「航空業の特定技能って、グランドハンドリングと航空機整備の2つがあると聞いたけど、どちらを目指すべき?どんな仕事ができるの?」
今回は、日本の空港・航空業界での就職を目指す外国人の方に向けて、以下のポイントを詳しく解説します。
- グランドハンドリング(空港地上業務)と航空機整備、それぞれの仕事内容と違い
- JAEA(日本航空技術協会)の技能評価試験の内容と合格のポイント
- 給与相場・勤務体制・セキュリティクリアランスなど職場の実態
2026年3月現在、航空業の特定技能在留者数は1,382人(2024年12月末時点)で、訪日外国人の増加とともに急速に拡大しています。政府の受け入れ目標は2024〜2028年度の5年間で4,400人と設定されており、現時点での充足率は約31%と、人材不足が深刻な業界です。この記事を読むことで、航空業特定技能の全体像を理解し、就職への第一歩を踏み出せるようになります。
航空業の特定技能とは?制度の基本を解説
2つの業務区分と所管省庁
航空業の特定技能は2019年4月に指定されたビザ制度です。所管省庁は国土交通省航空局で、対象業務は以下の2区分に分かれます。
- 空港グランドハンドリング:航空機の地上における支援業務全般(ランプ業務・旅客サービス・手荷物・貨物の積降ろし等)
- 航空機整備:航空機の整備業務(運航整備・機体整備・装備品整備等)
この2つの業務区分はそれぞれ別の試験・資格体系になっており、どちらを目指すかによって取得方法や就職先が変わります。自分のスキルや希望するキャリアに合わせて選ぶことが重要です。
在留者数と受け入れ目標
航空業の特定技能在留者数は急速に増加しています。2023年12月末時点では632人でしたが、2024年12月末には1,382人(約2.2倍)に拡大しました。国籍別ではフィリピン人が約65%と圧倒的多数を占め、次いでベトナム、インドネシア、ネパール、ミャンマーの順です。
地域別では、羽田空港周辺の神奈川県・東京都と成田空港周辺の千葉県に集中しており、大阪府(関西空港)や愛知県(中部国際空港)がこれに続きます。政府の受け入れ目標は2024〜2028年度の5年間で最大4,400人で、現充足率は約31%と、求人ニーズは非常に旺盛な状況です。
業界の人材不足とインバウンド需要の拡大
日本の航空業界は深刻な人材不足に直面しています。有効求人倍率は全体平均の約4.99倍(一般的な就労分野の数倍)で、陸上荷役・運搬作業員(グランドハンドリング関連)に限ると5.81倍にのぼります。整備士の高齢化と大量退職も重なり、2034年度には約14,100人が不足すると推計されています。
一方、日本政府は2030年までに訪日外国人6,000万人を目指す方針を掲げており、国際線の旅客数・着陸回数は2012年以降一貫して増加傾向にあります。コロナ禍からの回復も加速し、航空分野での外国人材への需要はさらに拡大が見込まれています。
グランドハンドリング(空港地上業務)の仕事内容
ランプ業務(航空機地上支援)の内容
グランドハンドリングのなかでも「ランプ業務」は、航空機が駐機場に到着してから出発するまでの一連の地上作業です。特定技能1号では社内資格を持つ指導者の監督下で以下の業務に従事します。
- 航空機誘導・けん引補佐:駐機スポットへの航空機の誘導サポート(マーシャリング)、プッシュバック(けん引)補佐
- 搭乗橋(ボーディングブリッジ)の操作補佐:旅客の乗降に使う搭乗橋の接続・取り外し
- 手荷物・貨物の積降ろし:貨物コンテナ(ULD)への積付け・固定、貨物カートへの移送
- 貨物の仕分け・搭降載:手荷物・貨物の種類別仕分けと航空機への搭載・取り降ろし
- 航空機外部の洗浄:機体の外側清掃
ランプ業務は広大な空港エプロン(駐機場)での作業となり、悪天候・夜間を問わず実施されます。大型航空機の周辺での作業となるため、安全意識と正確な手順の遵守が最重要とされます。
旅客サービス・機内清掃の業務内容
グランドハンドリングにはランプ業務のほかにも多岐にわたる業務があります。特定技能1号で従事できる旅客サービス関連業務は以下の通りです。
