行政書士と弁護士の入管業務の違い|費用・業務範囲・得意分野を徹底比較

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「ビザの申請って、行政書士と弁護士のどっちに頼めばいいの?何が違うの?」

外国人の在留資格申請を専門家に依頼しようとしたとき、行政書士と弁護士のどちらに相談すべきか迷う方は少なくありません。結論から言えば、通常の申請なら行政書士、不許可後の訴訟や退去強制手続きなどトラブル対応なら弁護士という使い分けが基本です。

  • 行政書士と弁護士の入管業務の法的根拠と業務範囲の違い
  • 同じ申請類型での費用相場の比較(行政書士は弁護士の約1/2〜1/3)
  • ケース別の依頼先判断フロー

本記事では、入管業務における行政書士と弁護士の役割・費用・得意分野を徹底比較し、あなたの状況に合った適切な専門家の選び方を解説します。企業の人事担当者の方も、外国人ご本人も、ぜひ依頼先選びの参考にしてください。

行政書士と弁護士の法的根拠の違い|なぜ両方が入管業務を扱えるのか

入管業務に関する法律の根拠を示す法律書のイメージ

行政書士と弁護士は、それぞれ異なる法律を根拠として入管業務を行っています。両者の法的位置づけを正確に理解することが、適切な依頼先を選ぶ第一歩です。

行政書士の法的根拠(行政書士法)

行政書士は行政書士法第1条の2に基づき、「官公署に提出する書類」の作成を業務としています。入管業務では以下が主な業務範囲です。

  • 書類作成:在留資格認定証明書交付申請書、在留資格変更許可申請書、在留期間更新許可申請書等の作成
  • 申請取次:出入国在留管理庁長官に届出をした行政書士(届出済み行政書士)は、外国人本人に代わって入管への申請を取次ぐことが可能
  • 相談業務:在留資格に関する相談・アドバイス

重要なのは、行政書士の権限は「代理」ではなく「取次」であるという点です。申請の意思決定はあくまで外国人本人(または受入企業)にあり、行政書士が独自の判断で申請を取り下げることはできません。全行政書士の約20〜25%が届出済み行政書士(通称「ピンクカード」保有者)の資格を持っています。

また、2026年1月施行の行政書士法改正により、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」書類を作成する行為が行政書士の独占業務として改めて明確化されました。登録支援機関やコンサルタントが有償で入管への提出書類を作成する行為は違法となるため、行政書士への依頼需要は増加傾向にあります。

弁護士の法的根拠(弁護士法)

弁護士は弁護士法第3条に基づき、「一切の法律事務」を行うことができます。入管業務も当然にその範囲に含まれ、行政書士ができる業務はすべて弁護士も行えます。弁護士も入管への申請取次が可能で、出入国在留管理庁への届出を行った弁護士が取次業務を行えます。さらに、弁護士にしかできない業務として以下があります。

  • 訴訟代理:不許可処分に対する取消訴訟・義務付け訴訟
  • 行政不服審査:審査請求の代理
  • 退去強制手続きの代理:仮放免申請、口頭審理への立会い
  • 刑事弁護:不法就労・不法残留等に関する刑事事件の弁護
  • 紛争案件の代理:入管当局との交渉、収容案件への対応

ポイント: 弁護士は法律事務全般に制限がないため、入管業務のあらゆる場面に対応できます。一方、行政書士は「書類作成と申請取次」に特化しているからこそ、通常の申請業務では高い専門性とコスト効率を発揮します。

業務範囲を徹底比較|申請・届出から訴訟・争訟まで

行政書士と弁護士の業務範囲を比較するイメージ

行政書士と弁護士の業務範囲の違いを、具体的な場面ごとに比較します。

業務内容 行政書士 弁護士
在留資格の申請書類作成 対応可能(主力業務) 対応可能
入管への申請取次 対応可能(届出済みの場合) 対応可能(届出済みの場合)
在留資格に関する相談 対応可能 対応可能
不許可時の再申請 対応可能 対応可能
不許可処分の取消訴訟 対応不可 対応可能(弁護士のみ)
退去強制手続き(仮放免申請等) 対応不可 対応可能(弁護士のみ)
刑事弁護(不法就労等) 対応不可 対応可能(弁護士のみ)
在留特別許可の申請支援 書類作成のみ可能 訴訟を含む全面対応
難民認定申請 書類作成は可能 審査請求・訴訟を含む全面対応

