学教授など)
- 芸術(作曲家、画家、作家など)
- 宗教(外国の宗教団体から派遣される宣教師など)
- 報道(新聞記者、フォトグラファーなど)
- 高度専門職(高度な技術や知識を持つ専門職)
- 経営・管理(企業の経営者や管理職)
- 法律・会計業務(弁護士、公認会計士など)
- 教育(小中高校の語学教師など)
- 企業内転勤(海外支社からの転勤者)
- 介護(介護福祉士の資格を有する介護士など)
- 興行(俳優、歌手、プロスポーツ選手など)
- 技能実習(日本の技術を学ぶための研修生)
- 外交(外交使節団の構成員、外交伝書使など)
- 公用(外交使節団の事務及び技術職員並びに役務職員など)
参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/index.html
製造業外国従業員受入事業も活用しよう
現在、日本政府は国内製造業の空洞化を防ぐことを目的に、外国人雇用を推奨しています。代表的な支援制度として「製造業外国従業員受入事業」があり、これを活用することで、外国人雇用のハードルをより一層下げられるでしょう。
外国人労働者が、在留資格「特定活動」を付与されることにより、日本の事業所で生産活動に従事することが可能となります。
この制度を利用するためには、製造特定活動計画書を作成し、経済産業大臣の認定が必要です。申請に係る書類等の提出先や制度全般に係る問合せ窓口は、経済産業省経済産業政策局産業人材課となっており、経済産業省のHPから詳細を確認できます。
よくある質問|就労ビザ取得に関する疑問を解決

ここまで、就労ビザの種類や取得の方法を解説してきました。ただ、経験がない方にとって就労ビザの取得は不安な点が多いですよね。そこで、就労ビザに関するよくある質問とそれに対する回答をまとめました。多くの方が不安に感じるポイントなので、参考にしてみてください。
外国人が日本で就労ビザを取得するのは難しい?
外国人が日本で就労ビザを取得するには、きちんとした準備が必要で、かつ難しいです。難しさの理由としては、一定以上の学歴や実務経験が必要なこと、多くの複雑な書類を用意しなければならないことが挙げられます。
就労ビザ取得後に注意することは?
無事に就労ビザを取得し、雇用することになった外国人には、日本人と同等以上の給与を設定しましょう。特に、在留資格で認められた以外の活動には従事させないよう注意が必要です。
在留資格で認められた活動を3か月以上していない場合、ビザ取り消しの対象となることもあります。
就労ビザの有効期間と更新のタイミングは?
就労ビザの有効期間と更新のタイミングは、持っている就労ビザの種類によって異なります。たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留期間は「5年・3年・1年、又はまたは3月」となっており、在留期限の3か月前から更新申請が可能です。
更新を忘れていると不法滞在になってしまうため、期限を忘れず、余裕を持って申請を行いましょう。
まとめ

就労ビザの取得は難易度が高く、徹底した事前準備が必須です。また、就労ビザは19種類あるため、そもそも就労ビザが必要なのかも踏まえつつ、適切な就労ビザ申請を行いましょう。
しかし、外国人雇用を通常業務と並行して進めるのは大変困難です。そこで、おすすめなのは行政書士の就労ビザ申請代行です。MIRAI行政書士事務所では、多くの就労ビザ申請を代行してきました。プロのサポートを受けることで、通常業務と外国人の採用業務を同時並行で進められるので、ぜひご相談ください。