飲食業界における特定技能外国人の受け入れ完全ガイド|店舗運営の実務

  • 特定技能ビザ申請

「外国人スタッフを採用したいが、どんな在留資格が必要なのかわからない」「特定技能ビザって飲食店でも使えるの?」

そんな疑問を抱える飲食店オーナー・人事担当者の方に向けて、本記事では特定技能「外食業」の受け入れに必要な知識をゼロから解説します。

  • 特定技能「外食業」の基本と最新受入れ実態
  • 外食業で担当できる業務・禁止業務の線引き
  • 手続きの流れ・必要書類・費用感まで実務に直結する情報

制度の仕組みを正確に理解し、貴店に合った外国人材活用の第一歩を踏み出しましょう。

特定技能「外食業」とは?基本知識と最新受入れ実態

特定技能制度の概要と外食業の位置づけ

特定技能は2019年4月に創設された在留資格制度です。深刻な人手不足が続く特定産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れることを目的としています。飲食業に関係する分野は「外食業」と「飲食料品製造業」の2つがあります。

外食業の所管省庁は農林水産省(食料産業局)と出入国在留管理庁の共管です。根拠法令は出入国管理及び難民認定法第7条と、農林水産省が策定する「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(外食業分野)」に基づきます。

急増する受入れ数:2025年6月末で36,281人

特定技能「外食業」の在留者数は急速に拡大しています。

時点 在留者数
2023年6月末約6,000人
2024年6月末20,317人
2024年12月末27,769人
2025年6月末36,281人

2年間でおよそ6倍に急増しており、飲食業界での活用が本格化していることがわかります。

外食業と飲食料品製造業の違い

「外食業」と「飲食料品製造業」はよく混同されますが、区分の基準は「調理する場所」と「提供する場所」が同じかどうかです。

分野 調理・提供場所 代表的な職場
外食業同じ場所レストラン・居酒屋・ファストフード・カフェ
飲食料品製造業異なる場所食品工場・セントラルキッチン・給食センター

特定技能1号と2号の違い

外食業には特定技能1号・2号の両方があります(2号は2023年6月に追加)。

  • 1号:在留期間は通算5年まで。家族帯同不可。日本語N4以上+技能試験合格が必要。
  • 2号:在留期間の上限なし(無期限更新)。条件付きで家族帯同が可能。長期定住・管理職への道が開ける。

外食業で担当できる業務と禁止業務

従事できる業務の範囲

特定技能「外食業」では、飲食物調理・接客・店舗管理にわたる幅広い業務に従事できます。具体的には以下の通りです。

  • 仕込み・調理・盛り付け・提供
  • ホール接客(注文受付・料理提供・会計)
  • 食材の発注・在庫管理
  • 衛生管理・清掃
  • シフト管理・スタッフへの業務指示(経験を積んだ後)

特定技能外国人は「調理も接客も店舗管理もこなせる」オールラウンダーとして活躍できます。

禁止されている業務・就労場所

以下の業務・就労環境は法律上認められていません。

⚠️ 外食業特定技能で禁止されていること
派遣形態での雇用(直接雇用のみ可)
デリバリー専従業務(調理・接客なしでデリバリーのみは不可)
風俗営業法の接待行為(キャバクラ・スナック等での接待歓楽業務)
風俗営業許可店舗への配置(ただし2025年改正でホテル内飲食施設の一部が解禁)

2025年に解禁:ホテル内飲食施設への配置

2025年3月11日の閣議決定により、旅館・ホテル内の飲食施設に限り、風俗営業法の許可を受けていても特定技能「外食業」の外国人の就労が可能になりました。インバウンド需要が急増するホテル・旅館業界にとって、大きな制度緩和です。

ご相談は無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

受け入れに必要な要件・手続きの流れ

受け入れ企業が満たすべき要件

特定技能外国人を受け入れるには、雇用する企業側にも一定の要件があります。

  • 飲食店営業許可(保健所)を有していること
  • 労働・社会保険・租税関係法令を遵守していること
  • 過去1年以内に同種業務の労働者を非自発的離職させていないこと
  • 特定技能外国人の支援計画を適切に実施できること(受け入れ実績2年未満は登録支援機関への委託が必須)

