登録支援機関の義務的支援10項目完全解説|実施方法と違反時のペナルティ

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「義務的支援って10項目あるけど、具体的に何をどこまでやればいいの?」

特定技能1号外国人を受け入れる企業には、法律で定められた10項目の義務的支援の実施が求められます。これらの支援は登録支援機関に委託することが一般的ですが、委託したからといって受入企業の法的責任がなくなるわけではありません。支援の不履行は登録取消や5年間の受入停止につながる重大なリスクです。本記事では、登録支援機関の担当者向けに、義務的支援10項目の具体的な実施方法・記録管理・2025年改正の変更点・違反時のペナルティまで徹底解説します。

  • 義務的支援10項目それぞれの具体的な実施方法と記録の残し方
  • 2025年4月・9月改正で変わった届出制度と定期面談のオンライン化
  • 支援不履行時のペナルティと登録取消事例から学ぶ教訓

制度改正に対応した適切な支援体制を整え、コンプライアンスリスクを回避しましょう。

義務的支援10項目の全体像|任意的支援との違い

事前ガイダンスのオンライン相談イメージ

特定技能1号外国人に対する支援は、法律で実施が義務付けられた「義務的支援」と、実施が推奨される「任意的支援」に分かれます。まずは両者の違いを正確に理解しましょう。

義務的支援と任意的支援の基本的な違い

区分 義務的支援 任意的支援
法的性質 法律で実施が義務付け 法律上の義務ではない
不履行の結果 登録取消・罰金・受入停止 原則として罰則なし
支援計画との関係 必ず記載・実施が必要 記載した場合は実施義務が発生
費用負担 全て企業負担(外国人への転嫁禁止) 企業負担が望ましい

特に注意すべきは、支援計画書に任意的支援を記載した場合、その項目も実施義務が発生する点です。記載内容は慎重に検討する必要があります。

義務的支援10項目の一覧

  • 1. 事前ガイダンス:入国前の雇用条件・活動内容等の説明
  • 2. 出入国時の送迎:空港から住居等までの送迎
  • 3. 住居確保・生活に必要な契約支援:住居の手配・銀行口座等の契約補助
  • 4. 生活オリエンテーション:日本での生活ルール・法令等の説明
  • 5. 公的手続等への同行:住民登録・社会保険加入等の手続き補助
  • 6. 日本語学習の機会の提供:日本語教室・教材の情報提供
  • 7. 相談・苦情への対応:母国語での相談窓口の設置
  • 8. 日本人との交流促進:地域行事の案内・参加補助
  • 9. 転職支援:非自発的離職時の転職先情報提供
  • 10. 定期的な面談・行政機関への通報:3か月に1回以上の面談実施

支援項目1〜5の実施方法と注意点

空港での出迎え支援のイメージ

義務的支援の前半5項目は、主に外国人の入国前後に集中して実施する支援です。それぞれの具体的な実施方法と注意点を解説します。

1. 事前ガイダンス|入国前の最重要ステップ

在留資格認定証明書の交付申請前または在留資格変更許可申請前に実施します。実施時間は3時間以上が目安で、対面またはビデオ通話で相手の表情が確認できる方法で行います。メール送付や文書の郵送のみでは認められません。外国人が十分に理解できる言語(母国語または通訳付き)で、労働条件・業務内容・入国手続き・保証金徴収の禁止・支援費用を外国人に負担させないこと等を説明します。実施後は事前ガイダンス確認書に本人署名を取得し、雇用契約終了日から1年以上保存してください。

2. 出入国時の送迎|保安検査場まで見届ける義務

入国時は空港等から事業所または住居までの送迎を行います。帰国時は住居から空港の保安検査場の入場まで見届ける必要があり、最寄り駅までの送迎では不十分です。交通費は全て企業負担です。なお、技能実習2号等からの在留資格変更時の移動支援は任意的支援に該当し、一時帰国時の送迎も義務的支援には含まれません。

3. 住居確保・生活に必要な契約支援

住居については、不動産仲介業者の紹介、受入機関が賃貸借契約を締結して提供、社宅の提供のいずれかで対応します。居室の広さは1人あたり7.5平方メートル以上が必要です。2025年9月改正で、敷金・礼金・保証金等の初期費用は企業負担であることが明確化されました。生活に必要な契約支援として、銀行口座開設・携帯電話契約・ライフライン契約の手続き案内・同行も義務です。

4. 生活オリエンテーション|最低8時間の実施が必須

新規入国者は8時間以上、技能実習からの移行者は4時間以上の実施が必要です。資料配布のみでは認められません。日本の法令遵守、交通ルール、ゴミ分別、金融機関の利用方法、医療機関の受診方法、防災・防犯・緊急時対応の6分野を網羅し、外国人が十分に理解できる言語で実施します。生活オリエンテーション確認書を作成し本人署名を取得してください。

