外国人が許可された在留資格とは別の活動で報酬を得るには、「資格外活動許可」が必要です。資格外活動許可には一定の要件や種類があり、申請手続きも簡単とはいえません。円滑に手続きを進めるためにも、まずは制度の全体像や申請方法を理解することが大切です。
本記事では、資格外活動許可の基本情報や種類、申請方法などを解説します。「自分は申請が必要かどうか」や「申請に向けて何をすべきか」が理解できるため、ぜひご覧ください。
また、手続きが難しいと判断した場合、専門家である行政書士に依頼するのもひとつの手です。MIRAI行政書士事務所では、オンライン・対面で利用可能な無料相談を実施しております。
資格外活動許可とは
資格外活動許可とは、外国人が日本で認められた在留資格の範囲を超えて、収入を得る活動を行う際に取得が必要となる許可です。たとえば、以下のようなケースが該当します。
- 留学生が授業の合間にアルバイトをする
- 家族滞在中の外国人がパートタイムで働く
- 本業と異なる職種に副業として就く
一部例外はありますが、許可なしに活動すると不法就労とみなされるリスクがあり、強制退去や入国禁止といった罰則を受ける恐れがあります。さらに、雇用主も不法就労助長罪で罰則が課されるため、確実に許可を得ることが重要です。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00045.html
資格外活動許可の申請要件
資格外活動許可は、以下のすべての要件を満たす場合に、相当性が認められます。
- 本来の在留資格の活動に支障をきたさない
- 現在の在留資格に基づいた活動をしっかりと行っている
- 活動内容が日本の在留資格制度の範囲に収まっている(個別許可の場合)
- 違法な活動や風俗関連の職種ではない
- 強制退去などの通知を受けていない
- 素行に問題がない
- 所属している団体などから承認を得ている
資格外活動許可の2つの種類
資格外活動許可は大きく以下の2つに分類され、それぞれ制度が異なります。
- 包括許可
- 個別許可
以下では、それぞれを詳しく解説します。
1.包括許可
包括許可とは、勤務先や業務内容に制限がなく、包括的に資格外の活動が認められる許可を指します。具体的には、以下のような方が対象となります。
- 留学生
- 家族滞在者
- 特定活動を行う者(留学生の就職活動など)
勤務先や業務内容に制限がないため、一度許可を得られればアルバイト先が変わっても再申請の必要はありません。アルバイト先が決まっていなくても申請はできます。ただし、認められる就労は原則として週28時間以内に限られ、これを超えると不法就労に該当します。
なお、夏季休暇などの長期休暇中は、1日8時間・週40時間まで働くことが可能です。
2.個別許可
個別許可とは、勤務先や業務内容を限定して個別的に認められる許可を指します。具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
- 留学生がインターンで週28時間を超える活動を行う
- 客観的に稼働時間や業務内容を確認するのが難しい活動を行う(個人事業主として働くなど)
- 大学教授が大学外で語学指導を行う
活動内容に対して個別的に許可を得るため、活動内容を変更する際には再申請が必要です。また、先述した包括許可よりも厳密な審査が行われる傾向があります。
資格外活動許可が認められない主な活動内容
以下のような活動内容の場合、基本的に資格外活動許可は認められません。
- 違法な活動
- 風俗営業等に関係する業務
- 本来の在留資格に関する活動に支障をきたす
また、特別な知識やスキルが求められない単純労働(工場の流れ作業/清掃業務など)では許可が下りない可能性が高いです。加えて、大学等を休学している場合なども、基本的に申請は不許可になります。
さらに、以下のようなケースでも原則として許可を得ることはできません。
- 観光や親族訪問などで短期滞在している
- 技能実習で滞在している
- 特定技能1号で滞在している
資格外活動許可が不要な活動内容
以下のような活動は、資格外活動許可を取得しなくても活動が認められます。
- 無報酬での活動(ボランティア活動など)
- 現在の在留資格で可能な範囲内の活動
また、「永住者」や「定住者」といった特定の在留資格を持つ場合は、原則として自由に働くことができます。手続きが必要か判断が難しい場合は、最寄りの出入国在留管理官署や行政書士などの専門家に相談すると良いでしょう。
適切に資格外活動許可を申請しない2つのリスク
適切に申請手続きを行わず、本来認められていない活動をしてしまうと、以下のようなリスクが発生します。
- 資格外活動許可が取り消される可能性がある
- 不法就労の罰則を受ける可能性がある
ここでは、それぞれのリスクについて詳しく解説します。
資格外活動許可が取り消される可能性がある
たとえ資格外活動許可を取得していたとしても、以下のように制度に違反した活動をしてしまうと、許可が取り消される可能性があります。
- 認められた活動とは異なる業種に就いている
- 許可された労働時間を超えて働いている
