- 外食業の特定技能で従事できる業務の範囲(調理・接客・店舗管理)
- 技能測定試験の内容と合格に向けた効果的な対策
- 地域別・業態別の給与相場と就職のリアルな情報
外食業の特定技能とは?制度の基本を解説
特定技能制度における外食業分野の位置づけ
外食業は2019年4月に特定技能の対象分野として指定された12分野のうちの一つです。所管省庁は農林水産省で、日本全国の飲食店・食品製造業など幅広い業態での外国人受け入れを目的としています。 日本の外食産業は約25兆円規模の巨大市場ですが、慢性的な人手不足が続いています。日本フードサービス協会の調査によると、飲食業界の人員充足率は80%台にとどまっており、特に調理部門での人材不足が深刻です。2024年から2028年の受け入れ目標人数は53,000人と設定されており、政府が外食業における外国人材確保を重要課題と位置づけていることがわかります。受け入れ可能な3つの業務カテゴリ
外食業の特定技能で従事できる業務は、以下の3つのカテゴリに分類されます。- 飲食物調理:食材の下処理・調理・盛り付け・調理器具の洗浄・管理など
- 接客:注文受付・配膳・下膳・レジ業務・テーブルセッティングなど
- 店舗管理:食材の発注・在庫管理・売上集計補助・アルバイトスタッフへの業務指導など
どんな職場で働けるのか
外食業の特定技能として受け入れ可能な職場の種類は非常に幅広いです。- レストラン(和食・洋食・中華・エスニック等)
- ファミリーレストラン
- ファストフード店
- 居酒屋・焼肉店・ラーメン店
- カフェ・喫茶店
- ホテル・旅館内のレストラン部門
- 学校・病院・企業等の給食施設(委託業者の場合)
特定技能を取得する2つのルート
ルート① 外食業特定技能1号技能測定試験に合格する
最もオーソドックスなルートは、外食業分野の技能測定試験に合格する方法です。試験はアクト・ビヨンド・トラスト株式会社(略称:ABT)が農林水産省から委託を受けて実施しています。 試験は学科試験と実技試験の両方に合格することが必要です。試験は年に数回開催されており、日本国内の各都道府県で実施されるほか、ベトナム・フィリピン・インドネシアなどの海外でも受験が可能です。外食業技能測定試験の概要
- 実施機関:アクト・ビヨンド・トラスト株式会社(ABT)
- 試験構成:学科試験+実技試験(両方合格が必要)
- 受験資格:18歳以上(国籍不問)
- 試験言語:日本語(外国語版テキストによる事前学習推奨)
- 海外試験:ベトナム・フィリピン・インドネシア等で実施
ルート② 技能実習2号修了で試験免除
外食業または飲食料品製造業の職種で技能実習2号を修了した方は、外食業の特定技能1号への移行が試験免除で可能です。さらに、日本語試験も免除されます。 技能実習から特定技能への移行は、在留資格の変更申請のみで対応でき、同じ職場に継続して勤務することも可能です。技能実習修了後に帰国してしまうケースが多い中、特定技能への円滑な移行は雇用企業にとっても外国人本人にとっても大きなメリットです。日本語要件(N4またはJFT-Basic)について
特定技能1号を取得するには、技能試験に加えて日本語能力の証明が必要です。以下のいずれかの試験に合格することで要件を満たします。- JLPT(日本語能力試験)N4以上:年2回開催(7月・12月)
- JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)A2以上:CBT形式で頻繁に開催、海外でも受験可能
技能測定試験の内容と合格のポイント
学科試験の出題範囲と合格のポイント
学科試験は、外食業に必要な知識を幅広く問う試験です。- 出題形式:選択式(○×・3択・4択混合)
- 問題数:約30問
- 試験時間:60分
- 合格基準:正答率65%以上(各分野での足切りなし)
- 衛生管理:食品衛生法、HACCP(危害分析重要管理点)の基礎知識
- 接客サービス:日本の接客マナー、クレーム対応の基本、テーブルマナー
- 調理技術:基本的な調理方法、食材の保存方法、アレルギー対応
- 関連法規:労働基準法の基礎、食品表示法、消防法(厨房の安全)
実技試験の内容と対策方法
実技試験は、実際の飲食店業務を想定した模擬実技評価です。主に以下の内容が評価されます。- 衛生管理実技:正しい手洗い手順、調理器具の洗浄・消毒方法
- 接客実技:お客様への挨拶、注文受付、配膳の手順
