日本で外国人を雇用するためには、就労ビザが必要です。就労ビザがないと、外国人の方は日本で働いて収入を得ることができないルールになっています。しかし、日本ではビザの申請条件があったり、手続きが複雑だったりします。
この記事では、日本で就労ビザの取得が難しい理由、不許可になった事例、取得率を上げる方法などを丁寧にご説明します。外国人の雇用を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
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日本で就労ビザの取得が難しい理由
日本での就労ビザ取得は、世界的な基準と比べても難しいと言われています。
- 経歴と職種の関連性が重要だから
- 企業が安定した経営状況でなければならないから
- 雇用条件に厳格な規定があるから
ここでは、日本で就労ビザの取得が難しい理由についてご説明します。
経歴と職種の関連性が重要だから
就労ビザを取得するには、申請者の経歴と職種の関連性を審査します。たとえば、ITやプログラミングを学んだ方が就労ビザを取得する場合、開発職や技術職への就職でないと、就労ビザが認められません。部品の清掃や仕分け作業などの職種で就労ビザを取得することはできないので、注意が必要です。
企業が安定した経営状況でなければならないから
就労ビザを取得するには、企業が安定した経済状況であり、継続して事業を行うことが可能であることを証明する必要があります。その企業が外国人を採用するにあたって、長期的に雇用し続けられる会社なのかを判断するためです。
企業が経済状況を証明するための書類は主に以下です。
- 雇用契約書
- 決算書
- 法定調書合計表
また、起業したばかりの会社は経済状況を証明することが難しいので、事業計画書をもとに将来的な経済安定性が審査されます。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html
雇用条件に厳格な規定があるから
就労ビザを取得する場合、厳格な規定のある雇用条件をクリアする必要があります。たとえば、「同一労働同一賃金」に基づき、性別、雇用形態、国籍など関係なく、同一の仕事に従事する労働者には、同等の賃金を払う必要があります。
外国人労働者の日本語が不十分だったり、会社のルールを理解できていない場合でも低い賃金で雇用することは認められていません。
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
日本における就労ビザの取得は企業側のフォローが重要
就労ビザは、本人による申請も可能ですが、外国人が手続き全てを理解するのはきわめて難しいので、採用する企業側のフォローが重要です。就労ビザの審査が通らないと外国人に働いてもらえないので、日本語が理解できていない申請者に対しては書類作成からサポートする必要があります。
また、雇用する外国人が日本にいない場合、企業が代理人として「在留資格認定証明書」を申請しなければいけません。取得した証明書は、外国人本人に送り、その後は本人に手続きを進めてもらいます。
就労ビザについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
就労ビザとは?外国人を雇うなら知っておきたい重要手続きを徹底解説
日本の就労ビザの種類は全19種類
日本の就労ビザの種類は全19種類あり、職種ごとに申請するビザが違います。
職種例 | 有効期間 | 必要書類 | |
高度専門職 | 現行の外国人受入れの範囲内にある者で、高度な資質・能力を有すると認められるもの | 5年 | ・旅券・ビザ申請書 1通・写真 1葉・在留資格認定証明書の原本又は写し1通 |
教授 | 大学教授、助教授、助手など | 5年、3年、1年又は3月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
芸術 | 作曲家、作詞家、画家、彫刻家、工芸家、写真家など | 5年、3年、1年又は3月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
宗教 | 僧侶、司教、宣教師等の宗教家など | 5年、3年、1年又は3月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
報道 | 新聞記者、雑誌記者、編集者、報道カメラマン、アナウンサーなど | 5年、3年、1年又は3月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
経営・管理 | 会社役員、役員など | 5年、3年、1年、6月、4月又は3月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
法律・会計業務 | 日本の資格を有する弁護士、司法書士、公認会計士、税理士など | 5年、3年、1年又は3月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
医療 | 医師、歯科医師、薬剤師、看護師など | 5年、3年、1年又は3月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
研究 | 研究員、調査員など | 5年、3年、1年又は3月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
教育 | 小、中、高の教員など | 5年、3年、1年又は3月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
技術・人文知識・国際業務 | 理工系技術者、IT技術者、外国語教師、通訳、コピーライター、デザイナーなど | 5年、3年、1年又は3月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