- 本来の在留資格の活動に支障をきたしている
一度許可が下りたとしても、第三者からの通報や在留資格の更新・変更時の調査、所属機関からの届出といった場面で発覚する可能性は十分にあります。必ず認められた活動の範囲内で就労等を行うことが大切です。
不法就労の罰則を受ける可能性がある
資格外活動許可を得ずに働いたり、包括許可で28時間を超えて働いたりすると、不法就労にあたります。不法就労が発覚すると、強制送還や一定期間の入国禁止処分、1年以下の懲役または200万円以下の罰金といった罰則を受ける恐れがあります。今後、合法的に日本で暮らせなくなる可能性があるため、注意が必要です。
また、採用した雇用主も不法就労助長罪に該当する可能性があります。故意でなくても罰則の対象となるため、外国人材の雇用を検討している場合は、しっかりと許可を取得しているかどうかを必ず確認しましょう。
参考:https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319/20220525_504AC0100000052
資格外活動許可の申請方法
ここでは、資格外活動許可の申請方法を以下の6つの視点から解説します。
- 申請者
- 申請先
- 提出書類
- 申請費用
- 審査期間
- 申請から許可の流れ
スムーズに申請手続きを進めるためにも、事前に把握しておきましょう。
申請者
資格外活動許可の申請は、原則として外国人本人が行います。ただし、法定代理人や行政書士などによる代理申請も認められます。
申請先
資格外活動許可は本人の住所を管轄する地方出入国在留管理官署で申請します。局・支局・出張所のいずれでも手続きが可能です。加えて、新規入国者(在留期間が3か月の方を除く)に限り、出入国港でも申請できます。
なお、管轄の手続き先は出入国在留管理庁のホームページから確認できます。管轄外の場所に申請を行った場合、適切に受理されない可能性があるため注意しましょう。
提出書類
資格外活動許可の申請では、共通して「資格外活動許可申請書」の提出が必要です。そのほかの必要書類は、個々の状況によって異なります。
たとえば、アルバイトを行うために包括許可を受けたい留学生であれば、申請書に加えて在留カード、パスポートの提出が必要です。ただし、所属している学部や研究科などへの届出が別途必要になる可能性があります。
一方、個別許可を受けるケースにおいては、契約書や在学証明書などの提出も求められます。
申請費用
資格外活動許可の申請自体には、費用はかかりません。ただし、行政書士などの専門家に依頼する際には、数万円程度の報酬を支払う必要があります。
審査期間
申請を行ってから審査が完了し、許可が下りるまでの期間は、2週間~1か月程度の幅があります。審査中であっても正式に許可が下りるまではアルバイトなどの活動が行えないため注意してください。申請内容によっては時間がかかる可能性があるため、余裕を持って準備を進めましょう。
申請から許可の流れ
申請を行ってから許可が下りるまでの大まかな流れは、以下のとおりです。
- 必要書類の収集・作成
- 必要書類の提出
- 審査
- 許可通知書の発送
- 許可証の交付
許可が下りたら、在留カードの裏面に許可を得ている旨が記載されます。なお、許可証の交付方法は郵送です。
資格外活動許可に関するよくある質問
ここでは、資格外活動許可に関するよくある質問に回答します。
- 許可の有無を確認する方法は?
- オンライン申請はできる?
- 有効期間は?
資格外活動許可の有無を確認する方法は?
資格外活動許可が下りると、通常在留カードの裏面に許可済みである旨の記載があります。不要なトラブルを避けるためにも、外国人を採用する際は、必ず記載の有無を確認しましょう。
資格外活動許可はオンライン申請できる?
資格外活動許可はオンライン申請も可能です。オンライン申請を活用すれば、わざわざ窓口に出向く手間を省けます。さらに、証印シールの代わりに許可証が郵送で発行されるため、受け取りも容易に行えます。
ただし、オンライン申請が可能なのは以下のいずれかの手続きと同時に行う場合に限られる点に留意してください。
- 在留資格変更許可申請
- 在留期間更新許可申請
- 在留資格取得許可申請
資格外活動許可の有効期間は?
資格外活動許可の有効期限は、許可の種類によって異なります。
- 包括許可:在留資格が満了する日まで有効
- 個別許可:申請内容に応じて定められた期間のみ有効
なお、個別許可の場合、個別に許可された内容以外の活動に取り組む際は、有効期間内であっても別途申請が必要です。
まとめ
資格外活動許可とは、在留資格で許可された活動以外で収入を得る際に取得が必要な許可です。資格外活動許可を得ずに不法に働いてしまうと、外国人本人はもちろん、雇用主までも罰則を受ける恐れがあります。そのため、制度の概要や手続き内容を適切に理解し、必要に応じて確実に申請手続きを行いましょう。
また、MIRAI行政書士事務所ではオンライン・対面での無料相談を実施しています。資格外活動許可の申請でお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。