特定技能2号の対象業種拡大|11分野への拡大で変わる家族帯同・永住申請と企業対応

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「特定技能1号でもう5年近く働いているけれど、このまま日本に居続けることはできるのだろうか」

そうした不安を持つ外国人技能者の方や、優秀な人材を長期定着させたい企業の担当者に向けて、本記事では特定技能2号の対象分野拡大とその実務的な影響を徹底解説します。

  • 2023年6月に2分野から11分野へ拡大した経緯と、今後の分野追加の見通し
  • 家族帯同・永住申請への道筋と具体的な手続き
  • 企業側で変わるコスト構造と求められる受入体制の整備

2025年6月末時点で特定技能2号の在留者数は3,073人と半年で3.7倍に急増しています。この制度の正確な理解が、外国人材のキャリア設計と企業の採用戦略を左右します。

特定技能2号とは?1号と比べた主な違い

特定技能2号と1号の違いを比較するイメージ

特定技能2号とは、「熟練した技能」を有すると認められた外国人材に付与される在留資格です。同じ特定技能でも1号とは複数の点で大きく異なります。

在留期間の上限がなく「実質的な永続就労」が可能

特定技能1号には通算5年という在留期間の上限がありますが、2号には上限がありません。在留期間(3年・2年・1年・6か月)の更新を繰り返すことで、取り消し事由に該当しない限り永続的に日本で就労できます。

2025年10月の制度改正では、更新区分に「2年」が新設され、長期在留者の利便性がさらに向上しています。

家族を日本に呼べる「家族帯同」が認められる

特定技能1号は家族帯同が一切認められていませんが、2号では配偶者と18歳未満の子を日本に呼ぶことができます。家族には在留資格「家族滞在」が付与され、資格外活動許可を取得すれば週28時間以内のアルバイトも可能です。

支援義務が不要となり企業のコスト負担が大幅に減る

特定技能1号では受入企業が支援計画書の作成・提出や10項目の義務的支援を行う必要があり、多くの企業は月2〜4万円のコストをかけて登録支援機関に委託しています。一方、特定技能2号ではこれらの支援義務が一切不要となり、受入コストが大幅に削減されます。

1号と2号の主な違いをまとめた比較表です。

比較項目 特定技能1号 特定技能2号
在留期間の上限 通算5年(上限あり) 上限なし(更新継続)
家族帯同 不可 可(配偶者・18歳未満の子)
永住の「就労5年」へのカウント カウントされない カウントされる
日本語試験 原則必須 原則免除(外食業・漁業のみN3必須)
技能水準 相当程度の知識・経験 熟練した技能+監督・指導経験
支援計画・登録支援機関 義務(委託が一般的) 不要
対象分野数 16分野 11分野(介護等は除く)

2023年の歴史的転換:2分野から11分野への拡大経緯

特定技能2号の対象分野が拡大された閣議決定のイメージ

特定技能2号の対象分野は、制度発足から数年間はほとんど活用されていませんでした。それを大きく変えたのが2023年6月の閣議決定です。

2019年の制度創設時:建設・造船の2分野のみ

2019年4月に特定技能制度が始まった当初、特定技能2号の対象は「建設」と「造船・舶用工業」の2分野のみでした。両分野でも試験の整備が不十分で、2022年末時点の2号在留者数はほぼゼロという状況が続いていました。

「在留期間に上限があり、熟練した外国人材を長期に活用できない」という産業界からの声が高まり、制度見直しの議論が進みました。

2023年6月9日閣議決定:9分野を一括追加

令和5年6月9日、政府は閣議決定により特定技能2号の対象分野を大幅に拡大しました。以下9分野が新たに追加され、合計11分野となりました。

  • ビルクリーニング業
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業(工業製品製造業)
  • 自動車整備業
  • 航空業
  • 宿泊業
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
2号対象11分野(2023年6月以降)
建設、造船・舶用工業、ビルクリーニング、工業製品製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業