- 客室内清掃:到着便の客室内(シート・トレーテーブル・トイレ等)の清掃
- 機用品の補充:毛布・枕・雑誌・救命胴衣等の機内備品の補充・点検
- 遺失物検索:機内での落とし物の確認・収集
- 手荷物カート管理:空港ターミナル内での手荷物カートの回収・整理
なお、チェックインカウンターでの旅客対応(発券・搭乗案内等)は「旅客サービス」とは異なるカテゴリーとなり、特定技能の直接対象業務ではありません。ただし付随的に行う簡単な案内等は業務に含まれます。
就労できる企業の種類とセキュリティクリアランス
航空業の特定技能外国人を雇用できるのは、国土交通省航空局から認定・承認を受けた企業です。主な雇用先は以下の通りです。
- グランドハンドリング専門会社:JALグラウンドサービス、ANAグラウンドサービス、エアポートサービスなど
- 航空会社本体:JAL、ANA、スカイマーク等
- 空港管理会社:各空港会社(成田国際空港会社・関西エアポート等)
採用の際には必ず身元確認(バックグラウンドチェック)が行われます。空港の制限区域での業務となるため、犯罪歴・素行等のチェックが徹底されており、これをクリアすることが採用の絶対条件です。特定技能外国人も日本人スタッフと同等のセキュリティ審査を受けます。
航空機整備の業務内容と資格との関係
整備の種類と特定技能1号でできる業務
航空機整備は大きく以下の3種類に分類されます。特定技能1号では、国家資格(航空整備士)を持つ整備士の指導・監督の下でこれらの業務に従事します。
- 運航整備:空港到着後から次のフライト出発まで(数十分〜数時間)の間に行う整備。エンジン・脚・翼面等の目視点検、燃料・オイル補給の確認など
- 機体整備:1〜2週間かけて行う包括的な整備。部品の点検・交換・修理
- 装備品・原動機整備:脚部、動翼、計器類、エンジンなどの専門部品の整備
特定技能1号でできる基本的な作業は、締結作業(ボルト・ナット等の組み付け)、電気計測、部品の清掃・交換補助など、国家資格整備士の指示に従って行う実務的な作業です。
特定技能でできない業務(国家資格が必要な作業)
航空機整備には、航空法に基づき航空整備士(国家資格)が行わなければならない業務があります。特定技能外国人はこれらの業務を単独で行うことはできません。
- 航空機の適航性(飛行可能かどうか)の確認・判断
- 整備後の確認試験飛行の実施
- 整備記録への署名(航空従事者技能証明保有者のみ可)
- 航空機の安全に直接関わる重要な判断を伴う整備
これらの業務は「航空従事者技能証明」(一等・二等航空整備士等)の資格保有者のみが行えます。特定技能は「資格整備士の補助者として実務を担う」という位置づけです。
航空整備士(国家資格)との違いと長期キャリア
「特定技能(航空機整備)」と「航空従事者技能証明(航空整備士資格)」の違いを整理します。
| 比較項目 | 特定技能1号(航空機整備) | 航空従事者技能証明(整備士資格) |
|---|---|---|
| 法的根拠 | 出入国管理法 | 航空法 |
| 業務範囲 | 指導者の下での補助的実務 | 単独での整備・適航性判断・署名 |
| 取得条件 | JAEA技能評価試験合格 | 一定の実務経験+国土交通省の試験合格 |
| 在留資格としての価値 | 特定技能1号(最大5年) | 技術・人文知識・国際業務(技人国)への移行も可 |
長期的なキャリアを考える場合、特定技能1号で実務経験を積みながら二等航空整備士の資格取得を目指すルートが有効です。二等航空整備士資格を取得すれば、特定技能2号の評価試験が免除されます。
特定技能を取得するための2つのルート
ルート① JAEA技能評価試験に合格する
特定技能(航空業)の基本ルートは、公益社団法人日本航空技術協会(JAEA)が実施する技能評価試験に合格することです。グランドハンドリングと航空機整備でそれぞれ別の試験が設けられています。
- 実施機関:公益社団法人日本航空技術協会(JAEA)
- 試験方式:ペーパー試験(学科+実技)
- 受験料:4,000円(税込)
- 受験資格:18歳以上(国籍不問)
- 試験言語:日本語(ふりがなつき)