費用相場の比較|同じ申請でどれだけ差があるか

行政書士と弁護士の費用を比較するイメージ

同じ申請類型でも、行政書士と弁護士では費用に大きな差があります。通常の申請では行政書士が弁護士の約1/2〜1/3の費用で済みます。

通常申請の費用比較

申請類型 行政書士 弁護士
在留資格認定証明書交付申請 10万〜16.5万円 22万〜45万円
在留資格変更許可申請 9万〜15万円 17.5万〜44万円
在留期間更新許可申請 6万〜10万円 5.5万〜30万円
永住許可申請 10万〜15万円 22万〜44万円

弁護士のみが対応する業務の費用

業務内容 着手金 報酬金(成功時)
仮放免申請 11万〜22万円 11万〜22万円
在留特別許可 22万〜44万円 22万〜44万円
退去強制事件(全体) 44万〜66万円 22万円〜
行政訴訟(取消訴訟等) 50万円〜 50万円〜

弁護士の費用は「着手金+報酬金」の二段階制が一般的です。着手金は依頼時に支払い、報酬金は成功した場合にのみ発生します。退去強制事件や行政訴訟では合計100万円を超えるケースも珍しくありません。

費用差が生まれる理由

弁護士の報酬が行政書士より高い理由は、主に以下の3点です。

  • 訴訟対応能力の付加価値:弁護士は不許可時に訴訟で争える権限を持っており、その「保険」としての価値が報酬に反映される
  • 業務の範囲が広い:弁護士は法律相談・書類作成・申請取次に加え、入管当局との交渉や紛争解決も担うため、工数が大きくなる
  • 事務所の運営コスト:弁護士事務所は一般的に行政書士事務所より人件費や設備費が高い傾向にある

ただし、更新申請のように定型的な手続きでは、弁護士と行政書士の費用差は比較的小さくなります(行政書士6万〜10万円 vs 弁護士5.5万〜30万円)。案件の複雑さに応じて依頼先を使い分けるのが最も合理的です。

入管手数料の改定にも注意

行政書士・弁護士の報酬とは別に、政府に支払う入管手数料も2025年4月に改定されています。

  • 在留資格変更・更新許可申請:4,000円→6,000円(オンライン申請は5,500円)
  • 永住許可申請:8,000円→10,000円
  • 在留資格認定証明書交付申請:引き続き無料

さらに2026年度には法定上限の大幅引上げ(変更・更新10万円、永住30万円)が予定されています。実際の金額は政令で決定されるため、最新情報を確認してください。

注意: 経済的に困難な外国人向けに、日弁連が法テラスに委託して弁護士費用を援助する制度(法律援助事業)があります。難民認定申請や人道上の案件については原則返済不要で利用できます。

ケース別の依頼先判断フロー|あなたの状況ならどちらに相談すべきか

法律相談を受ける外国人家族と弁護士

行政書士と弁護士のどちらに依頼すべきかは、ご自身の状況によって明確に判断できます。

行政書士に依頼すべきケース

以下のような通常の申請では、入管業務に特化した行政書士への依頼が費用対効果の面で最も合理的です。

  • 新規の在留資格認定・変更・更新申請(通常のビザ手続き全般)
  • 特定技能・技術人文知識国際業務等の就労ビザ申請
  • 配偶者ビザ・永住申請・帰化申請
  • 複数名の同時申請(ボリュームディスカウントが適用される)
  • 在留資格に関する相談・コンサルティング
  • 登録支援機関の登録申請代行
  • 育成就労制度の各種申請(監理支援機関の許可申請、育成就労計画認定等)