2024年3月:16分野に拡大するも2号は当面「未対応」

2024年3月29日の閣議決定では、特定技能1号の対象として自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野が新たに追加され、全体が16分野となりました。ただし、これら4分野については現時点で特定技能2号の試験・要件が設定されておらず、将来的な対応が検討されています。制度の成熟に合わせて順次2号が追加されていく見通しです。

介護分野が2号対象外の理由

16分野のうち「介護」については、特定技能2号が設定されていません。これは、介護分野では国家資格「介護福祉士」を取得することで在留資格「介護」へ移行でき、長期在留・家族帯同という2号と同等の待遇が別途用意されているためです。介護分野で長期就労・家族帯同を目指す方は、介護福祉士資格の取得を優先して検討してください。

2号への移行要件:試験と実務経験の条件

特定技能2号の試験に臨む外国人技能者のイメージ

特定技能2号を取得するには、分野ごとの技能試験合格と実務経験が必要です。共通の条件を確認しましょう。

特定技能1号からしか移行できない

特定技能2号は、特定技能1号を経ずに直接取得することはできません。技能実習から直接2号への移行も認められておらず、必ず1号での就労経験を積んでから試験に臨む流れとなります。

全分野共通:2〜3年の実務経験と指導・管理職経験

2号が求めるのは「熟練した技能」に加えて、複数の作業員を指導・管理した経験です。分野によって年数は異なりますが、概ね以下の要件があります。

  • 2年以上の実務経験が必要な分野:外食業(副店長等として)、飲食料品製造業、ビルクリーニング、農業(指導管理ルート)、漁業、宿泊など
  • 3年以上の実務経験が必要な分野:工業製品製造業、自動車整備、航空、農業(一般実務ルート)など

外食業・漁業のみ日本語N3が追加で必須

11分野のうち外食業と漁業のみ、JLPT N3以上の日本語能力が別途義務付けられています。その他の9分野は日本語試験の提出が不要ですが、試験問題はすべて日本語で出題されるため実質的にN3相当の能力が必要です。

分野別の試験難易度と合格率の目安は以下の通りです。

分野 合格率目安 受験料 日本語試験
飲食料品製造業 51〜56% 15,000円 不要
工業製品製造業 61〜66% 15,000円 不要
外食業 47〜60% N3必須
造船・舶用工業 86〜100%(溶接区分) 15,000円前後 不要
農業 36.8%(2024年度) 15,000円 不要
建設 13〜66%(区分・時期による) 2,000円(格安) 不要
ビルクリーニング 10〜27%(全分野最難関) 16,500円 不要
漁業 0〜50%(変動大) N3必須
宿泊 4〜100%(変動大) 15,000円 不要
自動車整備 0〜不安定 不要
航空 データ少(2号移行0人) 不要

家族を日本に呼ぶ方法:家族帯同の手続きと注意点

日本に呼び寄せた家族と生活する外国人技能者のイメージ

特定技能2号を取得した後に配偶者や子どもを日本に呼び寄せる場合、在留資格「家族滞在」の申請が必要です。手続きの流れと注意点を確認しましょう。

帯同できる家族の範囲と付与される在留資格

帯同が認められる家族の範囲は以下の通りです。

  • 配偶者:法律上の婚姻関係が必要(事実婚・パートナーシップ制度は不可)
  • 子ども:18歳未満(成人した子は帯同不可)

付与される在留資格は「家族滞在」で、在留期間は5年以内です。親の在留資格更新に合わせて家族の更新申請も必要になります。

申請の5ステップ(全体で半年程度)

家族帯同の手続きは以下の流れで進めます。全体でおよそ半年程度の期間を見込んでください。

  1. 在留資格認定証明書交付申請:日本在留中の2号本人が住所地管轄の出入国在留管理局に申請(審査期間:1〜3か月)
  2. 証明書の送付:発行された在留資格認定証明書を本国の家族に郵送
  3. 査証(ビザ)申請:家族が現地の日本大使館・領事館で申請(受理後1週間前後)
  4. 入国・上陸審査:空港での審査を経て在留カードを受け取る
  5. 住所登録:入国後14日以内に市町村役場で住所登録