試験は国内(東京・大阪・名古屋・福岡)に加え、海外(フィリピン・ネパール・インドネシア・スリランカ等)でも定期開催されています。海外での受験も可能なため、来日前に日本語と専門知識の勉強をしながら試験合格を目指す方も増えています。
ルート② 技能実習2号修了で試験免除(グランドハンドリングのみ)
グランドハンドリング職種の技能実習2号を良好に修了した方は、特定技能の技能評価試験・日本語試験が免除されます。最短かつ確実に特定技能へ移行できるルートです。
ただし、重要な注意点があります:
- 航空機整備の技能実習は存在しないため、整備分野では必ず評価試験を受験する必要があります
- グランドハンドリング以外の職種の技能実習2号修了では、試験免除の対象にはなりません(ただし日本語試験は免除)
日本語要件(N4またはJFT-Basic)
特定技能1号の取得には、技能試験に加えて日本語能力の証明が必要です。
- JLPT(日本語能力試験)N4以上
- JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)A2以上
航空業の現場では、日本語での安全指示の理解・緊急時の対応が必要なため、N4程度の日本語力は就職後の業務にも直結します。特に旅客サービス業務を担当する場合は、日本語での接客対応力があると評価が高まります。
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無料相談はこちら技能評価試験の出題内容と合格のポイント
グランドハンドリング試験の構成と対策
グランドハンドリングの技能評価試験(1号)は以下の構成です。
- 学科試験:約30問・45分、真偽法(○×式)と選択式の混合、合格基準65%以上
- 実技試験:約20問・30分、写真・イラストを用いた作業判断試験、合格基準65%以上
学科試験の主な出題範囲は、航空機の基礎知識・グランドハンドリング業務の安全手順・空港内の規則・緊急時対応などです。実技試験では、写真やイラストで示された状況に対して正しい対応や作業手順を選ぶ問題が出題されます。
合格のポイントは、安全に関する問題で確実に得点することです。航空業は安全管理が最優先のため、安全手順や禁止事項に関する問題が多く出題されます。公式テキストで安全関連知識を重点的に学習することが推奨されます。
航空機整備試験の構成と対策
航空機整備の技能評価試験(1号)の構成は以下の通りです。
- 学科試験:約30問・60分(グランドハンドリングより長め)、真偽法と選択式の混合、合格基準65%以上
- 実技試験:約20問・30分、写真・イラストによる判断試験、合格基準65%以上
学科試験では航空機の構造・システムの基礎知識・整備の基本手順・工具の使い方・航空法の基礎が出題されます。実技では、工具の正しい使用方法や部品の点検手順を写真で判断する問題が中心です。
航空機整備試験の合格のポイントは、締結作業(ボルト・ナット等のトルク管理)と電気計測の基礎知識を確実に身につけることです。これらは特定技能1号で実際に行う主要業務でもあります。
海外での試験実施状況と受験の流れ
JAEA(日本航空技術協会)は海外でも試験を実施しており、来日前に資格を取得できます。2024年の海外試験実績は以下の通りです。
- フィリピン・ネパール・インドネシア・スリランカ:グランドハンドリング試験を定期実施
- モンゴル:航空機整備試験を実施(合格率23.5%)
海外試験のグランドハンドリング試験は国内より合格率が高い傾向にあります(平均36.4〜88.1%)。フィリピン・ネパールは受験者数が多く試験会場も整備されているため、これらの国の方は母国での受験が最も効率的です。試験申し込みはJAEAの公式サイトから行います。
給与相場と職場環境の特徴
給与水準(地域別・業種別)
航空業の特定技能外国人の給与は、日本人の同業務従事者と同等以上が法律で義務付けられています。実際の給与相場は以下の通りです。
- グランドハンドリング(正社員・フルタイム):月収18〜25万円(年収216〜300万円)
