人手不足やグローバル化が進んでいることもあり、外国人労働者を自社に迎え入れようと考えている方が増えつつあります。しかし、外国人労働者が日本で働くためには、就労ビザが必要であることはご存知でしょうか?
就労ビザの申請には、さまざまな必要書類と手順をクリアしなければならないので、大まかな取得するまでの手順を事前に知っておくことが大切です。本記事では就労ビザの取得方法や、外国人労働者を受け入れる際に企業が把握すべきポイントを解説します。
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就労ビザの取得方法3パターン

就労ビザの取得方法は、外国人労働者の状態によって異なり、以下のような3つのパターンに分類できます。
- 新規で申請するパターン
- 勤務先を変更するパターン(在留期間更新許可申請)
- 在留資格を変更するパターン(在留資格変更申請)
それぞれのパターンによって、必要書類や手順が変わります。そのため、就労ビザを申請する際には、申請しようとしている外国人労働者がどのパターンに当てはまるか、そして各申請パターンの概要を把握しなければなりません。
ここでは、就労ビザの取得方法を各パターンごとに解説します。各パターンごとに、必要な書類を一覧でまとめているので、まず何から始めたらいいのかわからない方は、必要な書類を準備することから始めることをおすすめします。
新規で申請する場合
今まで日本で働いたことのない外国人労働者を雇う場合は、新規で就労ビザを申請する必要があります。就労ビザには多くの種類が存在するため、働く職種にマッチした就労ビザを申請しなければなりません。ここでは、一般的な企業で働く際に必要になる「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザ(技人国ビザ)を例として説明します。
技人国ビザを申請する際に必要な書類は以下のとおりです。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
- 返信用封筒(定型封筒に宛先を明記の上,404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの) 1通
- 日本での活動内容に応じた資料
参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html
技人国ビザの場合、企業の規模によってはカテゴリーが4種類に分類されており、別の書類が必要になります。そのため、自社がどのカテゴリーに分類されるか必ず確認しておきましょう。
技人国ビザを申請する手順は以下のとおりです。
- 入国管理局に在留資格認定証明書交付を申請する
- 在留資格認定証明書交付を受け取る
- 在留資格認定証明書を外国人労働者本人に送付する
- 外国人労働者本人が在留資格認定証明書を在外日本公館で提示し、ビザを申請する
- 在外日本公館にてビザ発給する
手続きを完了する期間の目安は1〜3か月になるので、余裕を持ったスケジュール調整が大切です。
勤務先を変更する場合(在留期間更新許可申請)
すでに日本国内で働いている外国人労働者を雇う際には、外国人労働者本人が「所属機関の変更の届け出」を、14日以内に地方出入国在留管理局に提出しなければなりません。提出方法は以下の3種類から選択できます。
- 出入国在留管理庁電子届出システムを利用して、オンラインで提出する
- 窓口に直接持参する
- 郵送で書類を提出する
提出を怠ってしまうと企業に対する罰金だけでなく、ビザの更新を認められなくなってしまうリスクがあるので、必ず14日以内に対応しましょう。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00015.html
在留資格が変わる場合(在留資格変更申請)
留学生として日本にいる外国人を雇う際には、「留学」の就労ビザから就労ビザに変更する手続きをクリアしなければなりません。留学ビザから技人国ビザに変更する場合、必要な書類は以下のとおりです。
- 本人名義の旅券(または渡航証明書)
- 在留カード
- 在留資格変更許可申請書
- 履歴書
- 雇用契約書のコピー
- 雇用企業の商業法人登記簿謄本
- 会社案内
- 卒業証明書(卒業見込証明書)の原本
上記の必要書類を揃えて、外国人本人が地方出入国在留管理局に出向き、手続きを完了させましょう。
参考:https://www.studyinjapan.go.jp/ja/work-in-japan/immigration-procedures/
就労ビザ書類の記入ミスを防ぐためのチェックリスト
就労ビザに記入ミスがあると、申請が受理されない可能性があります。以下のチェックリストは、よくある就労ビザ書類の記入ミスを参考にして作成したものです。書類提出の最終確認として活用してみてください。
- 漢字の変換ミスがないか
- アルファベット入力ミスがないか
- 在留カード・パスポートの入力ミスがないか
- 署名箇所・記名押印箇所の入れ違えていないか
就労ビザの審査基準と許可のポイント

