介護日本語評価試験は、特定技能ビザで日本の介護分野で働くために必要な日本語能力を測定する試験です。この試験は、介護現場での実務に支障がない程度の日本語能力を確認することを目的とし、介護業務に必要な外国人が日本で介護職として働くために必要な“実務日本語力”を測定する試験です。
この試験は、一般的な日本語能力ではなく、「介護の現場で困らずに働けるか」を判断することにあります。つまり、専門用語、会話、記録文書の読み取りといった介護業務に直結した日本語の理解力を評価します。
試験の基本情報
項目 内容
試験時間 約30分
問題数 全15問(3分野×各5問)
合格基準 総得点の73%以上(2025年4月以降適用)
試験方法 CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式
試験言語 日本語(指示文は母国語併記あり)
試験会場 日本全国+主要送り出し国(アジア6か国以上)
費用 約1,000円程度
出題内容の詳細
介護日本語評価試験は、以下の3つのカテゴリで構成されています。
① 介護のことば(専門用語理解)
例:バイタルサイン、離床、オムツ交換、褥瘡(じょくそう)など
問題形式:単語の意味を選択肢から選ぶ形式
対策:介護専門語彙リストや、現場のマニュアルに基づいた用語集を活用
② 介護の会話・声かけ(対人コミュニケーション)
例:「転びましたか?」「お水を飲みましょうか?」などの日常的な声かけ
会話のやり取りを聞き取り、適切な返答や態度を選ぶ
対策:会話パターンの繰り返し学習、ロールプレイ訓練
③ 介護の文書(記録・報告書の理解)
例:「バイタル正常。昼食後に転倒し、右膝を打撲」などの記録文
対策:介護記録の読み取り練習、主語・時系列の把握方法
合格ラインと評価方法
15問中73%以上の得点(11問以上の正答)で合格。
試験直後にパソコン画面で合否が表示されるため、即時確認が可能。
5営業日以内にスコアレポートがWebからダウンロードできます。
受験資格・条件
条件 内容
年齢 原則17歳以上(インドネシア国籍の場合は18歳以上)
その他 特定技能1号「介護」取得のためには合格が必須
例外免除 EPA介護福祉士候補生、養成施設修了者などは免除されることがある
試験会場と受験のしやすさ
試験は日本全国47都道府県で開催されており、地方在住でもアクセス可能です。
また、主要な送り出し国である以下の国々でも実施されています:
フィリピン
ベトナム
インドネシア
ネパール
タイ
ミャンマー など
学習方法と対策のポイント
◆ サンプル問題活用(厚労省・JACFA)
厚生労働省が公式にサンプル問題をPDF形式で公開中。
模擬試験のように実際の出題形式に慣れるのが効果的。
◆ 多言語テキストの活用
日本介護福祉会(JACFA)では英語・ベトナム語・インドネシア語などの無料テキストを配布。
母国語による解説付きなので、初学者にも非常に有用です。
◆ ロールプレイ・動画教材
利用者との会話例をもとに、動画や音声教材を用いた学習が効果的。
可能であれば、介護現場での実地体験やインターンシップと並行して学習することで、より理解が深まります。
よくある誤解と注意点
誤解
実際一般の日本語試験(JLPT)に合格していれば十分 介護日本語評価試験は「現場特化型」。JLPTだけでは不十分です
簡単な試験で準備はいらない
合格率は高いが、用語と会話表現に慣れていないと落ちることもあります
日本語が話せれば介護はできる 正確な記録・指示の読み取りも求められるため、読み書き能力も重要です
まとめ:合格のカギは「実務の言語」に慣れること
介護日本語評価試験は、短時間の試験ながら、介護の現場で実際に求められる日本語力を端的に問う内容です。単なる語彙力ではなく、声かけ・記録・コミュニケーションの力を養うことが合格のカギとなります。
専門家からのアドバイス
学習計画は最低1ヶ月前からが理想的。
実際の介護現場を想定した実践的な訓練(例:同僚と模擬会話、日報の書き写し)を取り入れる。
受入事業所も、学習環境の提供や語学支援を行うことで、人材の定着率が向上します。
必要に応じて、外国人材向けの研修プログラム設計や事業所向け説明会資料もご提供可能です。お気軽にご相談ください。