在留資格「特定技能」の申請は、申請人や所属機関、分野などで必要書類が異なります。
そして、書類によっては申請人の署名が必要です。不備が見られた場合は再提出を求められるなど、受理されるまでに時間や手間がかかるため注意しましょう。
今回は、在留資格「特定技能」の必要書類について解説します。書類作成時のポイントを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
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在留資格「特定技能」の申請に必要な書類

在留資格「特定技能」の申請に必要な書類について、項目ごとに詳しく解説します。
- 申請人に関する必要書類
- 所属機関に関する必要書類
- 分野に関する必要書類
申請人に関する必要書類
申請する外国人本人が提出するべき在留資格「特定技能」の必要書類は、以下のとおりです。
必要書類 | 注意事項 |
特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表 | |
在留資格認定証明書交付申請書 | 申請前6か月以内の写真(縦4cm×横3cm)を貼付する |
特定技能外国人の報酬に関する説明書 | 賃金規定に基づいて報酬を決定した場合は賃金規定を添付する |
特定技能雇用契約書の写し | |
雇用条件書の写し | 1年単位の変形労働時間制を採用している場合は、以下の書類も提出する・申請人が理解できる言語が併記された年間カレンダーの写し・1年単位の変形労働時間制に関する協定書の写し |
雇用の経緯に係る説明書 | 雇用契約の成立をあっせんする者がある場合は、職業紹介事業者に関する「人材サービス総合サイト」の画面を印刷し提出する |
健康診断個人票 | 参考様式に記載の項目が含まれているかを確認する外国語で作成されている場合は、日本語訳を添付する |
1号特定技能外国人支援計画書 | |
登録支援機関との支援委託契約に関する説明書 | 支援計画の実施のすべてを登録支援機関に委託する場合に提出が必要 |
二国間の取決において定められた遵守すべき手続きに係る書類 | 令和4年3月時点で、特定の国籍のみ提出が必要(カンボジア、タイ、ベトナム) |
また、上記の書類に加えて返信用封筒が必要です。定形封筒に宛名と宛先を明記し、切手を貼り付けて持参しましょう。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/content/001341631.pdf
所属機関に関する必要書類
外国人を受け入れる雇用企業が提出するべき在留資格「特定技能」の必要書類は、以下のとおりです。
提出書類 | 注意事項 |
特定技能所属機関概要書 | 記載内容に応じて、以下の書類の添付が求められる場合がある・受け入れた中長期在留者リスト・生活相談業務を実施した中長期在留者リスト・支援責任者の履歴書・支援担当者の履歴書 |
登記事項証明書 | |
業務執行に関与する役員の住民票の写し | マイナンバーの記載がなく本籍地の記載があるものを提出する |
特定技能所属機関の役員に関する誓約書 | 特定技能外国人の受け入れ業務に関与しない役員がいる場合に提出が必要 |
労働保険料等納付証明書 | 労働保険の適用事業所でない場合は、労災保険に代わる民間保険の加入を証明する書類の提出が必要 |
社会保険料納入状況回答票または健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し | 申請日の属する月の前々月までの24か月分 |
税務署発行の納税証明書 | 以下の3項目を提出・源泉所得税および復興特別所得税(申告所得税ではなく「源泉所得税」)・法人税・消費税および地方消費税納税の猶予または納付受託の適用を受けている場合は、以下の書類の提出も必要・当該適用がある旨の記載がある納税証明書・未納がある税目についての納税証明書 |
法人住民税の市町村発行の納税証明書 | 直近1年度分が必要納税緩和措置の適用を受けていて、当該適用を受けていることが納税証明書に記載されていない場合は、当該適用に係る通知書の写しの提出が必要 |
初めて在留資格「特定技能」の外国人を受け入れる場合に提出が必要です。すでに在留資格「特定技能1号」の外国人を受け入れている所属機関は、一覧表に記載された書類の提出は不要です。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/content/001341631.pdf