就労ビザには審査があり、不備があると申請が許可されない事態に陥ってしまいます。ここでは、就労ビザの審査基準と再申請のポイントを解説します。
審査で重視されるポイント
ビザの審査項目は、就労ビザの種類によって異なります。ここでは、技人国ビザを例として、ポイントを解説します。就労ビザ申請における審査項目は、以下のとおりです。
- 大学や専門学校の専攻と従事する活動(職務内容)の関連性
- 本人の学歴(履歴)
- 雇用契約があること
- 会社(所属機関)の経営状況
- 給与水準は日本人と同等であること
- 素行が不良でないこと
また、審査基準をより正確に把握するには、就労ビザに対する基礎知識が必要不可欠です。就労ビザの基本的な情報について知りたい方は、以下の記事に基礎知識をまとめているので、参照してみてください。
就労ビザとは?外国人を雇うなら知っておきたい重要手続きを徹底解説
不許可になった場合の対応策と再申請のポイント
ビザ申請が不許可になった場合は、不許可の理由を入国管理局のスタッフから聞いてみると良いでしょう。不許可の原因を訂正できる場合、再申請することが可能です。
しかし、入国管理局はより慎重な体制で審査内容を確認するので、申請が許可される難易度は高くなるでしょう。企業内のみでの対応が不安な方は、行政書士など外部の専門家に協力を仰ぐことをおすすめします。
企業が外国人を雇用する際の注意点

就労ビザを取得して外国人労働者を雇うことに成功しても、不適切なマネジメントや手続きのミスが発覚してしまうと、就労ビザが取り消される事態に陥ってしまいます。ここでは、就労ビザでトラブルを引き起こさないためにも意識したい、企業が外国人を雇用する際の注意点を3つ解説します。
不法就労を防ぐための確認事項
不法就労は、日本で就労する資格を正式に取得していない外国人が、日本で就労することを指します。不法就労が発覚してしまうと、たとえ故意でなくてもペナルティの対象になってしまうので注意が必要です。外国人労働者を雇う際には、以下の確認項目を利用してチェックしてみると良いでしょう。
- 在留カードを使用して、本人かどうか確認する
- 在留カードを使用して、在留期限内かオーバーステイしていないかを確認する
- 在留カードを使用して、就労の可否を確認する
- 就労不可だった場合、資格外活動許可を得ているかの確認する
- 在留カード等読取アプリで、在留カードは偽造されていないか確認する
- 在留カードの番号が失効していないか確認する
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000761492.pdf
採用後の手続きと外国人労働者の労務管理
採用後の手続きや労務管理が不十分だと、適切にビザを取得していても、申請を取り消される恐れがあります。外国人労働者を雇う企業は、以下の労務管理に関する注意点を把握して、健全な環境で外国人労働者に勤務してもらうことを意識しましょう。
- 日本文化と外国文化の違いを把握、共有する
- 日本的労務慣行を教育する
- 労災保険、雇用保険、健康保険、介護保険、厚生年金保険の手続きを完了させる
- 日本の社員同様、定期的な健康診断を実施させる
在留資格ごとの活動制限を把握しよう
就労ビザは種類によって、活動制限期間が異なるため、申請したビザの種類に応じた有効期間を把握しておくことが重要です。
ただし、初めて申請した場合は在留期間が1年に設定されやすいなど、同じビザでも人によって更新サイクルが異なるので注意しましょう。
就労ビザの更新・変更手続きについて

