登録支援機関の要件厳格化|2027年施行の支援責任者新要件と今から始める準備

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「2027年4月から登録支援機関の要件が変わるらしいけど、うちは大丈夫だろうか…」

令和6年(2024年)改正入管法により、2027年4月1日から登録支援機関の登録要件が大幅に厳格化されます。支援責任者の常勤必須化過去5年間に2年以上の生活相談業務経験講習修了要件の新設など、「誰でも登録できる」時代は終わりを迎えます。現在11,208件の登録機関のうち、約8割が実質的に支援業務を行っていないとされ、大量淘汰は避けられません。本記事では、新要件の全容と今から始めるべき具体的な準備を徹底解説します。

  • 支援責任者・支援担当者の新要件を現行要件と7項目で徹底比較
  • 講習修了要件・インターネット公表義務など新設ルールの詳細
  • 2027年4月の施行日から逆算した4フェーズの準備行動計画

施行まで残り約1年。今から準備を始めれば、要件厳格化を「淘汰の危機」ではなく「競争優位の確立」に変えることができます。

2027年4月施行|登録支援機関の要件厳格化の全体像

新旧要件を比較する書類イメージ

令和6年(2024年)6月14日に成立した改正入管法(令和6年法律第60号)により、登録支援機関の登録要件が根本的に見直されます。育成就労制度の創設と同時施行となる2027年4月1日を境に、登録支援機関の「質」が問われる時代に突入します。

現行要件と新要件の比較一覧

比較項目 現行要件 2027年4月以降
支援責任者の常勤 不問(非常勤可) 常勤必須
支援責任者の配置単位 組織全体で1名以上 事務所ごとに1名以上
支援責任者の講習 不要 過去3年以内の講習修了
支援責任者の経験要件 明確な規定なし 過去5年間に2年以上の生活相談業務経験
支援担当者の常勤 不問 常勤必須
担当者あたり外国人数 制限なし 50人以下
担当者あたり受入機関数 制限なし 10機関以下

改正の背景|なぜ今、厳格化が必要なのか

登録支援機関数は2026年3月時点で11,208件に達しましたが、約8割は登録しただけで実質的に支援業務を行っていないと指摘されています。名義貸し型の機関や、形式的な支援体制しか持たない機関が多数存在し、特定技能外国人が十分な支援を受けられないケースが問題視されてきました。厳格化の本質は、「量」から「質」への転換であり、登録支援機関が真に外国人の生活と就労を支える存在となることを目的としています。また、2025年4月の制度改正で登録取消処分が累計14機関に達したことも、入管庁が登録要件の底上げに踏み切った要因の一つです。

登録支援機関の登録要件(現行)の概要

改正内容を理解するために、まず現行の登録要件を確認しましょう。現在の主な登録要件は以下の通りです。

  • 過去2年間に就労系在留資格をもって在留する中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った実績があること
  • 過去2年間に報酬を得る目的で業として外国人に関する相談業務に従事した経験を有すること
  • 支援責任者及び支援担当者を選任していること(常勤・非常勤不問)
  • 外国人が十分に理解できる言語で情報提供・相談対応ができる体制があること
  • 登録手数料は28,400円(新規・更新とも同額)、登録有効期間は5年間

これらの要件は参入障壁が低く、「登録するだけなら容易」と言われてきた背景があります。2027年の改正は、この参入障壁を大幅に引き上げるものです。

支援責任者の新要件|常勤化・経験要件・講習修了の3本柱

支援責任者の役割を示すイメージ

新要件のうち最もインパクトが大きいのが、支援責任者に関する3つの要件です。現行制度では「非常勤でも可」とされていた支援責任者の位置づけが、根本から変わります。

常勤必須化と事務所ごとの配置義務

改正前は「登録支援機関の役員又は職員(常勤であることを問わない)の中から選任」とされていましたが、改正後は「支援業務を行う事務所ごとに、常勤の役職員の中から支援責任者を1名以上選任」に変更されます。これにより、複数の事務所を持つ登録支援機関は各事務所に常勤の支援責任者を配置する必要があり、人件費の大幅な増加が見込まれます。例えば、東京本社と大阪支社の2拠点で支援業務を行っている場合、各事務所に1名ずつ合計2名の常勤支援責任者が必要です。現在、非常勤の支援責任者のみで運営している機関は、常勤化に伴う雇用契約の見直しや新規採用が急務となります。

「過去5年間に2年以上の生活相談業務経験」の具体的内容

支援責任者には、過去5年間に2年以上、中長期在留者の生活相談業務に従事した経験が求められます。具体的に認められる業務は以下の通りです。

  • 住居の確保、ライフラインの契約、金融機関・携帯電話の利用契約等に係る支援
  • 生活オリエンテーション(日本での生活に必要な情報の提供)
  • 定期的な面談としての相談対応
  • 行政手続きに関する情報提供・支援
  • 法律相談、労務相談を含む外国人の生活全般に関する相談