行政書士は入管業務を日常的に取り扱っているため、書類作成のスピードと精度に優れています。年間100件以上の申請を処理する専門事務所も珍しくなく、入管の審査傾向を熟知していることが強みです。

弁護士に依頼すべきケース

以下のようなトラブル案件や争訟案件は、弁護士でなければ対応できません。

  • 在留資格の申請が不許可になり、取消訴訟や義務付け訴訟で争いたい場合
  • 退去強制令書が発付された場合(仮放免申請、在留特別許可の取得)
  • オーバーステイや不法就労で刑事事件になった場合
  • 入管施設に収容されている場合の身柄解放
  • 難民認定申請で不認定となり、審査請求・訴訟で争いたい場合
  • 雇用主との労働紛争と在留資格問題が同時に発生している場合
  • 外国人本人が逮捕・勾留されている場合の刑事弁護

なお、異議申出による在留特別許可の許可率は50〜64%程度とされており、弁護士の関与による証拠収集・意見書作成が結果を大きく左右するケースが少なくありません。経済的に弁護士費用の負担が困難な場合は、日弁連が法テラスに委託して運営する法律援助事業を利用できる可能性があります。難民認定申請や人道上の案件では原則返済不要で弁護士費用の援助を受けられます。

グレーゾーンのケース|行政書士と弁護士の両方に相談すべき案件

以下のケースは行政書士でも書類作成は対応可能ですが、法的リスクの程度によっては弁護士への事前相談を検討すべきです。案件の難易度を見極めるために、両方の専門家に相談してから依頼先を決めるのも一つの方法です。

  • 過去に在留資格の不許可歴がある場合の再申請
  • 前科・犯罪歴がある外国人の在留資格申請
  • 在留期間を大幅に超過した後の出頭申告
  • 偽装結婚の嫌疑がかかっている配偶者ビザ申請

これらのケースでは、まず行政書士に相談し、案件の難易度を見極めたうえで弁護士への引継ぎが必要かどうかを判断するのが効率的です。

判断に迷う場合のアドバイス

どちらに相談すべきか判断がつかない場合は、まず行政書士に相談することをおすすめします。通常の申請で解決できるケースが大半であり、仮に訴訟が必要な案件であれば、行政書士から弁護士を紹介してもらうことも可能です。多くの入管専門の行政書士事務所は、弁護士事務所との連携体制を持っています。初回相談は無料としている事務所が多いため、気軽に問い合わせてみてください。

特定行政書士の登場で変わった不服申立ての選択肢

特定行政書士の資格取得と専門性のイメージ

2014年の行政書士法改正により「特定行政書士」制度が創設され、行政書士にも一定の不服申立て代理権が認められるようになりました。2026年の法改正でこの権限はさらに拡大されています。

特定行政書士ができること

特定行政書士は、行政不服審査法に基づく審査請求・再調査請求の手続きにおいて、代理人として行動することができます。2026年の法改正により、対象範囲が「行政書士が作成できる書類に関する許認可等についての不服申立て」全般に拡大されました。

  • 不許可処分に対する審査請求書の作成・提出
  • 審査請求の代理人としての意見陳述
  • 再調査請求の代理

特定行政書士と弁護士の不服申立て権限の違い

手続き 特定行政書士 弁護士
審査請求 代理可能 代理可能
再調査請求 代理可能 代理可能
取消訴訟 代理不可 代理可能
義務付け訴訟 代理不可 代理可能

不許可処分に対して「まず審査請求で争いたい」場合は特定行政書士でも対応可能です。審査請求が棄却され、訴訟に移行する必要がある場合に弁護士へ引き継ぐ流れが効率的です。特定行政書士の審査請求代理の報酬は、通常の申請報酬に数万円〜10万円程度の加算が一般的です。弁護士に最初から訴訟を依頼するよりも、まず特定行政書士による審査請求で解決を試みるほうがコストを抑えられます。

ポイント: 特定行政書士は日本行政書士会連合会が実施する「特定行政書士法定研修」(約18時間)を修了し、考査に合格した行政書士のみが名乗れます。入管業務に特化した行政書士事務所では、所属行政書士の多くが特定行政書士の資格を持っているケースが増えています。

