「特定技能外国人を建設現場で採用したいが、CCUSへの登録は何から始めればよい?」
「元請・下請の関係でどんなルールがあるの?外国人でも登録できる?」
建設分野での特定技能外国人の受入れには、在留資格の申請だけでなく、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が法律上の義務となっています。CCUSを未登録のまま採用を進めることはできないため、受入計画の認定申請前に必ず完了させる必要があります。
今回は、建設業での特定技能外国人雇用を検討している企業の担当者に向けて、
- CCUS事業者登録・技能者登録の手続きと費用
- 元請・下請関係における現場配置の具体的なルール
- 受入開始までの全体の流れとJAC加入義務
上記についてまとめてみました。ご参考にいただけると幸いです。
建設分野の特定技能とCCUS登録義務の関係
建設キャリアアップシステム(CCUS)とは、国土交通省が推進する建設業の就業履歴管理システムです。外国人労働者については、特定技能(建設分野)は2019年4月から義務化されており、技能実習生・外国人建設就労者は2020年1月から義務となっています。
CCUSとは何か
CCUSは建設技能者の就業実績・保有資格・社会保険加入状況などを業界横断的に登録・管理するシステムです。現場に設置されたICカードリーダーに技能者カード(ICカード)をタッチするだけで就業履歴が自動的に蓄積されます。
蓄積された就業履歴と保有資格をもとに技能者をレベル1〜4の4段階で評価する「能力評価」も行われており、外国人労働者が特定技能2号へステップアップする際の要件にも直結しています。
特定技能外国人のCCUS登録が「義務」である理由
建設分野の特定技能外国人を雇用するには、まず国土交通省が運営する「外国人就労管理システム」で建設特定技能受入計画の認定を受ける必要があります。この認定申請の前提条件として、受入企業のCCUS事業者登録が完了していることが求められています。
つまり、CCUS未登録の企業は受入計画の申請そのものができず、結果として特定技能外国人を雇用することができません。また、大手ゼネコン・元請企業は現場へのCCUS未登録者の入場を断るケースも増えており、実務上も欠かせない存在となっています。
CCUS事業者登録の手続きと費用
まず受入企業が行うのが「CCUS事業者登録」です。CCUSの公式サイト(ccus.jp)からオンラインで申請でき、審査完了まで約3週間かかります。建設特定技能受入計画の申請より先に着手することが必須です。
事業者登録の費用(5年ごとに更新)
事業者登録料は企業の資本金規模によって異なります。
- 一人親方:0円
- 個人事業主(従業員あり)・資本金500万円未満:6,000円
- 資本金500万円以上1,000万円未満:12,000円
- 資本金1億円以上10億円未満:36,000円
- 資本金10億円以上:44,000円
管理者IDと現場利用料
事業者登録後は、CCUSシステムを操作するための「管理者ID」が必要です。管理者ID利用料は年間11,400円(税込)かかります。一人親方の場合は2,400円です。
また、元請企業は現場での就業履歴登録ごとに1件あたり10円(税込)の現場利用料が発生します。たとえば作業員20人が50日間就労した場合、利用料は10,000円となります。この費用は月末締め・翌月初旬に請求されます。
事業者登録から受入計画申請までの注意点
事業者登録の審査に約3週間かかるため、受入計画を申請したい時期から逆算して早めに動く必要があります。CCUS事業者登録完了 → 受入計画認定申請 → 在留資格申請という流れを念頭に置いておきましょう。
CCUS技能者登録(外国人本人の登録手続き)
事業者登録とは別に、就労する外国人本人も「CCUS技能者登録」を行う必要があります。登録が完了するとICカード(技能者カード)が郵送され、現場入場時にカードリーダーにタッチして就業履歴を蓄積していきます。
簡略型と詳細型の違い
技能者登録には2種類あります。
- 簡略型(2,500円):氏名・生年月日・住所などの基本情報のみ。カード発行はされますが、保有資格の登録ができないため能力評価(レベル判定)は受けられません
- 詳細型(4,900円):基本情報に加えて保有資格・社会保険の情報も登録。能力評価(レベル判定)が可能で、特定技能2号へのステップアップに必須です
特定技能2号を目指す外国人には、最初から詳細型で登録することを強く推奨します。後から簡略型→詳細型への変更も可能ですが、手続きの手間が増えます。
外国人技能者登録で必要な書類と注意事項