重要な点として、ボランティア活動は実績として認められません。報酬・対価を伴う「業務」として行われたことが必須条件です。また、職業紹介事業者が求人情報を紹介する行為のみでは、生活相談業務とは認められません。逆算すると、2027年4月に要件を満たすためには遅くとも2025年4月から生活相談業務に従事していなければ間に合わないことになります。現時点で経験が不足している職員は、今すぐ業務への従事を開始する必要があります。

講習修了要件の新設

支援責任者は、過去3年以内に法務大臣が告示で定める講習を修了した者でなければなりません。講習の具体的な内容(カリキュラム、実施機関、費用、開催頻度等)は今後法務大臣告示で定められる予定であり、2026年3月時点では詳細は未公表です。施行日が近づくにつれて告示が出される見込みのため、出入国在留管理庁の公式ウェブサイトを定期的にチェックし、公表され次第速やかに受講手続きを行える準備を整えておきましょう。

支援担当者の新要件|人数上限と常勤化

人員配置の概念イメージ

支援担当者にも大きな変更が加えられます。これまで人数制限のなかった支援担当者に、明確な上限が設定されます。

1人あたり外国人50人以下・受入機関10以下のルール

改正後は、支援担当者1人あたりの担当外国人数が50人以下、担当受入機関数が10機関以下に制限されます。現在100人以上の外国人を1人の担当者で対応しているケースでは、追加の支援担当者を常勤で確保する必要があります。例えば、外国人120人・受入機関25社を支援している機関の場合、支援担当者は最低3人(120÷50=2.4→3人、25÷10=2.5→3人)の常勤配置が必要です。この人数制限は「支援の質を確保する」という趣旨のもので、1人の担当者が大量の外国人を形式的にしか支援できない現状を改善する狙いがあります。受入機関数の上限10は、定期面談を3か月に1回以上の頻度で確実に実施するための現実的な数字設定です。

支援担当者の常勤化と支援責任者との兼任

支援担当者も常勤が必須となります。ただし、支援責任者との兼任は引き続き認められるため、小規模な登録支援機関では支援責任者が支援担当者を兼ねることで人件費を抑えることが可能です。とはいえ、事務所ごとに常勤の支援責任者1名以上の配置が必須であるため、実質的に最低1名の常勤職員は必須となります。なお、支援担当者にも支援責任者と同様に、過去5年間に2年以上の中長期在留者の生活相談業務経験が求められるとされています。採用段階でこの経験要件を満たす人材を確保するか、既存職員の実務経験を計画的に蓄積する必要があります。

新設ルール|インターネット公表義務と委託先限定

情報公表と透明性のイメージ

人員要件に加え、業務の透明性と質の確保を目的とした新たなルールも導入されます。

支援実績・費用のインターネット公表義務

登録支援機関は、支援業務に係る実績や費用の内訳等をインターネットで公表することが義務付けられます。インターネットでの公表が困難な場合は事務所内での掲示でも可とされていますが、実務上はウェブサイトでの公表が標準となるでしょう。この義務化により、受入企業や外国人が登録支援機関を選ぶ際の判断材料が増え、支援の質と費用の透明性が大幅に向上します。支援委託費用の現在の相場は平均約28,386円/月(出入国在留管理庁調査)ですが、公表義務の導入により価格競争と品質競争が活発化することが予想されます。公表すべき情報としては、支援業務の実施件数、支援対象の外国人数、委託費用の総額と内訳(人件費・通訳費・交通費等)が含まれると見込まれます。ウェブサイトの作成・整備を早めに進めておくことをお勧めします。

支援業務の委託先が登録支援機関に限定

改正後は、受入企業が外部に支援業務を委託する場合、その委託先は登録支援機関に限定されます。現行制度では登録支援機関以外の者にも委託が可能でしたが、支援の質を確保するため限定されることになりました。経過措置として、改正法施行時に登録支援機関以外に委託している場合は、支援対象の外国人が施行後最初に在留期間の更新申請を行うまでの間は、引き続き従来の委託先を利用できます。

経過措置と既存登録機関への影響

セミナールームのイメージ

新要件は2027年4月1日から施行されますが、既存の登録機関にはどのような影響があるのでしょうか。経過措置と適用タイミングを確認します。

既存登録機関への適用タイミング

既存の登録済み機関については、登録更新時に新要件が適用される見込みです。登録有効期間は5年間であるため、2027年4月以降に迎える登録更新のタイミングで新要件への適合が求められます。2022年以降に登録した機関は2027年以降に更新期限を迎えるため、早期に新要件への対応を進める必要があります。なお、更新を行わず登録有効期間が満了した場合、登録は自動的に失効し、支援業務を継続することはできなくなります。

委託先に関する経過措置

支援業務の委託先限定に関しては、前述の通り経過措置が設けられます。ただし、在留期間の更新申請のタイミングで委託先の切替えが必要になるため、受入企業との間で早めに移行計画を協議しておくことが重要です。特定技能1号の在留期間は1年・6か月・4か月のいずれかであるため、施行後1年以内にはほぼ全ての委託先が登録支援機関に切り替わることになります。受入企業側にとっては、現在利用している委託先が登録支援機関の要件を満たさない場合、新たな委託先を探す必要が生じるため、早めの情報収集と契約交渉をお勧めします。

