「登録支援機関の登録申請って、自分でやるのと行政書士に頼むのとどっちがいいの?」
特定技能外国人の受入れ支援を事業として行うには、出入国在留管理庁への登録支援機関の登録が必要です。申請手数料28,400円に加えて、行政書士への代行報酬15万〜25万円が相場ですが、書類の不備による返戻を避けて確実に登録を完了させたい場合は専門家への依頼が得策です。
- 登録支援機関の登録要件と登録拒否事由の最新基準
- 申請から登録完了までの5ステップと必要書類一覧
- 行政書士に依頼する費用相場と選び方のポイント
本記事では、2027年4月の要件厳格化も見据えて、登録支援機関の登録申請を確実に進めるための実務情報を網羅的に解説します。
登録支援機関とは|登録が必要な理由と4つの登録要件
登録支援機関は、特定技能1号外国人の受入れに必要な義務的支援を、受入企業(特定技能所属機関)に代わって実施する機関です。出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関のみが支援業務を行うことができます。2026年3月時点で全国に約11,200件の登録がありますが、約8割は支援実績がないとされています。
登録支援機関が求められる背景
特定技能1号外国人を受入れる企業は、義務的支援10項目を実施する義務がありますが、多言語対応や定期面談の実施など、社内リソースだけで対応することは容易ではありません。そのため、多くの企業が登録支援機関に支援業務を委託しています。支援委託費の月額平均は1人あたり約28,000円(出入国在留管理庁調査)で、最多価格帯は20,000〜25,000円、約9割が月額30,000円以下となっています。
登録支援機関のビジネスモデルは、この支援委託費による月額安定収入が基盤です。加えて、人材紹介業を兼業している場合は1人あたり20万〜80万円の紹介手数料が加算されるケースもあり、外国人材ビジネスの中核的なポジションを占めています。
4つの登録要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| A. 受入れ実績 | 申請日前2年以内に中長期在留者(就労資格)の受入れ実績があること |
| B. 相談業務経験 | 申請日前2年以内に外国人に関する各種相談業務に有償で従事した経験があること |
| C. 担当者の経験 | 支援責任者・担当者が過去5年間に2年以上、中長期在留者の生活相談業務に従事した経験 |
| D. 同等能力 | A〜Cと同程度に支援業務を適正に実施できると認められること |
A〜Dのいずれか1つを満たせば登録要件をクリアできます。実績がない法人の場合でも、支援責任者・担当者の個人的な経験(要件C)や、行政書士・社労士等の士業資格による同等能力(要件D)で申請できるケースがあります。
支援責任者・支援担当者の選任要件
支援業務を行う事務所ごとに、支援責任者を1名以上選任する必要があります。支援責任者は支援担当者を兼ねることが可能です。選任される者は登録拒否事由(入管法第19条の26第1項各号)に該当しないことが必要です。
登録拒否事由(欠格事由)の確認
以下に該当する場合は登録が認められません。事前に確認しておくことが重要です。
- 禁錮以上の刑に処せられ、執行終了から5年を経過しない者
- 入管・労働法令違反で罰金刑に処せられた者
- 登録を取り消された日から5年を経過しない者
- 過去5年以内に出入国・労働法令に関し著しく不正又は不当な行為を行った者
- 過去1年以内に特定技能外国人または技能実習生の行方不明者を発生させた者
- 支援に要する費用を外国人本人に負担させる者
- 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
登録申請の流れ|申請先・手数料・審査期間
登録支援機関の登録申請は、出入国在留管理庁(地方出入国在留管理局)に対して行います。申請から登録完了までの流れを5つのステップで解説します。
申請から登録完了までの5ステップ
- Step 1:要件の確認と体制整備:4つの登録要件のいずれかを満たすか確認し、支援責任者・担当者を選任する
- Step 2:必要書類の収集・作成:申請書、登記事項証明書、定款、役員の住民票等を準備する
- Step 3:申請書類の提出:管轄の地方出入国在留管理局に書面で提出(郵送または窓口)
- Step 4:審査:出入国在留管理庁が書類審査を実施(約2か月)
- Step 5:登録完了:登録支援機関登録簿に登載され、登録通知書が交付される
申請手数料と審査期間
| 項目 | 新規登録 | 更新登録 |
|---|---|---|
| 申請手数料 | 28,400円(収入印紙) | 11,100円(収入印紙) |
| 審査期間 | 約2か月(不備がある場合は3〜4か月以上) | 約2か月 |
| 有効期間 | 5年間 | 5年間 |
注意: 審査の結果、登録が認められなかった場合でも収入印紙の返還はありません。書類の不備で返戻された場合は再提出が可能ですが、審査期間がさらに長引くため、最初から正確な書類を提出することが重要です。
よくある書類不備と返戻事例
