「特定技能の申請を行政書士に頼むといくらかかるの?認定と変更と更新で値段は違うの?」
特定技能外国人の受入れには、在留資格の申請手続きが欠かせません。行政書士への依頼費用は申請類型によって異なり、認定証明書交付申請が12万〜20万円、変更許可申請が9万〜15万円、更新許可申請が6万〜10万円が2026年時点の相場です。建設分野ではさらに5万〜16.5万円の加算があります。
- 申請類型別の行政書士費用相場と料金表
- 建設・介護・外食など分野別の費用の違い
- 費用を抑える5つの賢い依頼方法
本記事では、日本行政書士会連合会の報酬統計も引用しながら、特定技能の行政書士費用を網羅的に整理します。2026年1月の行政書士法改正による費用動向の変化もあわせて解説します。
申請類型別の行政書士費用相場|認定・変更・更新の料金表
特定技能の在留資格申請は、大きく3つの類型に分かれます。それぞれの行政書士費用の相場を一覧で整理します。
3つの申請類型と費用相場
| 申請類型 |
内容 |
行政書士報酬 |
政府手数料 |
| 在留資格認定証明書交付申請 |
海外から外国人を呼び寄せる場合 |
12万〜20万円 |
0円 |
| 在留資格変更許可申請 |
留学・技能実習等から切替える場合 |
9万〜15万円 |
4,000円 |
| 在留期間更新許可申請 |
在留期間の延長(1年〜最長3年) |
6万〜10万円 |
4,000円 |
日本行政書士会連合会の報酬統計(令和2年度)によると、就労資格の認定証明書交付申請の全国平均は119,642円、最頻値は100,000円です。特定技能は一般的な就労ビザ(技術・人文知識・国際業務等)より書類量が多いため、5万円程度高くなる傾向にあります。
なお、特定技能2号への変更申請の費用は、多くの事務所で1号と同等の料金設定です。一部の事務所では個別見積りとなります。2025年の法改正により在留期間が最長3年に延長されたため、更新申請の回数が減り、長期的な費用負担は軽減される見込みです。
ポイント: 行政書士の費用は「安ければ良い」わけではありません。極端に安い事務所は書類の品質が低く、不許可リスクが高まる可能性があります。逆に極端に高い場合は相場と比較して交渉の余地があるかもしれません。複数の事務所から見積りを取り、料金・実績・対応力を総合的に比較することをおすすめします。
同時申請による割引相場
複数名を同時に申請する場合、2人目以降の費用が割引されるのが一般的です。
| 申請人数 |
1人目 |
2人目以降 |
| 認定・変更申請 |
12万〜16.5万円 |
8万〜11万円(2万〜5.5万円の割引) |
| 更新申請 |
6万〜7.7万円 |
3万〜4.6万円(3万円前後の割引) |
5名以上のまとまった申請では、1名あたり6万〜10万円まで下がるケースもあります。受入れ人数が多い企業ほど、同時申請のスケールメリットを活かすことが費用削減の鍵です。
費用の内訳と支払い方式|何にいくらかかるのか

行政書士に支払う費用は「報酬」だけではありません。実費や加算費用も含めた総額を事前に把握しておくことが重要です。
費用の内訳
| 費用項目 |
金額 |
備考 |
| 行政書士報酬 |
6万〜20万円 |
申請類型により変動 |
| 収入印紙代 |
0円または4,000円 |
認定申請は0円、変更・更新は4,000円 |
| 翻訳費 |
1万〜5万円 |
母国語文書の翻訳。言語による差あり |
| 証明書取得費 |
数千円 |
登記事項証明書、住民税証明書等の実費 |
| 支援計画書作成費 |
0円(報酬に含む) |
大半の事務所が申請報酬に含めている |
支払い方式
行政書士事務所の主な支払い方式は以下の3パターンです。
- 着手金+残金方式(最も一般的):契約時に報酬の50%を着手金として支払い、許可後に残金50%を支払う
- 全額前払い方式:申請前に全額を支払う。不許可の場合は全額返金とする事務所もある
- 成功報酬方式:許可が下りた場合のみ報酬を支払う。着手金なしだが報酬が割高になる傾向
自社申請と行政書士依頼のコスト比較
「行政書士に依頼せず自社で申請すれば費用を節約できるのでは?」と考える方もいますが、人件費を含めた総コストで比較する必要があります。
| 項目 |
自社申請 |
行政書士依頼 |
| 直接費用 |
収入印紙代のみ(0〜4,000円) |
報酬9万〜20万円+収入印紙代 |
| 担当者の人件費 |
20〜40時間×時給3,000円=6万〜12万円 |
最小限(書類収集・連絡の数時間のみ) |
| 不許可リスク |
書類不備による返戻・再申請の可能性あり |
許可率95〜99%で極めて低リスク |
| 所要期間 |
審査2か月+不備があればさらに1〜2か月 |
審査約2か月(初回で通る確率が高い) |
初めて特定技能外国人を受入れる企業や、入管手続きの専任担当者がいない企業は、行政書士への依頼が費用対効果の面で有利です。一方、過去に複数回の申請実績があり、同一パターンの更新申請を繰り返す場合は自社申請も選択肢になります。
分野別の費用の違い|建設分野は追加費用に注意