主な必要書類は、婚姻・親子関係を証明する書類(戸籍謄本に相当するもの)、2号本人の雇用契約書・収入証明書・課税証明書、住宅確保を示す書類(賃貸契約書等)です。

配偶者の就労は週28時間が上限

「家族滞在」ビザは扶養を受けていることが前提のため、就労は原則不可です。ただし、資格外活動許可を取得すれば週28時間以内のアルバイトが可能です。

それ以上就労させたい場合は、配偶者自身が別途「技術・人文知識・国際業務」等の就労系在留資格を取得する必要があります。高度専門職ビザでは配偶者が就労制限なく働ける点と比較すると、家族滞在の就労制限は大きな違いとなります。

注意:帯同後も扶養実態の確認が続く
家族帯同後も入管による扶養実態の確認や子どもの就学状況の審査が継続されます。扶養関係の実態がなくなった場合は在留資格取消の対象となるため、生活実態の維持が重要です。

特定技能2号から永住権への具体的な道筋

永住権取得を目指してキャリアアップする外国人技能者のイメージ

特定技能2号の最大のメリットのひとつが、永住権申請への道が開けることです。ただし、実際に永住を取得するには時間と条件が必要です。

永住申請の3つの要件(令和8年2月改訂ガイドライン準拠)

永住許可には以下の3要件を同時に満たす必要があります。

  • 在留要件:連続して10年以上日本に在留していること、そのうち就労資格で5年以上であること
  • 素行要件:日本の法令を遵守し、素行が善良であること(軽微な交通違反でも繰り返すと影響が出る場合あり)
  • 独立生計要件:安定した収入・資産があり、扶養家族を含めて自立した生活ができること

なぜ1号・技能実習の期間が「就労5年」にカウントされないのか

「継続10年在留のうち就労資格で5年以上」という要件について、在留資格ごとのカウント可否が異なります。

  • 技能実習:10年の在留には算入できるが、就労5年には算入不可
  • 特定技能1号:10年の在留には算入できるが、就労5年には算入不可
  • 特定技能2号:10年の在留にも就労5年にも、どちらにも算入可

技能実習や特定技能1号として長年働いてきた外国人材も、特定技能2号に移行して初めて永住への「カウント」が始まります

現実的な永住取得シミュレーション

最も多いパターンを例に、永住申請が可能になるまでの年数を試算します。

パターンA:技能実習3年 → 特定技能1号5年 → 特定技能2号5年以上

  • 合計在留期間:13年以上
  • うち就労5年カウント対象:特定技能2号の5年のみ
  • → 特定技能2号で5年経過した時点(入国から13年目)に申請可能

パターンB:留学4年 → 特定技能1号(在留1号)→ 特定技能2号6年

  • 留学4年 + 1号1年 + 2号5年 = 合計10年
  • うち就労5年カウント対象:特定技能2号の5年
  • → 入国から10年目に申請可能
永住申請のポイント
「継続10年」の要件は在留の空白期間があると崩れます。在留資格の変更・更新の際に空白が生じないよう、早めに行政書士・弁護士に相談することをお勧めします。また、2026年2月に永住許可に関するガイドラインが改訂されており、最新版を必ず確認してください。

急増する2号在留者:2025年6月末の最新データ

特定技能2号在留者数の推移を示すグラフのイメージ

2023年6月の分野拡大以降、特定技能2号の在留者数は急速に増加しています。

半年で3.7倍に増加:2025年6月末で3,073人

出入国在留管理庁の統計によると、特定技能2号の在留者数は次のように推移しています。

  • 2023年6月(拡大直前):ほぼゼロ
  • 2024年6月末:174人
  • 2024年12月末:832人
  • 2025年6月末:3,073人(2024年12月末比で約3.7倍に急増)

特に2024年後半から増加ペースが加速しており、特定技能1号の通算在留期間上限(5年)に達した外国人材が、順次2号へ移行し始めたことが主因と分析されています。

飲食料品製造業が821人でトップ

2025年6月末時点の分野別在留者数は以下の通りです。

  • 飲食料品製造業:821人(全分野最多)
  • 建設:561人
  • 農業:519人
  • 外食業:510人
  • 工業製品製造業:410人
  • 造船・舶用工業:146人
  • 自動車整備:73人
  • 宿泊:17人
  • 漁業:11人
  • ビルクリーニング:5人
  • 航空:0人