就労ビザは一度許可されたらずっと使えるものでなく、定期的に期限を更新する必要があります。更新方法は仕事内容に変化があるかどうかで異なり、「更新前と更新後で仕事内容に変化がないパターン」と「更新前と更新後で仕事内容に変化があるパターン」の二つに分かれます。
更新前と更新後で仕事内容に変化がないパターン
更新前と更新後で仕事内容に変化がない場合は、単純更新で対応可能です。以下の必要書類を揃えて、地方出入国在留管理局で手続きを完了することで更新できます。
- 在留期間更新許可申請書
- 本人の写真1枚(申請書に添付)
- パスポート及び在留カード
- 勤務先に関する資料
- 日本での活動内容に応じた資料
更新には4,000円の費用がかかるので、費用の準備を忘れないように注意しましょう。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html
更新前と更新後で仕事内容に変化があるパターン
更新前と更新後で仕事内容に変化がある場合は、更新作業と新しいビザへの申請作業を同時並行で対応する必要があります。単純更新よりも手間がかかるので、余裕を持ったスケジュール調整が重要です。
就労ビザを確実に取得するなら行政書士への依頼がおすすめ

就労ビザは専門的な知識や慎重な対応が必要になるので、経験やノウハウがないと自社内の対応が難しい場合も珍しくありません。そのような就労ビザの申請に困っている方は、ビザ関連の専門的な知識を有している、行政書士へ依頼することをおすすめします。ここでは行政書士に依頼するメリットと、依頼する際に意識したい注意点を解説します。
行政書士に依頼するメリット
行政書士に依頼するメリットは以下のとおりです。
- 言語の問題に対応できる
- ビザ申請の手続きの進捗管理から必要書類の収集まで作業を代行してもらえるので、労力をかけずに対応できる
- 出入国在留管理局への出頭に要する時間を短縮できる
- ビザ取得の成功確率を上げられる可能性が高い
取得が難しいと感じている方だけでなく、取得する事務作業に時間を割けない方にもおすすめです。
行政書士に依頼する注意点
行政書士は業務範囲が広いので、必ず就労ビザ関連の業務を得意分野としている専門家に依頼するように心がけましょう。就労ビザ関連の実績が確認できない行政書士に依頼してしまうと、場当たり的な対応になってしまったり、ビザ取得の成功率を下げてしまう可能性があります。
就労ビザの取得に関してよくある質問

ここでは、就労ビザの取得に関してよくある質問をQ&A方式でまとめています。自分が持っている疑問を解決することにつながるので、就労ビザの取得に関してわからない点がある方は確認してみると良いでしょう。
就労ビザの取得が難しい理由は?
就労ビザの取得が難しい理由は、以下の要因が挙げられます。
- 就労ビザには多くの種類があり、適切な種類の就労ビザを獲得する必要がある
- 必要書類を慎重に作成しなければならない
- 外国人労働者と連携をとる必要がある
- 一度失敗してしまうと再度申請を許可してもらうのが難しくなる
自社で対応するのが難しい場合も珍しくなく、多くの企業は行政書士に依頼するなど、専門家のサポートを受けながら対応しています。
就労ビザ取得までの期間はどのくらいかかる?
必要書類を集めて、申請してからさらに審査に1〜3か月ほど必要になります。出入国在留管理庁の繁忙期はより時間がかかることもあるため、余裕を持ったスケジュール調整が重要です。
まとめ

本記事では就労ビザの取得方法や、外国人労働者を受け入れる際に企業が把握すべきポイントを解説しました。就労ビザは取得条件を満たし、必要書類を不備なく準備できれば、個人でも取得可能です。しかし、就労ビザを獲得するには専門的な知識が必要になるので、事前のリサーチは念入りにしておきましょう。
もし個人での対応が難しいと考えている方がいましたら、就労ビザ申請の実績が豊富にある、MIRAI行政書士事務所へ相談してみてはいかがでしょうか。