企業内転勤 | 同一企業の本店、支店に転勤する者など | 5年、3年、1年又は3月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
介護 | 介護福祉士の資格を有する介護士など | 5年、3年、1年又は3月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
興行 | 演奏家、俳優、歌手、ダンサー、スポーツ選手、モデルなど | 3年、1年、6月、3月又は30日 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書・契約書・経歴書・芸歴を証する書類 |
技能 | 調理師、パイロット、スポーツ、トレーナー、ソムリエなど | 5年、3年、1年又は3月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書・雇用契約書・履歴書 |
特定技能 | 特定産業分野に属する総程度の知識または経験を必要とする技能、熟練した技能を要する産業に従事するもの | 1号:1年、6月又は4月2号:3年、1年又は6月 | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
技術実習 | 海外の子会社等から受け入れる技能実習生、管理団体を通じて受け入れる技能実習生 | 技能実習1号イ及び口:法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲)技能実習2号イ及び口:法務大臣が個々に指定する期間(2年を超えない範囲)技能実習3号イ及び口:法務大臣が個々に指定する期間(3年を超えない範囲) | ・旅券・ビザ申請書・写真・在留資格認定証明書・戸籍簿写し・暫住証又は居住証明書 |
外交 | 外交使節団の構成員、外交伝書使など | 外交活動を行う期間 | ・旅券・写真・口上書その他外国政府又は国際機関が発行した身分及び用務を証する文書・ビザ申請書(場合によっては省略可) |
公用 | 外交使節団の事務及び技術職員並びに役務職員など | 5年,3年,1年,3月,30日又は15日 | ・旅券・写真・口上書その他外国政府又は国際機関が発行した身分及び用務を証する文書・ビザ申請書(場合によっては省略可) |
就労ビザの種類については、以下の記事でも解説しています。
全19種類の就労ビザを徹底解説|職種に合った就労ビザを申請しよう
日本で就労ビザが不許可になった3つの事例
日本で就労ビザが不許可になった3つの事例をご紹介します。
- 学歴と職歴に関連性がなかった
- 申請者の在留状況がよくなかった
- 申請書類に不備があった
就労ビザが不許可になる原因は、申請者の問題によって様々ですが、その理由を解決できれば就労ビザ取得は可能です。紹介する3つの事例を参考にして、不許可にならないよう対策しましょう。
学歴と職種に関連性がなかった
就労ビザは、卒業した専門学校や大学で学んだ内容と職種に関連性がない場合、不許可になります。なぜなら、就労ビザは外国人が保有している専門知識やスキルを日本に還元することが目的だからです。
たとえば、スポーツ関連の専門学校を卒業した外国人が、美容関係の職種に就職する場合は学歴と職種に関連性がありません。スポーツジムやインストラクター関係であれば、関連性があります。このように学歴に関連性がある職種であれば就労ビザの要件が満たされ、就労ビザを取得することが可能です。
申請者の在留状況がよくなかった
就労ビザは、申請者の在留状況がよくない場合も不許可になる可能性があります。具体的な理由は以下の2つです。
- 資格外活動の上限制限違反
- 学校の出席率が悪い
「留学」で日本に在留していた場合、「資格外活動許可」を取得すれば週28時間を上限として労働することが可能です。しかし、週28時間以上働いてしまうと入管法違反となるので、申請者の在留状況がよくないと判断されます。
また、留学中の学校の出席率や振る舞いも在留状況の判断要素になるため、日頃から模範的な行動を心がける必要があります。
申請書類に不備があった
就労ビザが不許可になってしまう理由で最も多いのが、申請書類の不備です。申請書類に記載されている内容に矛盾がないかも重要なポイントです。また、書類の不備以外にも期限内に提出できなかったり、必要な書類が揃っていない理由で不許可になる事例も多いです。
必要な書類が揃っているのはもちろんですが、不備がないよう提出することで許可になる可能性を上げられます。
日本で就労ビザを比較的容易に取得する2つの方法
企業が就労ビザの申請を手伝う場合、確実に取得率を上げる2つの方法があります。
- 企業が書類作成をサポートする
- 行政書士へ依頼する
ここでは、上記の2つの方法を具体的にご説明します。
企業が書類作成をサポートする
外国人が日本語を理解していないまま書類を作成する場合、不備が発生する可能性が非常に高いです。
書類作成は採用企業がサポートすることで、就労ビザの取得率を上げられます。
ただ、書類作成は原則申請者が行わなければいけないので、全て企業が作成するのではなく申請手続きがスムーズにできるようサポートすることが大切です。
行政書士へ依頼する
就労ビザの申請を行政書士へ依頼してしまえば、書類の準備から申請手続きまで全ての工程を代理で申請してくれます。
費用はかかりますが、最も労力をかけずにビザ申請ができるおすすめの方法なので、ぜひ就労ビザの申請代行を行政書士へ依頼してみると良いでしょう。
まとめ
日本での就労ビザ取得は、世界的な基準と比べても難しいです。しかし、不許可になる事例や取得率を上げる方法を知っていれば、日本で就労ビザを無事に取得できるでしょう。
MIRAI行政書士事務所では、日本で就労ビザを取得したい方に向けて申請代行サービスを展開しており、豊富な実績もあります。就労ビザ申請をする際に不安に感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。