特定技能の行政書士費用は分野によって異なります。特に建設分野は他分野と比べて大幅に高くなるため、事前に総額を確認しておくことが重要です。
分野別の費用比較
| 分野 |
認定・変更申請 |
追加費用 |
| 建設 |
16.5万〜22万円 |
受入計画認定+5.5〜16.5万円、CCUS登録+4.4〜5.5万円 |
| 介護 |
12万〜16.5万円 |
なし(標準的) |
| 外食業 |
12万〜16.5万円 |
協議会加入は無料 |
| 製造業 |
12万〜16.5万円 |
協議会事前加入が必要だが無料 |
| 農業 |
12万〜16.5万円 |
派遣形態の場合は追加書類あり |
建設分野が高い理由
建設分野では、入管への在留資格申請に加えて以下の追加手続きが必要です。
- 国土交通省への「建設特定技能受入計画」の認定申請(行政書士報酬5.5万〜16.5万円)
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)への技能者・事業者登録(行政書士報酬4.4万〜5.5万円)
- JAC(建設技能人材機構)への加入(年会費24万円+受入負担金 月額1.25万〜2万円/人)
建設分野の場合、行政書士報酬だけで合計22万〜44万円に達する可能性があり、他分野の2〜3倍のコストがかかります。建設分野で特定技能外国人を受入れる際は、これらの追加費用を事前に予算計上しておくことが不可欠です。
注意: 建設分野以外の分野では、特定技能の産業分野別協議会への加入は現状無料です。ただし、協議会への事前加入が特定技能外国人の受入れ開始の要件となっている分野があるため、申請前に加入手続きを済ませておく必要があります。
行政書士の選び方|見積もり時のチェックポイント5つ

行政書士の費用は事務所によって大きく異なります。適正価格で質の高いサービスを受けるために、見積もり時に確認すべきポイントを整理します。
チェックポイント1:料金の透明性
ホームページに料金表を明確に掲載している事務所を選びましょう。「お問い合わせ後にお見積り」としか記載がない事務所は、相場より高い料金を提示される可能性があります。見積書は書面で取得し、報酬本体・実費・追加費用の区分が明確になっているか確認してください。特に建設分野の場合は「入管申請の報酬」と「国交省申請の報酬」が別立てになっていることがあるため、総額での比較が大切です。
チェックポイント2:入管業務の専門性と実績
特定技能の申請は書類量が多く専門性が求められるため、入管業務を専門とする事務所に依頼するのが安全です。確認すべき点は以下のとおりです。
- 年間の特定技能申請の取扱件数(100件以上が目安、300件超なら信頼度が高い)
- 許可率の実績(専門事務所では99%前後を達成している事務所あり)
- 対応可能な分野の範囲(自社の受入れ分野に精通しているか)
- 多言語対応の有無(外国人本人との面談が必要なケースがある)
チェックポイント3:不許可時の対応方針
不許可の場合の再申請費用や返金規定を事前に確認しておきましょう。「不許可時全額返金」を掲げる事務所もありますが、その分報酬が割高に設定されている場合があります。再申請の追加費用の有無、再申請時の理由書作成の追加料金なども重要なチェックポイントです。
なお、専門事務所に依頼した場合の許可率は概ね95〜99%です。不慣れな自社申請では、書類不備による補正指示や不許可のリスクが高まります。主な不許可事由としては、外国人本人の留学時代のオーバーワーク(週28時間超)、税金・年金の未納、雇用条件書と実態の不一致などがあります。
チェックポイント4:申請取次資格の有無
入管への申請取次を行うには「届出済み行政書士(申請取次行政書士)」の資格が必要です。この資格がない行政書士に依頼すると、書類作成はできても入管への提出は自社で行う必要があり、手間が増えます。また、申請取次行政書士であれば、入管への出頭が原則免除されるため、外国人本人の就業に支障が出にくいメリットもあります。
チェックポイント5:2026年行政書士法改正への理解
2026年1月施行の改正行政書士法により、登録支援機関が「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」書類を作成する行為が明確に違法となりました。違反した場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科され、両罰規定により法人にも100万円以下の罰金が適用されます。この改正を正しく理解し、登録支援機関との業務範囲の線引きを明確に説明できる行政書士を選ぶことが重要です。
費用を抑える5つの賢い依頼方法