外国人の技能者登録では、日本人とは異なる注意点があります。
- 本人確認書類は在留カードが基本(運転免許証では代用不可)
- 氏名は在留カードのアルファベット表記通りに入力する(最もトラブルが多い項目です)
- フリガナは社会保険の届出と一致させること
- 登録画面で「外国籍の方」の設定(「はい」チェック)を必ず選択する
- 在留更新中でも登録可能だが、特例期間中(裏面スタンプあり)の場合は事前に問い合わせを
- 転職時は新規IDを作る必要はなく、変更申請で既存IDを引き継げる(過去の就業履歴は消えません)
登録からカード発行までの期間
インターネット申請完了後、約3週間で「技能者ID」のメールが届きます。その後さらに約1週間でICカードが簡易書留で郵送されます。合計で約4週間かかるため、現場投入のスケジュールに合わせて余裕を持って申請しましょう。
なお、海外から新規入国した特定技能外国人は、入国後1ヶ月以内にCCUSの技能者IDを国土交通省へ報告する義務があります。
建設分野の特定技能・CCUS登録についてご相談はMIRAI行政書士事務所へ
MIRAI行政書士事務所では、建設業での特定技能外国人の受入サポートを全国・近畿一円で行っています。CCUS登録の手順から受入計画の申請まで、ご相談は無料ですのでお気軽にどうぞ。
元請・下請関係における現場配置のルール
建設現場では元請・下請の重層的な関係があり、CCUSの運用においても元請と下請それぞれに役割があります。特定技能外国人の現場配置にも独自のルールがあるため、しっかり把握しておきましょう。
元請と下請それぞれの役割
CCUSの現場登録は次のような流れで行います。
- 元請事業者:現場・契約情報をCCUSに登録して「現場ID」を発行し、下請事業者を施工体制に登録・招待する。現場へのICカードリーダーの設置も元請の責任です
- 下請事業者(1次・2次以下):元請からの施工体制登録要請を承認し、自社の技能者(外国人含む)を施工体制に登録する。就業当日にカードリーダーへのタッチで就業履歴が蓄積されます
施工体制への登録方法は、「各社が個別に承認する方法」と「上位事業者が代理手続き事業者として複数現場を一括管理する方法」の2通りがあります。
特定技能外国人の現場配置に関する重要ルール
特定技能(建設分野)の外国人を現場に配置する際には、以下のルールを必ず守る必要があります。
- 直接雇用のみ可能・派遣は厳禁:建設分野の特定技能では、労働者派遣が法律上禁止されています。受入企業が直接雇用契約を結ぶ必要があります
- 業務区分は3区分:2023年の制度改正で建設分野の業務区分は「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分に整理されました。いずれの区分でも全国の建設業に係る業務で受入れが可能です
- 主たる業務に付随する業務は許容:資材搬入・現場清掃・写真撮影の補助など、主業務に関連する付随業務は認められています。ただし、一日中清掃のみという使い方は主業務とはみなされません
- CCUS登録が在留資格の適法性証明として機能:大手ゼネコン・元請企業はCCUS未登録者の現場入場を拒否するケースが増えており、現場での在留資格確認にもCCUSが活用されています
下請企業がCCUS未登録の場合の影響
仮に上位の下請事業者がCCUS未登録であっても、施工体制への登録自体は可能です。ただし「CCUS未登録」と表示されるため、就業履歴の蓄積に支障が生じることがあります。特定技能外国人を受け入れる企業だけでなく、関連する元請・下請全体でCCUS対応を進めることが重要です。
受入開始までの全体の流れとJAC加入義務
建設分野で特定技能外国人を受け入れるには、一般的な就労ビザ申請よりも多くのステップが必要です。CCUS登録のほかにも、JACへの加入や受入計画の認定など、独自の手続きがあります。
受入開始までの7ステップ
- ①建設業許可の取得:特定技能外国人の受入れには建設業許可が前提条件です
- ②JAC(建設技能人材機構)への加入:JACの正会員団体(53団体)への間接加入、またはJAC賛助会員への直接加入(年会費24万円)が必要です
- ③CCUS事業者登録:審査に約3週間かかるため最優先で着手します
- ④建設特定技能受入計画の認定申請:国土交通省の「外国人就労管理システム」経由で申請します。②③の完了が前提となります
- ⑤在留資格申請:出入国在留管理庁への申請です。④の認定後に進みます
- ⑥CCUS技能者登録:外国人が入国後に行います。入国後1ヶ月以内に技能者IDを国土交通省へ報告します
