就労ビザ保持者でも副業やアルバイトを行うには資格外活動許可が必要で、勤務時間は週二十八時間以内と定められています。
企業が制度を誤解したまま雇用すると不法就労助長罪に問われるリスクがあり、本人も在留資格取消しの可能性があります。
本記事ではアルバイト採用のメリットとデメリット、許可取得の流れ、ハローワーク届出の要否、文化ギャップへの対応策などを具体的に説明します。
アルバイト・副業のために就労ビザを取得することができるのか

就労ビザを取得することで、外国人が日本でアルバイトや副業を行うことは可能ですが、いくつかの条件を満たす必要があります。
まず、就労ビザを持つ外国人は、資格外活動許可を取得しなければなりません。この許可がない場合、アルバイトを行うことは法律で禁止されています。また、許可を得た場合でも、働ける時間は週28時間以内と制限されています。
さらに、企業側もこの制度を正しく理解し、適切に運用することが求められます。誤った理解のまま雇用を行うと、不法就労助長罪に問われるリスクがあり、外国人労働者自身も在留資格を失う可能性があります。
したがって、就労ビザを取得しアルバイトを行う際には、法律や手続きについて十分な知識を持つことが重要です。
就労ビザで働く外国人アルバイト・副業を採用するメリット

就労ビザを持つ外国人をアルバイトや副業として採用することには、いくつかのメリットがあります。これから解説するメリットを踏まえて、就労ビザで働く外国人アルバイトや副業での起用を検討しましょう。
対応できる言語が増える
就労ビザを持つ外国人をアルバイトや副業として採用することで、企業は新たな言語のスキルを得ることができます。
特に、多国籍な環境で働く企業にとって、異なる言語を話すスタッフがいることは大きな強みとなります。顧客とのコミュニケーションや、国際的な取引において、言語の壁を越えることができるため、ビジネスの幅が広がります。
また、外国人アルバイトが持つ文化的な視点や知識は、企業のマーケティング戦略や商品開発にも貢献する可能性があります。
例えば、特定の国や地域に特化した商品を展開する際、その地域の言語や文化を理解しているスタッフがいることで、より効果的なアプローチが可能になります。このように、言語の多様性は企業の競争力を高める要素となるのです。
人手不足が解消する
就労ビザを持つ外国人アルバイトや副業者を採用することは、企業にとって大きなメリットの一つです。特に、現在の日本では多くの業界で人手不足が深刻な問題となっています。外国人労働者を雇用することで、必要な人材を確保し、業務の効率を向上させることが可能になります。
外国人アルバイトは、特定のスキルや専門知識を持っている場合が多く、企業に新たな視点やアイデアをもたらすことも期待できます。
また、彼らの存在は、チームの多様性を高め、国際的なビジネス展開を視野に入れた場合にも有利に働くでしょう。人手不足の解消は、企業の成長を促進し、競争力を高めるための重要な要素となります。
助成金の利用できる
就労ビザを持つ外国人アルバイトや副業を採用することで、企業はさまざまな助成金を利用できる可能性があります。
特に、外国人労働者を雇用することで、地域の雇用促進や多様性の推進を目的とした助成金制度が設けられている場合があります。これにより、企業は人件費を抑えつつ、優秀な人材を確保することができるのです。
また、助成金の内容は地域や業種によって異なるため、具体的な制度については事前に調査することが重要です。例えば、特定の条件を満たすことで支給される助成金や、外国人労働者の雇用に対する補助金などが存在します。
これらを上手に活用することで、企業の経済的負担を軽減し、より多くの外国人を受け入れる体制を整えることが可能になります。
就労ビザで働く外国人アルバイト・副業を採用するデメリット

就労ビザを持つ外国人をアルバイトや副業として採用する際には、いくつかのデメリットが存在します。これから説明する要素は、採用後の業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
受け入れるまでの手続きが複雑である
外国人アルバイトや副業を採用する際の手続きは、一般的な雇用とは異なり、いくつかの複雑なステップを踏む必要があります。まず、企業は外国人が持つ就労ビザの種類を確認し、そのビザがアルバイトや副業を許可しているかどうかを確認しなければなりません。
次に、資格外活動許可を取得するための申請を行う必要があります。この許可がないと、外国人は法的に働くことができません。
さらに、必要な書類の準備や提出も重要です。雇用契約書や在留カードのコピー、資格外活動許可の申請書など、多くの書類を整える必要があります。これらの手続きは時間がかかることが多く、企業側にとっては負担となることがあります。
加えて、手続きの不備や誤解が生じると、雇用契約が無効になるリスクもあるため、慎重に進めることが求められます。
文化・習慣の違いが生じることがある
外国人アルバイトや副業を採用する際には、文化や習慣の違いが生じることがあるため、企業側はその点を理解し、配慮する必要があります。
例えば、労働に対する考え方やコミュニケーションスタイルは国によって異なります。日本では、時間厳守やチームワークが重視される一方で、他の国では柔軟な働き方や個人の意見を尊重する文化が根付いていることがあります。
このような文化的な違いが原因で、誤解や摩擦が生じることもあります。例えば、外国人アルバイトが日本のビジネスマナーに不慣れであったり、逆に日本人スタッフが外国人の働き方に戸惑ったりすることが考えられます。
こうした問題を未然に防ぐためには、企業側が積極的に文化交流の場を設けたり、研修を行ったりすることが重要です。
また、コミュニケーションの際には、言語の壁も存在します。日本語が不十分な外国人アルバイトに対して、明確な指示を出すことが難しい場合があります。こうした状況を改善するためには、簡単な日本語を使ったり、ビジュアルを活用したりする工夫が求められます。
コミュニケーションが取りにくい場面が発生する
外国人アルバイトや副業を採用する際、コミュニケーションの障壁が生じることがあります。言語の違いや文化的背景の違いから、意図した内容が正確に伝わらない場合があるためです。特に、業務に関する指示やフィードバックがうまく伝わらないと、仕事の効率が低下する恐れがあります。
また、非言語的なコミュニケーションも異なるため、表情や身振り手振りの解釈にズレが生じることもあります。これにより、誤解やトラブルが発生する可能性があるため、企業側は注意が必要です。
こうした問題を解決するためには、定期的なコミュニケーションの機会を設けたり、言語サポートを提供したりすることが重要です。これにより、外国人アルバイトが安心して働ける環境を整えることができ、双方にとって良好な関係を築くことが可能になります。
就労ビザで働く外国人アルバイト・副業を採用する時の注意点