手続きの全体フロー

  1. 人材の選考・採用決定(国内在留者または海外からの呼び寄せ)
  2. 雇用契約書の作成(日本語+外国人が理解できる言語の2言語)
  3. 1号特定技能外国人支援計画書の作成(登録支援機関への委託も可)
  4. 在留資格認定証明書または在留資格変更許可申請(地方出入国在留管理局へ。審査期間2〜3か月)
  5. 入国・在留カード受け取り後に就労開始
  6. 食品産業特定技能協議会への加入(在留カード受け取りから4か月以内に申請)

食品産業特定技能協議会への加入

外食業の受け入れ企業は、外国人の在留カード受け取り日から4か月以内に「食品産業特定技能協議会」への加入が義務付けられています(加入費は無料)。加入審査には1〜2か月かかるため、在留カード受け取り直後に手続きを開始することが重要です。

造船・農業との違いに注意
造船・農業分野では令和6年6月以降「在留申請前の協議会加入」が必須化されましたが、外食業の協議会加入は現時点では在留カード受け取り後4か月以内が期限です。分野によってルールが異なるため、必ず最新の運用要領を確認してください。

必要書類と費用の目安

申請に必要な主な書類

  • 在留資格認定証明書交付申請書(または在留資格変更許可申請書)
  • 外食業特定技能1号技能測定試験 合格証明書
  • 日本語能力試験N4以上の合格証明書 または JFT-Basic A2以上の成績証明書
  • 特定技能雇用契約書(日本語版+外国語版)
  • 1号特定技能外国人支援計画書
  • 保健所長の飲食店営業許可証または届出書(写し)
  • 外食業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書
  • 受け入れ機関の概要書・登記事項証明書・決算書類
  • 外国人本人の健康診断書

費用感の目安

費用項目 目安金額
人材紹介料(1人あたり)20〜50万円
登録支援機関への初期費用30〜40万円
登録支援機関への月額委託費2〜4万円/月
ビザ申請を行政書士に委託5〜15万円/回
技能測定試験受験料(本人)7,000円
協議会加入費無料

試験について

外食業の技能測定試験は一般社団法人外食業特定技能協議会(OTAFF)が実施しています。学科+実技計45問・70分、65%以上の正解で合格です。試験はフィリピン・ベトナム・インドネシアなど海外でも受験可能で、国内在留者は日本国内の試験会場で受験できます。

受け入れ体制の構築と実務ポイント

登録支援機関の選び方・活用法

特定技能1号を受け入れる企業は、外国人への10項目の義務的支援を実施しなければなりません。受け入れ実績が2年未満の企業は自社支援が認められないため、登録支援機関への委託が必須です。

登録支援機関を選ぶポイントは以下の通りです。

  • 外食業・飲食業の受け入れ実績が豊富か
  • 対応言語(ベトナム語・フィリピン語・インドネシア語等)が自店のスタッフに合っているか
  • 月額費用と提供サービス内容のバランス
  • 24時間緊急連絡体制があるか

多言語対応・マニュアル整備

外国人スタッフが活躍する環境を作るためには、業務マニュアルの多言語化が効果的です。

  • 調理手順・衛生管理のイラスト入りマニュアルを作成する
  • POS操作・発注システムの説明書を外国語版で準備する
  • 緊急連絡先・避難経路を多言語で掲示する
  • 日本語学習の機会(勤務時間内の日本語レッスンや教材提供)を設ける

よくある落とし穴と対策

外食業での受け入れでよくあるミスと対策をまとめます。

よくあるミス 対策
協議会加入の期限を過ぎてしまう在留カード受け取り後すぐに申請。申請から審査完了まで1〜2か月かかるため早めに着手
外食業・飲食料品製造業の区分を誤る調理と提供が同じ場所→外食業、異なる場所→飲食料品製造業と覚える
デリバリー専従業務に従事させてしまう調理・接客業務と必ずセットで。デリバリーのみは不可
個人事業主が法人用書類を流用する提出書類は法人・個人事業主で異なる。行政書士に確認を