国籍別では、ベトナムが2,216人(約72%)と圧倒的多数を占め、次いで中国(303人)、インドネシア(153人)の順です。

1号在留者の93.5%が2号移行を希望している

ある調査によると、特定技能1号在留者の93.5%が将来的な2号への移行を希望しています。しかし2025年6月時点で実際に2号を取得できているのは1号在留者333,123人のうちわずか3,073人(約0.9%)です。試験難易度や実務経験要件の高さが、希望と実態の大きな乖離を生んでいます。この差を埋めることが、今後の課題となっています。

企業が2号受入れで準備すべきこと

企業の人事担当者が特定技能2号の受入体制を整備する会議のイメージ

特定技能2号の外国人材を受け入れる企業にとって、1号と比べてどのような変化があるのかを整理します。

登録支援機関費用が月2〜4万円/人ゼロになる

特定技能1号では、受入企業が支援計画書に基づいた10項目の義務的支援を実施しなければなりません。多くの企業は登録支援機関に委託しており、1人あたり月額2〜4万円(平均2.8万円)のコストが発生しています。

特定技能2号ではこれらの支援義務が一切不要となります。外国人材を10人雇用している企業であれば、年間で最大336万円のコスト削減が見込まれます。

不要になる義務と残る行政手続き

1号では義務だったが2号では不要となる主な事項です。

  • 支援計画書の作成・提出
  • 生活オリエンテーション(10項目の義務的支援)
  • 登録支援機関との委託契約

一方、以下の手続きは2号でも継続して必要です。

  • 在留資格の更新申請(3年・2年・1年・6か月単位で都度必要)
  • 出入国在留管理庁への各種届出(雇用条件の変更等)
  • 社会保険・労働保険への加入と適切な処遇の維持

給与テーブルと評価制度の整備が求められる

特定技能2号では「熟練した技能を要する業務に就かせること」が要件であり、同じ職場・同じ職種の日本人と同等以上の賃金が義務付けられています。班長・職長・副店長クラスの日本人の給与(月25〜35万円程度)を参照基準として給与テーブルを設計することが求められます。

また、2号外国人に対する明確なキャリアパス(班長→主任→現場監督→管理職など)を書面で提示することで、定着率の向上にもつながります。移行を見据えた人事制度の整備を今から進めておくことをお勧めします。

まとめ:特定技能2号時代に向けた3つの準備

2023年6月の閣議決定により、特定技能2号の対象分野は2分野から11分野へと大幅に拡大されました。2024年3月の16分野への拡大を経て、今後さらに多くの分野で2号対応が進む見込みです。

本記事のポイントを改めて整理します。

  • 外国人技能者の方へ:特定技能2号に移行すれば、家族帯同・在留期間無制限・永住への道が開けます。1号として5年間を積み重ねた後も日本で働き続けたい方は、早めに所属分野の2号試験の情報を収集し、準備を始めましょう
  • 企業・受入機関の方へ:2号移行後は登録支援機関費用がゼロになります。一方で給与テーブルの整備と評価制度の構築が求められます。特定技能1号外国人材の5年上限到来を前に、移行を見据えた人事制度の整備を今から進めてください
  • 外食業・漁業の関係者の方へ:2号取得にはJLPT N3が追加で必須です。他の分野より早めの日本語学習支援を実施することで、2号移行の後押しができます

特定技能制度は2026年以降も制度改正が見込まれています。最新の情報は出入国在留管理庁の公式サイトや専門の行政書士にご確認ください。MIRAIでは特定技能2号への移行サポートや企業向けの人事制度整備支援も行っています。お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

西脇 清訓

MIRAI行政書士事務所

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代表行政書士

西脇 清訓

プロフィール

2020年行政書士事務所開業以来、国際業務、相続業務、補助金申請・法人設立など、人生と事業の節目に寄り添う専門家として、実務経験と豊富な知識を活かし、多くのお客様の課題解決に貢献してまいりました。

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