弁護士と行政書士の連携で難案件を解決するパターン

弁護士と行政書士が連携して案件に取り組む様子

複雑な案件では、行政書士と弁護士がそれぞれの強みを活かして連携するケースがあります。

連携パターン1:行政書士が申請、不許可時に弁護士へ引継ぎ

最も一般的な連携パターンです。まず行政書士が申請書類を作成・提出し、万が一不許可になった場合に弁護士へ引き継いで訴訟対応に移行します。行政書士が作成した書類や入管とのやり取りの記録がそのまま弁護士の訴訟準備に活用できるため、スムーズな移行が可能です。初回申請を行政書士に依頼することで、弁護士に最初から依頼するよりも初期費用を抑えつつ、不許可時のセーフティネットを確保できるのがこのパターンの利点です。

連携パターン2:弁護士が法的戦略を立案、行政書士が書類作成

在留資格の取得に法的リスクがある案件(前科歴がある場合、複雑な家族関係がある場合等)では、弁護士が法的リスクの分析と戦略立案を担当し、行政書士が実際の申請書類の作成と取次を行うパターンがあります。弁護士の法的分析力と行政書士の書類作成の実務力を組み合わせることで、許可率を高めることができます。

連携パターン3:ワンストップサービス

行政書士法人と弁護士法人が同じグループ内で運営しているケースでは、在留資格申請から労務問題、訴訟対応まで一貫したサービスを受けることができます。窓口が一つで済むため、企業担当者の負担が軽減されるメリットがあります。

連携を活用する際のポイント

行政書士と弁護士の連携を効果的に活用するために、以下の点を意識してください。

  • 最初に相談した行政書士に「弁護士との連携体制があるか」を確認する
  • 行政書士が作成した書類・入管とのやり取りの記録をすべて保管しておく(弁護士への引継ぎ時に重要)
  • 不許可になった場合は速やかに弁護士に相談する(訴訟提起には期限がある)
  • 費用の総額を事前に確認し、行政書士段階と弁護士段階の費用を合算して予算を組む

まとめ|通常申請は行政書士、トラブル対応は弁護士

適切な専門家を選ぶ判断のイメージ

行政書士と弁護士の入管業務における違いを改めて整理します。

比較項目 行政書士 弁護士
得意分野 書類作成・申請取次(通常申請) 訴訟・退去強制・刑事弁護
費用水準 弁護士の約1/2〜1/3 行政書士の約2〜4倍
訴訟対応 不可(特定行政書士は不服申立てのみ可) 可能(制限なし)
おすすめの場面 通常のビザ申請全般 不許可後の争訟・入管トラブル

行政訴訟全体の原告勝訴率は約10%と決して高くはありませんが、弁護士による適切な証拠収集と法的主張により逆転認定された事例も存在します。まずは費用対効果の高い行政書士で通常申請を進め、万が一の場合は弁護士に引き継ぐという二段構えが、最もリスクとコストのバランスが取れたアプローチです。

在留資格の申請は、まずは入管業務に特化した行政書士への相談が費用対効果の面で最も合理的です。行政書士法人みらいでは、特定技能・就労ビザ・配偶者ビザ・永住申請など幅広い在留資格申請に対応しております。所属する行政書士は全員が届出済み行政書士(申請取次資格保有)であり、年間多数の申請実績があります。万が一の不許可時には提携弁護士への引継ぎもスムーズに行える体制を整えていますので、まずはお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料で承っております。

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この記事の監修者

西脇 清訓

MIRAI行政書士事務所

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代表行政書士

西脇 清訓

プロフィール

2020年行政書士事務所開業以来、国際業務、相続業務、補助金申請・法人設立など、人生と事業の節目に寄り添う専門家として、実務経験と豊富な知識を活かし、多くのお客様の課題解決に貢献してまいりました。

近年増え続けている外国人採用企業様への支援体制を強化し、中国人スタッフや多言語対応スタッフと共に、各種VISA申請をサポートしております。

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