- 調理補助実技:食材の扱い方、基本的な下処理方法
試験の受験方法とスケジュール
外食業の技能測定試験は、原則として年に複数回開催されています。受験の流れは以下の通りです。- ABT社の公式サイトから受験申込(オンライン)
- 試験日程・会場の選択(全国各都道府県+海外)
- 受験料の支払い(クレジットカード等)
- 試験当日:会場に集合し、学科→実技の順で受験
- 合格証書の受領(合格後)
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飲食物調理業務の具体的な内容
外食業の特定技能における「飲食物調理」業務は、調理師免許を必要としない補助的な調理業務から、実務経験を積んだ後の本格的な調理業務まで幅広い範囲が含まれます。主な業務内容は以下の通りです。- 食材の仕込み・下処理:野菜の洗浄・カット、肉・魚の下処理
- 調理の補助:ソースの仕込み、デシャップ(料理の出来上がり確認・温め直し)
- 盛り付け・仕上げ:皿への料理の盛り付け、デコレーション
- 後片付け・清掃:食器の洗浄、厨房の清掃・消毒
- 食材管理:冷蔵庫・冷凍庫の在庫確認、食材の鮮度チェック
食品衛生・HACCPの基礎知識
日本の飲食店では、食品安全の国際基準である「HACCP(危害分析重要管理点)」に基づく衛生管理が2021年6月から義務化されました。外食業の特定技能として働くためには、HACCPの基本的な考え方を理解していることが求められます。- 手洗いの徹底:作業前・トイレ後・食材交代時の正しい手洗い手順
- 温度管理:冷蔵・冷凍食品の適切な保存温度(冷蔵10℃以下・冷凍-15℃以下)
- 交差汚染防止:生食品と加熱済み食品の分離保管・調理器具の色分け管理
- 異物混入防止:毛髪・装飾品の管理、作業中の行動基準
調理スキルを活かしたキャリアアップの道
外食業の特定技能として日本で調理業務に携わることで、日本料理の技術を体系的に習得できます。調理師法に基づく調理師免許を取得すれば、外国人でも日本で正式な「調理師」として働くことができ、より高度な調理業務への従事と収入アップが期待できます。 調理師免許の取得要件は、調理師学校(1年制)の修了または2年以上の実務経験があり、調理師試験に合格することです。特定技能として日本の飲食店で2年以上勤務した実績は、調理師試験の受験資格として認められます。また、特定技能2号への移行に向けた実務経験としてもカウントされます。接客・店舗管理業務の内容と活かせるスキル
接客業務の具体的な内容
外食業の特定技能における「接客」業務は、お客様が来店してから退店するまでの一連のサービスに関わるすべての業務が含まれます。- 来店・案内:お客様の出迎え、席への案内、メニューの提供
- 注文受付:メニュー説明、注文の聞き取り・記録(タブレット・ハンディ等)
- 配膳・下膳:料理・飲料の提供、使用済み食器の回収
- 会計業務:レジ操作、釣り銭の管理、クレジットカード・電子マネー対応
- テーブル準備:テーブルセッティング、テーブル拭き
- クレーム対応補助:お客様からのご意見・要望の受け付け
店舗管理補助業務の範囲
特定技能では「店舗管理」業務も対象に含まれており、これは単なる調理・接客を超えたマネジメント補助業務です。主な内容は以下の通りです。- 食材・備品の発注管理:在庫数の確認・発注書の作成補助
- 売上管理補助:日次売上の集計・記録
- シフト管理補助:アルバイトスタッフのシフト調整の補助
- 衛生管理記録:HACCP管理記録の記入・管理
- 新人スタッフへの業務指導:OJTによる基本業務の指導
多言語スキルを活かせる接客の現場
インバウンド(訪日外国人)が増加する中、日本の飲食店では多言語対応スタッフへのニーズが急増しています。特定技能の外国人材が母国語(中国語・英語・韓国語・ベトナム語等)を活かして外国人観光客に対応できることは、雇用企業にとって大きな付加価値です。 観光地周辺の飲食店、ホテル内レストラン、空港内店舗などは特に多言語対応スタッフの需要が高く、給与水準も一般的な飲食店より高い傾向があります。日本語と母国語の両方を活かせる環境を積極的に選ぶことで、自身の市場価値を高めることができます。地域別・業態別の給与相場
大都市圏(東京・大阪・名古屋)の給与水準
大都市圏では最低賃金が高く、外食業での給与水準も全国で最も高い水準にあります。| 業態 | 時給目安 | 月収目安(フルタイム) |
|---|---|---|