分野に関する必要書類
在留資格「特定技能」の申請をする際は、分野ごとに求められる書類が異なります。今回は特定技能「建設」「介護」で提出するべき必要書類について解説します。
たとえば、特定技能「建設」の必要書類は、以下のとおりです。
必要書類 | 注意事項 |
【申請人が技能実習2号良好修了者(2年10か月以上)の場合】以下のいずれかを提出・技能検定3級(実技試験)の合格証明書の写し ・技能実習評価試験専門級(実技試験)の合格証明書の写し・技能実習生に関する評価調書 | 所属機関が申請人を技能実習生として受け入れたことがあり、所属機関が技能実習法の「改善命令」や旧制度の「改善指導」を過去1年以内に受けていない場合は提出を省略できる |
【申請人が技能実習2号良好修了者でない場合】 以下のいずれかを提出・希望する業務区分に応じた建設分野特定技能1号評価試験の合格証明書の写し・希望する業務区分に応じた技能検定3級の合格証明書の写し | |
【申請人が技能実習2号良好修了者でない場合】 以下のいずれかを提出・日本語能力試験(N4以上)の合格証明書の写し・国際交流基金日本語基礎テストの合格証明書(判定結果通知書)の写し | 職種・作業にかかわらず技能実習2号良好修了者の場合は提出が不要(技能実習2号良好修了者であることを証明する書類の提出が必要) |
建設特定技能受け入れ計画の認定証の写し | 申請前に国土交通省地方整備局での手続きが必要 |
建設分野における特定技能外国人の受け入れに関する誓約書 |
特定技能「建設」は、建設特定技能受け入れ計画の認定だけでなくJACへの加入など、他の分野とは異なった条件が設けられており、手続きが複雑です。初めて特定技能「建設」の外国人を雇用する際は注意しましょう。
つぎに、特定技能「介護」の必要書類は、以下のとおりです。
必要書類 | 注意事項 |
【申請人が介護福祉士養成施設修了者の場合】 介護福祉士養成施設の卒業証明書の写し | |
【申請人がEPA介護福祉士候補者として在留期間(4年間)を満了している場合】直近の介護福祉士国家試験の結果通知書の写し | 以下の条件を満たしていること・EPA介護福祉士候補者としての就労・研修を3年10か月以上修了・合格基準点の5割以上の得点・すべての試験科目群で得点 |
【申請人が技能実習2号良好修了者(2年10か月以上)の場合】以下のいずれかを提出・介護技能実習評価試験専門級(実技試験)の合格証明書の写し・技能実習生に関する評価調書 | 所属機関が申請人を技能実習生として受け入れたことがあり、所属機関が技能実習法の「改善命令」や旧制度の「改善指導」を過去1年以内に受けていない場合は提出を省略できる |
【申請人が上記のいずれにも該当しない場合】・介護技能評価試験の合格証明書の写し・介護日本語評価試験の合格証明書の写し上記に加えて、以下のいずれかを提出・日本語能力試験(N4以上)の合格証明書の写し・国際交流基金日本語基礎テストの合格証明書(判定結果通知書)の写し | 「日本語能力試験(N4以上)の合格証明書の写し」「国際交流基金日本語基礎テストの合格証明書(判定結果通知書)の写し」は、職種・作業にかかわらず技能実習2号良好修了者の場合は提出が不要(技能実習2号良好修了者であることを証明する書類の提出が必要) |
介護分野における特定技能外国人の受け入れに関する誓約書 | |
介護分野における業務を行わせる事業所の概要書 | |
協議会の構成員であることの証明書 |
上記のとおり、在留資格「特定技能」の申請では、分野の違いや申請人の技術の違いで必要書類が異なります。雇用する外国人の条件に合わせて、必要な書類を準備しましょう。
条件を満たせば一部の提出書類の省略ができる

在留資格「特定技能」の申請には多くの書類提出が求められますが、以下の条件を満たす場合は、一部の書類の提出が省略可能です。
- 在留申請をオンライン申請、各種届出を電子届出で申請
- 一定の事業規模があり、適正な受け入れの見込みがある機関
「適正な受け入れの見込みがある機関」とは、外国人を受け入れる前の過去3年間に指導勧告書の交付を受けていない機関をいいます。「一定の事業規模」を満たす機関は、主に以下のとおりです。
- 日本の証券取引所に上場している企業
- 保険業を営む相互会社
- 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イまたはロの対象企業