大手飲食チェーンと中小店舗の活用事例

モスバーガーの取り組み

モスバーガーは特定技能1号取得者が50名を超え、2号取得者が副店長として活躍する事例が生まれています。母国語マニュアルと多言語動画研修を整備し、定着率向上を実現。外国人スタッフが新入社員の教育担当を務めるケースも出てきています。

すかいらーくレストランツの取り組み

すかいらーくレストランツでは2025年に約300名の特定技能外国人雇用を計画。外国人インストラクターが日本語・文化指導を担う独自の体制を構築し、受け入れのスケールアップを実現しています。

中小飲食店での活用事例

個人経営の居酒屋や中規模のレストランでも、特定技能外国人の活用が広がっています。「若い外国人スタッフが加わることで店全体の雰囲気が明るくなり、日本人スタッフのモチベーションも上がった」という声も多く聞かれます。登録支援機関をうまく活用することで、専任人事担当者がいない小規模店舗でも適切な受け入れ体制を構築できます。

よくある質問(Q&A)

制度・資格に関する質問

Q. 技能実習を修了した外国人を外食業の特定技能に移行できますか?

A. 技能実習2号を良好修了した場合でも、外食業への移行は原則として試験が必要です。ただし「医療・福祉施設給食製造」分野の技能実習2号修了者は試験免除で外食業1号へ移行できます。飲食料品製造業の技能実習修了者は「飲食料品製造業」分野へは試験免除で移行可能ですが、外食業とは別分野です。

手続き・費用に関する質問

Q. 従業員数が少ない小規模な飲食店や個人事業主でも受け入れられますか?

A. 可能です。従業員数や規模の要件はありません。ただし、受け入れ実績が2年未満の場合は自社支援が認められないため、登録支援機関への委託が必須となります。また、個人事業主と法人では提出書類が異なるため注意が必要です。

業務・運用に関する質問

Q. 同じ会社の別店舗で働かせることはできますか?

A. 同一法人内の別店舗への異動・掛け持ち勤務は認められています。ただし、就労場所が変わる場合は出入国在留管理局への届出が必要です。届出を怠ると法令違反になるため、店舗異動の際には必ず確認してください。

Q. 2025年以降に変わったことはありますか?

A. 主な変更点は2つです。①ホテル・旅館内の飲食施設への就労が解禁(2025年5月施行)、②受け入れ機関の届出頻度が四半期ごとから年1回に簡素化(2025年4月施行)。手続き負担が軽減され、利便性が向上しました。

まとめ

飲食業界における特定技能外国人の受け入れについて、基本から実務まで解説しました。

  • 特定技能「外食業」の在留者数は2025年6月末で36,281人と急増中。飲食業界の即戦力として定着しつつある
  • 外食業では調理・接客・店舗管理のすべてに従事でき、直接雇用・デリバリー専従禁止・派遣不可が基本ルール
  • 協議会加入は在留カード受け取りから4か月以内に必要(加入費は無料)
  • 受け入れ実績が2年未満の店舗は登録支援機関への委託が必須
  • 2025年改正でホテル・旅館内の飲食施設への配置が解禁。届出の年1回化で手続き負担も軽減

手続きが複雑で最初の一歩が踏み出せないという方も、MIRAI行政書士では飲食業・外食業分野の特定技能申請を専門的にサポートしております。まずはお気軽に無料相談をご活用ください。

この記事の監修者

西脇 清訓

MIRAI行政書士事務所

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代表行政書士

西脇 清訓

プロフィール

2020年行政書士事務所開業以来、国際業務、相続業務、補助金申請・法人設立など、人生と事業の節目に寄り添う専門家として、実務経験と豊富な知識を活かし、多くのお客様の課題解決に貢献してまいりました。

近年増え続けている外国人採用企業様への支援体制を強化し、中国人スタッフや多言語対応スタッフと共に、各種VISA申請をサポートしております。

「わかりやすく、ていねいに、誠実に」をモットーに、法律の専門家として、最適なサポートをお約束いたします。

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よくあるご質問

就労ビザと特定技能ビザの違いは何ですか?
特定産業の人手不足を解消するための外国人を雇用するためのビザが特定技能ビザなのに対し、就労ビザには学歴、専門的な知識が求められることがあります
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