- ⑦現場登録・施工体制登録と就業履歴の蓄積開始:就労開始後、日々の現場入退場でICカードをタッチし履歴を蓄積していきます
JAC加入の費用と負担金
JAC(建設技能人材機構)への加入は、建設分野特有の必須要件です。
- 正会員団体への間接加入:JACの正会員である建設業関連団体(全国建設業協会・日本造園建設業協会など53団体)のいずれかに加入する方法。各団体の年会費が発生します
- JAC賛助会員への直接加入:JACに直接加入する方法。年会費は24万円で、理事会の承認が必要です
いずれの加入方法でも、外国人1人あたり年間15〜24万円の「受入負担金」が別途発生します。採用コストの試算時には必ずこの負担金を含めて計算してください。
CCUSの就業履歴が特定技能2号のステップアップに直結する
CCUSの就業履歴蓄積は、外国人労働者のキャリアアップにも大きく関わります。特定技能2号(建設分野)への移行要件の一つに、CCUSの能力評価レベルが含まれているからです。
特定技能2号(建設分野)の主な要件
- 「建設分野特定技能2号評価試験」または「技能検定1級」の合格
- 班長としての実務経験(就業日数645日以上、約3年に相当)
- CCUSの能力評価でレベル3以上の取得(詳細型登録が前提)
CCUSのレベル判定(4段階)
- レベル1(白カード):初級技能者
- レベル2(青カード):中堅技能者
- レベル3(シルバーカード):職長クラス。特定技能2号の目安
- レベル4(ゴールドカード):登録基幹技能者・マネジメントレベル
特定技能2号申請の際、レベル3取得済みの場合は「レベル判定結果通知書の写し」を提出、未取得の場合でも「CCUSの技能者情報画面(就業日数確認用)」と「実務経験申告書」で代替できます。
外国人本人の立場からも、就業履歴が蓄積されるほど能力評価が上がり、給与交渉・転職市場での評価向上につながります。転職してもIDと就業履歴は引き継がれるため、継続して積み上げることがキャリア形成の基盤となります。
よくある質問(FAQ)
CCUS未登録のまま特定技能外国人を採用することはできますか?
できません。建設特定技能受入計画の認定申請には、受入企業のCCUS事業者登録完了が前提条件です。CCUS未登録のままでは申請が受理されないため、採用より先にCCUS事業者登録を完了させる必要があります。
外国人の技能者登録でよくあるミスは何ですか?
最も多いのが「氏名の入力ミス」です。在留カードに記載されたアルファベット表記と異なる入力をしてしまうケースが頻発しています。在留カードをそのまま正確に転記することが大切です。また、「外国籍の方」の設定チェックを忘れることも多いので注意しましょう。
下請企業として特定技能外国人を使いたい場合はどうすればよいですか?
下請企業でも、特定技能外国人を直接雇用している場合は受入計画の認定を取得することができます。ただし、派遣での受入れはできません。下請企業が外国人を雇用し、元請の現場に配置する際は、元請の施工体制に登録する形で就業することになります。
JAC加入はどの団体を選べばよいですか?
自社が主に関わる建設業の種類に合った団体を選ぶのが一般的です。土木工事が多い場合は全国建設業協会、造園工事であれば日本造園建設業協会など、業種に対応した団体がJACの正会員として登録されています。どの団体が適切か判断が難しい場合は、行政書士等の専門家に相談することをお勧めします。
まとめ:建設分野の特定技能採用はCCUS登録を最優先で進めよう
今回は、建設業での特定技能外国人雇用に必要なCCUS登録の義務と現場配置ルールについて解説しました。
- CCUS事業者登録・技能者登録の手続きと費用:事業者登録は受入計画申請の前提条件。審査に約3週間かかるため最優先で着手する。外国人本人の技能者登録は詳細型(4,900円)が推奨で、カード発行まで約4週間
- 元請・下請関係の現場配置ルール:特定技能外国人は直接雇用のみ可(派遣禁止)。業務区分は土木・建築・ライフライン設備の3区分。入国後1ヶ月以内に技能者IDの報告が必要
- 受入開始までの7ステップとJAC加入:建設業許可→JAC加入→CCUS事業者登録→受入計画認定→在留資格申請→技能者登録→現場登録の流れ。受入負担金は年間15〜24万円/人
建設分野の特定技能は、他分野に比べてCCUS・JAC・受入計画など固有の手続きが多く、準備に時間がかかります。採用を検討し始めた段階から早めに動き出すことが重要です。
CCUS登録の手順や受入計画の申請について不明な点がある場合は、MIRAI行政書士事務所にお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