5. 公的手続等への同行

市区町村での転入届(住民登録)、マイナンバーカードの申請、社会保険・国民健康保険の加入手続き、税務関連手続き等に必要に応じて同行し、書類作成を補助します。外国人本人が手続きの内容を理解できるよう通訳を手配することも求められます。特にマイナンバーカードの申請は、2025年からの在留カード一体化に向けて重要性が増しています。手続きの案内だけでなく、実際に窓口まで同行することが義務的支援の要件です。

支援項目6〜10の実施方法と注意点

生活支援に関するフラットレイイメージ

後半5項目は、外国人の在留期間を通じて継続的に実施する支援が中心です。特に定期面談は制度改正による変更点が多いため注意が必要です。

6. 日本語学習の機会の提供

日本語教室・日本語学校の情報提供(入学案内・届出手続き補助を含む)、自主学習用の教材情報提供、オンライン日本語学習ツールの紹介が義務的支援に該当します。日本語教室への入学手続き補助や教材費の負担は任意的支援です。日本語能力の向上は職場でのコミュニケーション改善や安全管理にもつながるため、企業として積極的に取り組むことが推奨されます。なお、日本語能力試験(JLPT)の受験費用を企業が負担することは任意的支援です。

7. 相談・苦情への対応|母国語対応が原則

職場生活・日常生活・社会生活に関する相談に、外国人が十分に理解できる言語で対応する窓口を設置します。必要に応じて労働基準監督署・ハローワーク等の関係行政機関を案内します。勤務時間外・休日も含め対応可能な体制の確保が望ましいとされています。相談記録は雇用契約終了日から1年以上保管する義務があり、実地調査で最も指摘されやすいポイントです。

8. 日本人との交流促進

自治会等の地域住民との交流の場や地域のお祭り・行事の情報を案内し、参加手続きの補助を行います。2025年4月改正では、地方公共団体が推進する多文化共生施策との連携が明記され、受入機関は「協力確認書」の提出が必須となりました。任意的支援として、参加のためのシフト調整や有給休暇の付与も推奨されています。

9. 転職支援(非自発的離職時)

受入機関の都合(人員整理・倒産等)による雇用契約解除時に、転職先の情報提供、ハローワークへの同行、推薦状の作成、求職活動のための有給休暇の付与、離職時に必要な行政手続きの案内を行います。外国人本人の自己都合退職の場合は本支援の義務は発生しません。ただし、自己都合・企業都合を問わず、退職に伴う国民健康保険・国民年金への切替え手続き等の案内は、相談対応の一環として対応することが望ましいです。2025年4月改正で、自己都合退職時の「受入困難届出」は不要となりましたが、「雇用契約終了の届出」は引き続き必要です。

10. 定期的な面談・行政機関への通報

3か月に1回以上の頻度で、特定技能外国人本人と直接の監督者(上司)の双方と面談を実施します。本人と監督者は別々に面談し、自由に発言できる環境を確保してください。労働基準法違反や入管法違反等が認められた場合は、関係行政機関に通報する義務があります。面談報告書(参考様式第5-5号・第5-6号)を作成し、雇用契約終了日から1年以上保存します。

2025年改正で変わった届出制度と定期面談のオンライン化

生活オリエンテーションのイメージ

2025年4月と9月の2回にわたる制度改正で、届出制度と定期面談のルールが大きく変わりました。登録支援機関として確実に対応すべきポイントを整理します。

定期届出の年1回化(2025年4月施行)

従来の四半期ごとの届出(年4回)が年1回に統一されました。届出対象期間は4月1日〜翌年3月31日で、翌年4月1日〜5月31日が提出期限です。届出書類も2種類から1種類に統合され、新様式「参考様式第3-6号」を使用します。届出主体は所属機関(受入企業)に一本化され、登録支援機関が別途届出する必要はなくなりましたが、連名での提出が求められます。

定期面談のオンライン化が可能に

2025年4月から、以下の条件を満たせばオンラインでの定期面談が認められるようになりました。

  • 特定技能外国人本人と監督者の同意があること
  • 互いの表情が確認できるツールを使用すること(音声のみは不可)
  • 初回面談は対面で実施すること
  • 年に1回以上は対面での面談が推奨されること
  • 問題が発覚した場合は対面で再面談を行うこと
  • オンライン面談の映像は雇用契約終了日から1年以上保存すること

「オンライン実施に同意した」旨の証明書の保存も必要です。変更届出は不要ですが、面談環境の適切性(自由に発言できる環境)の確認が義務化されています。

その他の主な変更点

  • 適格性書類の提出省略:オンライン申請かつ一定の事業規模の機関は省略可能に
  • 一定期間不就労の届出新設:一定期間働いていない場合の届出が新たに義務化
  • 地域共生施策との連携:受入機関が「協力確認書」を地方公共団体へ提出することが必須に
  • 住居費用の明確化(2025年9月改正):敷金・礼金・仲介料・更新料を外国人に負担させることは不可と明確化