講習修了要件の猶予と今後の注意点

講習修了要件の具体的な経過措置については、2026年3月時点では確定的な情報は公表されていません。今後の施行規則や法務大臣告示で具体化される可能性が高いため、引き続き入管庁の公式情報をチェックしてください。想定されるシナリオとしては、施行日から一定期間(例えば1年間)の猶予が設けられる可能性がありますが、猶予がない場合に備えて、告示の公表後直ちに受講手続きを行える準備を整えておくことが重要です。また、登録有効期間は5年間で変更ありませんが、更新申請の際には新要件全てへの適合証明が必要になると見込まれています。

施行日から逆算した4フェーズの準備行動計画

準備計画を検討する会議のイメージ

2027年4月の施行日まで約1年。今から始めるべき準備を4つのフェーズに分けて解説します。

フェーズ1(即時〜2026年6月):現状把握と課題の洗い出し

まず自社の現状を正確に把握することから始めます。以下の項目を一つずつ確認し、新要件との差分(ギャップ)を明確にしてください。

  • 支援責任者・支援担当者が常勤かどうかを確認する
  • 各担当者の「中長期在留者の生活相談業務」従事歴を確認し、過去5年間で2年以上あるかを検証する
  • 担当している外国人数・受入機関数を洗い出し、50人/10機関の上限との差を把握する
  • 複数事務所がある場合、各事務所に常勤の支援責任者を配置できるかを確認する

フェーズ2(2026年7月〜12月):人材確保と実績づくり

フェーズ1で洗い出した課題に対し、具体的な対策を講じるフェーズです。特に人材の確保と経験要件の充足は時間がかかるため、早期着手が重要です。

  • 新要件を満たす人材の採用計画を策定し、採用活動を開始する
  • 非常勤職員の常勤化を検討し、労働条件の見直しを行う
  • 生活相談業務の経験が不足している職員に対し、業務への従事機会を意図的に確保する
  • 支援品質の見える化に向け、支援業務の実施記録・費用内訳の整理を開始する

フェーズ3(2027年1月〜3月):講習受講と体制最終整備

施行日直前の最終整備期間です。法務大臣告示の講習情報が公表されていれば、この期間に全員の受講を完了させます。

  • 法務大臣告示の講習が公表され次第、全支援責任者の受講スケジュールを組む
  • インターネット公表用のウェブページを作成し、実績・費用データの掲載準備を完了する
  • 受入企業への説明と委託契約の見直し交渉を行い、新体制での費用体系を合意する

フェーズ4(2027年4月〜):新体制での運用開始

  • 新要件に適合した体制で支援業務を運用開始する
  • 登録更新が近い場合は、新要件に基づく書類(支援責任者の経験証明書類、講習修了証等)を準備し更新申請を行う
  • 人数上限を超える場合は、人員増強または受託先の整理で対応する
  • インターネット公表ページの運用を開始し、実績データを定期的に更新する

まとめ|要件厳格化を競争優位に変える発想

チームのポートレートイメージ

2027年4月の要件厳格化は、登録支援機関にとって大きな転換点です。しかし、今から適切な準備を計画的に進めれば、厳格化は「脅威」ではなく「競争優位を確立する絶好の機会」になります。

厳格化を乗り越えるための3つの視点

  • 早期準備が最大の武器:施行日から逆算し、人材確保・経験要件の充足・講習受講を計画的に進めることで、施行日に慌てない体制を構築できる
  • 淘汰後の市場を見据える:約8割の機関が実質的に稼働していない現状を考えると、厳格化後は実力のある機関にとって受託機会が大幅に拡大する
  • 監理支援機関との兼務も視野に:育成就労制度で新設される監理支援機関は許可制(非営利法人限定、外部監査人設置義務あり)であり登録支援機関とは別制度だが、同一法人が両方の許可・登録を受ける場合は経営資源の最適配分を検討すべき。監理支援機関は実務職員2人以上・1人あたり8社未満という独自の要件がある

専門家のサポートを活用する

要件厳格化への対応は、法令の正確な解釈と実務的な対応が求められます。特に、生活相談業務の経験要件の証明方法や講習修了要件の具体的な対応手順については、専門家のアドバイスが有効です。登録支援機関の運営や2027年の要件厳格化への準備でお困りの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。特定技能制度と登録支援機関の運営に精通した行政書士が、適正な体制構築を全力でサポートいたします。

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この記事の監修者

西脇 清訓

MIRAI行政書士事務所

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代表行政書士

西脇 清訓

プロフィール

2020年行政書士事務所開業以来、国際業務、相続業務、補助金申請・法人設立など、人生と事業の節目に寄り添う専門家として、実務経験と豊富な知識を活かし、多くのお客様の課題解決に貢献してまいりました。

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