就労ビザを持つ外国人をアルバイトや副業として採用する際には、いくつかの重要な注意点があります。これから説明する手続きを怠ると、企業側も法的なリスクを抱えることになります。
資格外活動許可が必要である
就労ビザを持つ外国人がアルバイトや副業を行うためには、必ず「資格外活動許可」を取得する必要があります。
この許可は、在留資格の範囲外での活動を認めるものであり、申請を行うことで合法的に働くことが可能になります。許可を得ずにアルバイトを行った場合、法律に違反することになり、不法就労助長罪に問われるリスクが生じます。
資格外活動許可の申請は、入国管理局で行うことができ、必要な書類を揃えて提出する必要があります。許可が下りると、特定の条件のもとでアルバイトが可能になりますが、注意が必要なのは、働ける時間が週28時間までと定められている点です。
この制限を超えると、在留資格の取消しや他の法的な問題が発生する可能性があるため、しっかりと確認しておくことが重要です。
不法就労助長罪に注意する
就労ビザを持つ外国人をアルバイトとして雇用する際には、不法就労助長罪に対する注意が必要です。この罪は、外国人が適切な資格を持たずに働くことを助ける行為を指し、企業側にも厳しい罰則が科される可能性があります。
具体的には、雇用主が外国人の在留資格や就労条件を確認せずに雇用した場合、法律に違反することになります。
そのため、企業は外国人の雇用に際して、必ずその人が持つビザの種類や条件を確認し、資格外活動許可を取得しているかどうかをチェックすることが重要です。
万が一、不法就労が発覚した場合、企業は罰金や営業停止などの厳しい処分を受けることがあるため、慎重な対応が求められます。雇用契約を結ぶ前に、必要な手続きをしっかりと行い、法令を遵守することが、企業の信頼性を高めることにもつながります。
働ける時間は入管法で週28時間までと決まっている
就労ビザを持つ外国人がアルバイトや副業を行う際には、入管法に基づいて働ける時間が制限されています。
具体的には、週28時間までという上限が設けられており、これは学業と両立しながら働くことを考慮した規定です。この制限を超えて働くことは不法就労と見なされ、在留資格の取消しや罰則の対象となる可能性があります。
そのため、企業側は外国人アルバイトの勤務時間を適切に管理する必要があります。特に、繁忙期や特定のプロジェクトにおいては、労働時間の調整が求められることもあるため、事前にしっかりとした計画を立てることが重要です。
採用・退職時にはハローワークへ必ず届出を出す
外国人アルバイトや副業を採用する際には、ハローワークへの届出が必須です。これは、労働者の雇用状況を正確に把握し、適切な労働環境を維持するための重要な手続きです。
採用時には、雇用契約の内容や労働条件を明確にし、ハローワークに届け出ることで、法的なトラブルを未然に防ぐことができます。
また、退職時にも同様に届出を行う必要があります。退職届を提出した後、速やかにハローワークに報告することで、雇用保険の適用や他の手続きがスムーズに進むことが期待できます。これにより、企業側も労働者側も安心して雇用関係を管理できるようになります。
このように、ハローワークへの届出は、外国人アルバイトを採用する際の重要なステップであり、法令遵守の観点からも欠かせない手続きです。
まとめ
就労ビザを持つ外国人がアルバイトや副業を行うことは可能ですが、資格外活動許可を取得し、週28時間以内の勤務に制限されることを理解しておく必要があります。
企業側も不法就労助長罪に問われるリスクを避けるため、正しい手続きを踏むことが重要です。外国人アルバイトを採用することで、言語の多様性や人手不足の解消といったメリットが得られますが、文化やコミュニケーションの課題も考慮しなければなりません。
これらのポイントをしっかりと把握し、適切な対応を行うことで、双方にとって有意義な雇用関係を築くことができるでしょう。