- 大手グランドハンドリング会社(羽田・成田):月収22〜28万円、夜勤手当・危険手当込みでさらにアップ
- 航空機整備(正社員):月収22〜30万円(整備の専門性が評価されやすい)
- 地方空港勤務:首都圏・関西圏より5〜10%程度低い水準
夜勤手当(深夜25%増)や危険手当が加算されると実質的な収入はさらに高くなります。社会保険・厚生年金への加入も義務付けられており、日本人と同等の待遇が保証されています。
勤務体制(シフト・夜勤・早朝)
航空業の特定技能外国人が直面する大きな特徴の一つが、24時間対応のシフト制勤務です。
- 早番(早朝シフト):4〜5時頃から始まる早朝出勤。早朝の国際線出発便に対応
- 遅番(夜間シフト):深夜23〜翌2時頃まで。深夜到着便の荷物処理や機内清掃
- 日勤:8〜17時頃の一般的な勤務時間
空港は365日・24時間稼働のため、土曜・日曜・祝日の勤務もあります。ただし、週休2日・残業規制はしっかり守られている企業が多く、大手グランドハンドリング会社は特に労働環境の整備が進んでいます。
採用のポイントとセキュリティクリアランスの対応
航空業の特定技能求人を探す際のポイントを紹介します。
- JAEA(日本航空技術協会):試験実施機関のウェブサイトで求人情報や加盟企業リストが確認できる場合あり
- 大手グランドハンドリング会社の採用ページ:JALグラウンドサービス・ANAグラウンドサービス等が外国人特定技能採用を行っている
- 登録支援機関・外国人就労支援サービス:航空分野の求人を専門とするエージェント経由の紹介
採用時のセキュリティクリアランスについては、犯罪歴がないこと・素行が良好なことが必須条件です。過去の在留資格違反や法令違反歴がある場合は採用が難しくなります。身元確認書類(パスポート・各種証明書類)は早めに準備しておきましょう。
特定技能2号とキャリアパス・協議会加入
特定技能2号(2023年6月追加)の要件とメリット
航空業の特定技能2号は2023年6月9日の閣議決定により対象分野に追加されました。2号を取得すると、在留期間の更新上限がなくなり、配偶者・子どもの家族帯同も認められます。
2号取得の要件は業務区分によって異なります。
| 区分 | 2号要件 |
|---|---|
| グランドハンドリング2号 | JAEA2号評価試験合格(チームリーダーとして業務工程を管理する能力が求められる) |
| 航空機整備2号 | JAEA2号評価試験合格、または航空従事者技能証明(二等航空整備士等)保有者は試験免除 |
航空機整備分野では、「航空従事者技能証明」(二等航空整備士・一等航空整備士等)を取得している方は、特定技能2号の評価試験が免除されます。特定技能1号で実務経験を積みながら航空整備士資格の取得を目指すことで、2号取得への近道になります。
航空分野特定技能協議会への加入義務
航空業で特定技能外国人を雇用する事業者は、航空分野特定技能協議会(事務局:国土交通省航空局)への加入が義務付けられています。
- 加入費用:無料
- 加入時期:特定技能外国人を受け入れた後、4か月以内に加入(早めの申請推奨)
- 加入義務者:航空業で特定技能外国人を雇用するすべての特定技能所属機関
航空分野の協議会加入期限は「受入後4か月以内」です。ビルクリーニング等の分野とは異なり、申請前の加入証明書取得は必須ではありませんが、採用計画が決まった時点で早めに手続きを進めることをお勧めします。加入手続きは国土交通省のオンラインシステムで行います。
MIRAI行政書士法人のサポート内容
航空業の特定技能ビザ申請は、航空分野特定技能協議会への加入・セキュリティクリアランス対応・雇用条件の確認など、専門的な知識が必要です。MIRAI行政書士法人では以下のサポートを提供しています。
- 航空業特定技能ビザ申請に必要な書類の作成・確認
- 航空分野特定技能協議会加入手続きのサポート
- 雇用契約書・支援計画書の作成
- 在留資格変更・更新申請の代行
- 特定技能2号への移行に向けた長期的なサポート
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