- 一定の条件を満たす企業
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
上記の条件を満たす場合は、以下の書類提出が省略できます。
- 特定技能所属機関概要書
- 登記事項証明書
- 業務執行に関与する役員の住民票
- 特定技能所属機関の役員に関する誓約書
- 労働保険料の納付に係る資料
- 社会保険料の納付に係る資料
- 国税の納付に係る資料
- 法人住民税の納付に係る資料
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書
- 雇用の経緯に係る説明書
書類の省略が可能な企業に該当する場合は、申請書類の提出時に「書類の省略対象となる機関であることを証明する資料」と「書類の省略に当たっての誓約書」も提出しましょう。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/content/001341631.pdf
在留資格「特定技能」の申請手続きの詳しい流れについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
特定技能ビザとは?あてはまる業種や取得条件、取得の流れを詳しく解説
在留資格「特定技能」の書類作成時に押さえるべき3つのポイント

在留資格「特定技能」の書類作成時に押さえるべきポイントは、主に以下の3つです。
- 証明書には有効期限がある
- 書類によっては申請人の署名が必要な場合がある
- 申請書類に不備が見られた場合は再申請を求められる
証明書には有効期限がある
日本で発行する証明書の有効期限は、発行日から3か月以内です。
書類を発行してから申請まで期間が空くと、有効期限が切れる恐れがあります。書類を提出する前に、有効期限を確認しましょう。
なお、日本語試験の合格証は、原則として有効期限は設定されていません。ただし、実技試験の合格証は分野ごとに期限が設けられています。
たとえば、特定技能「介護」における実技試験の合格証の有効期限は「受験日」から10年間です。分野ごとに有効期限の基準が異なるため、対象分野の細かな表現をしっかりとチェックしておきましょう。
書類によっては申請人の署名が必要な場合がある
在留資格「特定技能」の申請に必要な書類のなかには、申請人本人の署名が求められるものがあります。たとえば「健康診断個人票」や「1号特定技能外国人支援計画書」です。申請人がすでに日本に滞在している場合は、本人による署名が必須となります。
事前に書類ごとにどのような対応が必要なのか確認しておきましょう。
申請書類に不備が見られた場合は再申請を求められる
在留資格「特定技能」の申請書類に不備が見られた場合は、原則として再申請を求められます。
申請手続きが遅れると、外国人の入国スケジュールに影響が出る可能性があります。また、準備に手間がかかるだけでなく、余分な費用が発生するケースも考えられるでしょう。
スムーズに申請を進めるためにも、提出前にダブルチェックをし、慎重に書類を扱いましょう。
【注意】在留資格「特定技能」ではさまざまなタイミングで書類の提出が必要

在留資格「特定技能」の外国人を雇用した場合は定期報告をしなくてはならず、その都度必要書類を準備しなくてはいけません。また、申請時だけでなく以下の時期にも書類提出が求められます。
- 在留資格「特定技能」の在留期間を更新する
- 在留資格「特定技能」から別の在留資格へ変更する
- 在留資格「特定技能2号」へ変更移行する
それぞれのタイミングで提出する書類が異なります。たとえば、在留資格を「特定技能」から変更する際の必要書類は、主に以下です。
- 外国人本人の書類:健康診断個人票や住民税の課税証明書
- 雇用企業の書類:特定技能所属機関による受け入れ困難に係る届出
外国人本人や雇用企業ではそれぞれ異なる書類の提出が求められます。在留資格「特定技能」の外国人を採用する際は、書類作成に関する情報収集や管理体制の徹底を心がけましょう。
まとめ
在留資格「特定技能」では、申請人や雇用機関、分野などによってさまざまな必要書類の提出が求められます。申請書類に不備が見られた場合は再申請を求められ、外国人の雇用手続きに遅れが生じるため、手を抜くことはできません。
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