実務上、以下のような不備で書類が返戻されるケースが多く報告されています。事前にチェックしておくことで審査の遅延を防げます。
- 住民票に本籍地の記載がない(マイナンバー記載なし・本籍地記載ありが正しい)
- 役員全員分の住民票・履歴書が揃っていない(代表者のみ提出してしまうケース)
- 登録支援機関の概要書における支援体制図の記載が抽象的すぎる
- 2年以内の受入れ実績の証明書類が不十分(在留カードのコピーや雇用契約書等の具体的な証拠が必要)
- 定款の目的に支援業務に関連する記載がない(事前に目的変更登記が必要な場合あり)
必要書類一覧|法人・個人事業主の違い
登録申請に必要な書類は法人と個人事業主で一部異なります。以下に一覧を整理します。
法人の場合の必要書類
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 登録支援機関登録申請書 | 省令所定の様式を使用 |
| 手数料納付書 | 28,400円分の収入印紙を貼付 |
| 登記事項証明書 | 発行から3か月以内 |
| 定款又は寄付行為の写し | 支援業務が目的に含まれること |
| 役員の住民票の写し | マイナンバー記載なし・本籍地記載あり |
| 登録支援機関の概要書 | 組織体制・支援体制等を記載 |
| 登録に当たっての誓約書 | 登録拒否事由に該当しない旨 |
| 支援責任者の履歴書・就任承諾書 | 経験年数等を記載 |
| 支援担当者の履歴書・就任承諾書 | 経験年数等を記載 |
| 受入れ実績等を証明する書類 | 受入れリスト、相談業務契約書、資格証明書等 |
個人事業主の場合の違い
個人事業主が登録申請する場合は、登記事項証明書・定款の代わりに住民票の写しを提出します。それ以外の書類は法人と同様です。個人事業主でも登録は可能ですが、支援体制の信頼性の観点から、法人化してからの申請を検討する方も多いです。
行政書士に依頼するメリットと費用相場
登録支援機関の登録申請は自社で行うことも可能ですが、書類の不備による返戻を避け、審査をスムーズに進めるために行政書士に依頼するケースが増えています。
費用相場の内訳
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 行政書士報酬(新規登録) | 15万〜25万円(税別) |
| 申請手数料(法定) | 28,400円(収入印紙) |
| 登記事項証明書等の取得費 | 数千円(実費) |
| 合計目安 | 約18万〜28万円 |
支払い方式は「着手金50%+登録完了時に残金50%」が主流です。更新申請の場合は10万〜16.5万円程度が相場です。
行政書士に依頼する5つのメリット
- 書類不備の防止:住民票の本籍地記載漏れ、役員全員分の書類不足など、よくある不備を事前に防げる
- 審査期間の短縮:正確な書類を最初から提出することで、返戻による遅延を回避できる
- 要件該当性の判断:4つの登録要件のうちどれに該当するか、最も通りやすいルートを専門家が判断する
- 支援体制の構築支援:概要書に記載すべき支援体制の組み立て方について助言が得られる
- 登録後のフォロー:届出義務や2027年の要件厳格化への対応もサポートしてもらえる
行政書士の選び方
登録支援機関の登録申請を依頼する行政書士を選ぶ際は、以下のポイントを確認してください。
- 入管業務(在留資格・特定技能関連)の取扱い実績が豊富であること
- 申請取次行政書士(届出済み行政書士)の資格を持っていること
- 登録後の運営サポート(届出代行、要件厳格化対応等)にも対応していること
- 見積りの内訳が明確であること(着手金・成功報酬・実費の区分)
登録後の義務|届出・帳簿・立入検査
登録支援機関として登録された後も、継続的な義務が課されます。これらを怠ると登録取消しの対象となるため、確実に遵守する必要があります。
義務的支援10項目の概要
登録支援機関が実施すべき義務的支援は以下の10項目です。これらを適切に実施できる体制が登録の前提となります。
- 事前ガイダンス:来日前に労働条件・入国手続き等を対面またはテレビ電話で説明(3時間以上が目安)
- 出入国送迎:入国時の空港から住居への送迎、帰国時の空港保安検査場までの同行
- 住宅確保・生活契約支援:アパート契約、ライフライン、携帯電話、銀行口座開設等の補助
- 生活オリエンテーション:交通ルール、生活マナー、災害時対応等の説明(8時間以上が目安)
- 公的手続きへの同行:住民登録、社会保険、税金等の行政手続きに同行
- 日本語学習機会の提供:日本語教室や教材の情報提供、学習機会の確保
- 相談・苦情対応:職場・生活上の相談に外国人が理解できる言語で対応
- 日本人との交流促進:自治会活動やお祭り等への参加機会の案内
- 転職支援:受入企業の都合で雇用契約を解除した場合の転職先斡旋等
- 定期的面談・行政機関への通報:3か月に1回以上の面談実施、法令違反発見時の通報
届出義務(定期届出と随時届出)
- 定期届出:年1回(改正後)、支援実施状況に関する届出を出入国在留管理庁に提出する。届出期間は毎年4月1日〜5月31日
- 随時届出:登録事項の変更(住所、役員、支援責任者等)があった場合は14日以内に届出
- 受入れ開始届出:支援を開始した場合は速やかに届出