支援不履行時のペナルティ|登録取消の要件と罰則一覧

相談対応のイメージ

義務的支援の不履行は、登録支援機関と受入企業の双方に深刻なペナルティをもたらします。処分の種類と要件を正確に把握しておきましょう。

登録支援機関に対する登録取消事由

入管法第19条の32に基づく登録取消事由は以下の5類型です。

  • 1号:登録拒否事由(刑罰を受けた場合等)に該当するに至った場合
  • 2号:届出義務を履行しなかった場合(定期届出・随時届出の懈怠、虚偽届出)
  • 3号:委託された支援計画に基づく支援業務を行わなかった場合
  • 4号:不正の手段により登録を受けた場合
  • 5号:報告・資料の提出に応じなかった場合、または虚偽の報告をした場合

登録取消後は5年間再登録が認められません。法人の場合は役員個人にも同様の制限が及びます。

罰則の種類と内容

違反類型 罰則内容
届出の不履行・虚偽届出 30万円以下の罰金+登録取消対象
支援計画の不履行 欠格事由→5年間の受入停止
不法就労助長罪 5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金
外国人への費用転嫁 明確な法令違反(登録取消対象)

登録取消の実例と2027年の要件厳格化に向けた備え

定期面談のイメージ

過去の登録取消事例から教訓を学び、2027年4月に予定されている要件厳格化への準備を進めましょう。

初の登録取消事例|グランウェイ株式会社のケース

2020年8月、名古屋市の人材派遣会社グランウェイ株式会社が特定技能制度における初の登録取消処分を受けました。外国人の本人署名欄を会社が無断で代筆し、虚偽の書類を複数回にわたり入管庁に提出したことが取消理由です。関連会社2社も業務廃止届を提出しました。この事例は、書類の真正性に対する入管庁の厳格な姿勢を示しています。登録支援機関としては、外国人本人の署名や確認を形式的に処理せず、必ず本人の意思を確認した上で適正に書類を作成・提出する体制を構築しなければなりません。

統計データ|取消と登録機関数の推移

制度開始(2019年4月)から約4年間で登録取消は14機関にとどまります。取消理由の内訳は、技能実習制度における不正行為が4件、出入国・労働関係法令による罰金刑が4件、保証金契約・支援業務未実施が2件、その他が4件です。登録支援機関数は2026年3月時点で11,208件まで増加していますが、約8割は実質的に支援業務を行っていないとの指摘もあります。支援委託費用の相場は月額2〜4万円/人(出入国在留管理庁の調査では平均約28,386円/月)で、登録支援機関の質と費用のバランスが受入企業にとっての重要な選定基準となっています。

2027年4月の要件厳格化に備える

育成就労制度の施行に合わせ、2027年4月から登録支援機関の要件が大幅に厳格化されます。

  • 支援責任者の常勤化:各事務所に1名以上配置。過去3年以内に法務大臣が告示で定める講習を修了していること
  • 支援担当者の常勤化:担当者1名あたり特定技能外国人50人以下、受入機関10以下の上限設定
  • 実績・費用のインターネット公表義務:支援業務の実績と費用の内訳を公表
  • 実務経験要件:過去5年間に2年以上、中長期在留者の生活相談業務に従事した経験が必要

これらの要件強化により、名義貸し型や実態のない登録支援機関の大量淘汰が予測されています。今から支援体制の整備と人材育成に着手することが重要です。特に、支援責任者・担当者の常勤化は人件費の大幅増加を意味するため、事業計画の見直しや委託費用の適正化も含めた経営戦略レベルでの検討が必要になります。

まとめ|登録支援機関が今すぐ取り組むべきチェックリスト

コンプライアンスチームのビジネスポートレート

義務的支援10項目の確実な実施は、登録支援機関の存続に関わる最重要課題です。以下のチェックリストで自社の支援体制を点検してください。

支援実施体制のチェックポイント

  • 記録管理:事前ガイダンス確認書・生活オリエンテーション確認書・相談記録・面談報告書を雇用契約終了日から1年以上保存しているか
  • 定期面談:3か月に1回以上、本人と監督者を別々に実施しているか。オンライン面談の場合は同意書と映像を保存しているか
  • 届出:年次定期届出を期限内に提出しているか。随時届出が必要な事由(雇用契約変更・転職等)を見逃していないか
  • 費用負担:義務的支援の費用を外国人本人に転嫁していないか。給与からの天引き等を行っていないか

2027年に向けた準備事項

  • 支援責任者・担当者の常勤化計画を策定し、必要な人員を確保する
  • 法務大臣告示の講習の情報を入手し、受講スケジュールを立てる
  • 支援業務の実績と費用の透明化に向けた社内体制を整備する

義務的支援の適切な実施と制度改正への対応でお困りの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。特定技能制度に精通した行政書士が、支援計画の作成から届出対応まで全力でサポートいたします。

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この記事の監修者

西脇 清訓

MIRAI行政書士事務所

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代表行政書士

西脇 清訓

プロフィール

2020年行政書士事務所開業以来、国際業務、相続業務、補助金申請・法人設立など、人生と事業の節目に寄り添う専門家として、実務経験と豊富な知識を活かし、多くのお客様の課題解決に貢献してまいりました。

近年増え続けている外国人採用企業様への支援体制を強化し、中国人スタッフや多言語対応スタッフと共に、各種VISA申請をサポートしております。

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