| ファストフード・カフェ | 1,200〜1,500円 | 20〜25万円 |
| ファミリーレストラン | 1,200〜1,600円 | 20〜27万円 |
| 居酒屋・焼肉店 | 1,200〜1,700円 | 20〜28万円 |
| 和食・割烹レストラン | 1,300〜2,000円 | 22〜33万円 |
地方都市での給与水準と生活コスト
地方都市は大都市圏と比べて給与水準はやや低いものの、家賃・生活費が大幅に安く、実質的な可処分所得は大都市圏と大きな差がない場合もあります。- 北海道・東北・九州地方:時給950〜1,150円、月収16〜20万円
- 中部・関西(大阪以外):時給1,050〜1,250円、月収18〜21万円
- 北陸・山陰地方:時給950〜1,100円、月収16〜19万円
業態別の給与比較と選び方のポイント
業態によって働く環境・収入・スキルアップの機会が大きく異なります。自分のキャリア目標に合わせた業態選びが重要です。- ファストフード・チェーン店:研修制度が充実・シフト管理が明確・昇格基準が明確。調理スキルより接客・業務効率スキルが身につく
- 居酒屋・焼肉店:夜間勤務が多く深夜手当で収入アップ可能。接客と調理両方のスキルが身につく
- 和食・割烹レストラン:本格的な日本料理の技術を習得可能。給与水準が高いが採用のハードルも高い
- ホテル内レストラン:多言語対応が求められ、英語・中国語スキルが活かせる。給与・待遇が比較的安定
食品産業特定技能協議会と就職活動のポイント
食品産業特定技能協議会への加入義務
外食業分野で特定技能外国人を雇用する企業は、「食品産業特定技能協議会」(事務局:農林水産省食料産業局外食・食文化課)への加入が義務付けられています。- 加入費用:無料
- 加入義務者:外食業の特定技能外国人を雇用するすべての飲食店・飲食企業
- 加入申請:農林水産省のウェブサイトからオンラインで申請
⚠️ 加入タイミングの注意点(2024年6月以降)2024年6月以降、在留資格の申請前に協議会への加入証明書を取得することが必要になりました。従来は「雇用後4か月以内の加入」でしたが、現在は「申請前に加入→加入証明書を取得→ビザ申請」の順番になっています。雇用企業は必ず事前に手続きを完了させてください。
求人の探し方と就職活動のコツ
外食業の特定技能求人を探す主な方法は以下の通りです。- Indeed・アルバイトEX・タウンワーク:「外食 特定技能」「飲食 外国人採用」などのキーワードで検索
- 外国人専門の就職支援サービス:外国人向け求人サイト(GaijinPot Jobs、Jobs in Japan等)
- 登録支援機関:特定技能外国人の就労支援を専門に行う機関
- 行政書士事務所:ビザ申請と就職先紹介をセットで対応する事務所
特定技能2号への移行と将来のキャリア
外食業の特定技能2号は2023年6月から対象となりました。特定技能2号の主なメリットは以下の通りです。- 在留期間:更新上限なし(実質的に永続在留が可能)
- 家族帯同:配偶者・子どもの帯同が認められる
- 転職の自由度:外食業内であれば比較的自由に転職可能
- 実務経験:複数の従業員を指導・監督しながら接客を含む業務と店舗管理補助の経験が2年以上
- 技能試験:特定技能2号評価試験(250点満点・65%以上が合格基準・試験時間70分)に合格
- 日本語要件:JLPT N3以上が必須(外食業の特定技能2号は他分野より高い日本語能力が求められます)
⚠️ 外食業2号の特徴:N3が必須多くの特定技能2号分野ではN4程度の日本語力で対応可能ですが、外食業(と漁業)は例外的にJLPT N3以上が必要です。これは食物アレルギー情報の正確な伝達や複雑なオーダーへの対応など、より高度な日本語コミュニケーション能力が必要とされるためです。2号を目指す場合は、1号として働きながらN3取得を計画に入れましょう。
外食業の2号試験は合格率が約38.7%(第1回試験実績)と1号より難易度が高いため、早期から計画的に準備することが重要です。特定技能1号として経験を積みながら、将来の店長・エリアマネージャーを目指すキャリアプランを持つことが、日本での長期的な就労・生活につながります。永住許可の要件を満たした後は、永住権を取得して日本に腰を据えて働くことも可能です。
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