帳簿の備付け・保存義務
支援業務に関する帳簿を事業所に備え付け、支援業務が終了した日から1年間保存する義務があります。電子データでの保管も認められていますが、立入検査時に速やかに提示できる状態にしておく必要があります。
立入検査への対応
出入国在留管理庁の職員は、登録支援機関の事業所に立入り、帳簿書類の検査を行うことができます。立入検査を拒否・妨害した場合は罰則の対象となるため、日頃から書類を整理しておくことが重要です。
登録取消しを避けるために
登録支援機関の登録は、以下のような場合に取り消される可能性があります。日常の業務運営において常にコンプライアンスを意識することが不可欠です。
- 義務的支援を適切に実施していないことが判明した場合
- 届出義務を履行していない場合(定期届出の未提出等)
- 虚偽の届出を行った場合
- 出入国在留管理庁からの報告徴収や立入検査に応じない場合
- 登録拒否事由に新たに該当した場合(欠格事由の発生)
2027年4月の要件厳格化|今から準備すべきこと
2027年4月の育成就労制度施行に合わせて、登録支援機関の要件が大幅に厳格化されます。現在の登録機関も対応が必要であり、新規登録を検討している方は厳格化後の基準を見据えた体制構築が求められます。
主な変更点
| 項目 | 現行(2026年3月) | 厳格化後(2027年4月〜) |
|---|---|---|
| 支援責任者 | 非常勤でも可 | 常勤の役職員に限定 |
| 講習修了 | 不要 | 過去3年以内に法務大臣告示の講習を修了 |
| 支援担当者 | 非常勤でも可 | 常勤化が必要 |
| 支援実績の公表 | 任意 | インターネット公表が義務化 |
| 担当人数 | 制限なし | 担当者1人あたりの上限を設定 |
ポイント: 約11,200件の登録支援機関のうち約8割は支援実績がないとされており、要件厳格化により大幅な淘汰が予測されます。逆に言えば、しっかりとした体制を構築して登録を維持できれば、競争優位性が高まるチャンスでもあります。
よくある質問|登録支援機関の登録申請Q&A
Q1:受入れ実績がなくても登録できますか?
はい、可能です。登録要件のA(受入れ実績)を満たさなくても、B(相談業務経験)、C(支援責任者・担当者の個人的な経験)、D(同等能力)のいずれかで申請できます。特に行政書士や社労士等の士業資格を持つ方は、要件Dによる申請が認められるケースがあります。ただし、要件Dで申請する場合は、支援業務を適正に実施できる具体的な根拠を示す必要があり、審査が厳しくなる傾向にあります。
Q2:個人事業主でも登録できますか?
はい、個人事業主でも登録支援機関になることができます。ただし、登記事項証明書・定款の代わりに住民票を提出する必要があります。支援体制の信頼性の面から、将来的な法人化も視野に入れて検討するとよいでしょう。
Q3:審査期間はどのくらいですか?
標準的な審査期間はおおむね2か月です。ただし、書類の不備や確認事項がある場合は3〜4か月以上に長期化することがあります。出入国在留管理庁は「支援業務を開始する予定日のおおむね2か月前までに申請を行ってください」と案内しています。
Q4:登録の更新手続きはどうすればいいですか?
登録の有効期間は5年間です。更新申請は、有効期間満了日の6か月前の月の初日から4か月前の月の月末までに行う必要があります。有効期限の7か月前頃に、登録簿記載の住所宛にはがきで事前通知が届きます。更新手数料は11,100円です。期限を過ぎると新規登録申請が必要になるため、カレンダーに登録しておくことをおすすめします。
Q5:行政書士法改正は登録支援機関にどう影響しますか?
2026年1月施行の行政書士法改正により、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」書類を作成する行為が行政書士の独占業務として明確化されました。登録支援機関が支援委託費を受け取りながら在留資格関連の書類を作成する行為は、行政書士法違反のリスクがあります。違反した場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科され、両罰規定により法人にも100万円以下の罰金が適用されます。書類作成が必要な場合は行政書士に外注する体制を整えることが重要です。
Q6:オンラインで登録申請はできますか?
2026年3月時点では、登録支援機関の新規登録申請は書面による郵送または窓口提出が基本です。ただし、登録後の各種届出(受入れ開始届出、変更届出等)は出入国在留管理庁の電子届出システムを利用してオンラインで行うことが可能です。2026年1月には在留申請オンラインシステムの大規模改修が行われ、添付ファイル容量の拡大や一時保存機能が追加されています。
登録支援機関の登録申請は、要件の確認から書類の準備、提出、審査対応まで、専門的な知識が求められる手続きです。特に2027年4月の要件厳格化を見据えると、最初から正しい体制を構築しておくことが長期的に有利です。行政書士法人みらいでは、登録支援機関の新規登録申請から登録後の運営サポートまで、ワンストップで対応しております。まずはお気軽にお問い合わせください。初回のご相談は無料で承っております。