行政書士への依頼費用を抑えつつ、質の高いサービスを受けるための具体的な方法を紹介します。
方法1:複数名の同時申請でボリュームディスカウント
2人目以降は1名あたり2万〜5.5万円の割引が適用されるのが一般的です。受入れ時期を調整して同時申請にまとめることで、大幅なコスト削減が可能です。5名以上の一括申請では1名あたり6万〜10万円まで下がるケースもあります。
方法2:自社で事前準備できる書類を揃える
行政書士の作業時間を削減することで報酬が下がります。以下の書類は自社で事前に準備可能です。
- 登記事項証明書(法務局で取得)
- 住民税の課税証明書・納税証明書
- 社会保険料の納入証明書
- 外国人本人のパスポートコピー・証明写真・卒業証明書
方法3:顧問契約で長期的にコスト削減
年間3件以上の申請が見込まれる場合は、顧問契約を検討してください。個別申請の報酬が最大50%割引になる事務所もあります。月額顧問料1万〜5万円を支払うことで、認定申請が16.5万円→11万円に下がる事例も確認されています。年間の総費用で比較すると、個別依頼より大幅に安くなるケースが多いです。
方法4:国内在住の外国人を優先的に採用
海外から呼び寄せる場合は送出機関手数料(20万〜60万円)や渡航費(5万〜7万円)が加算されますが、国内在住の留学生や技能実習生からの切替えであればこれらが不要です。行政書士費用も変更申請(9万〜15万円)のほうが認定申請(12万〜20万円)より安い傾向にあります。技能実習生からの移行であれば人材紹介手数料(30万〜60万円)も不要で、ビザ変更申請のみで済みます。
方法5:助成金を活用する
「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」を活用すれば、就業規則の多言語化や翻訳費用等に対して最大72万円の助成を受けられます。行政書士費用に直接充当することはできませんが、外国人受入れにかかる総コストを大幅に圧縮できます。賃金要件を満たした場合は経費の3分の2(上限72万円)が助成されます。
行政書士報酬以外にかかる費用の全体像
特定技能外国人の受入れには、行政書士報酬以外にも以下の費用がかかります。総額を把握したうえで予算を組みましょう。
| 費用項目 |
金額相場 |
| 人材紹介手数料 |
30万〜60万円/人 |
| 送出機関手数料(海外採用時) |
20万〜60万円/人 |
| 渡航費(海外採用時) |
5万〜7万円/人 |
| 登録支援機関の月額委託費 |
月額2万〜4万円/人 |
| 住居準備費 |
20万〜40万円 |
国内在住外国人を採用する場合の初期費用は約22万〜44万円、海外から呼び寄せる場合は約27万〜114万円が目安です。
顧問契約のメリットと月額相場

継続的に特定技能外国人を受入れる企業にとって、行政書士との顧問契約は費用対効果の高い選択肢です。
月額相場
| 企業規模 |
月額顧問料 |
| 個人事業主・小規模企業 |
月額1万〜2万円 |
| 中小企業 |
月額2万〜5万円 |
| 大企業・上場企業 |
月額3万〜15万円 |
顧問契約のメリット
- 個別申請の報酬が割引される(最大50%の事務所あり)
- 契約範囲内で追加料金なしの法務相談がいつでも可能
- 法改正情報を顧問先として優先的に共有してもらえる
- 入管業務の専門社員を雇用する必要がなく、社内リソースを節約できる
- 定期届出(年次届出)の代行を含めた包括サポートが受けられる
顧問契約が向いている企業
- 常時5名以上の特定技能外国人を雇用している
- 年間3件以上のビザ申請(認定・変更・更新)が発生する
- 入管業務の専任担当者がいない
- 複数分野での受入れを行っている
- 制度変更への迅速な対応が求められる
ポイント: 顧問契約の最大のメリットは、制度変更への自動対応です。2026年の行政書士法改正、2027年の支援責任者常勤化など、頻繁な法改正に対して顧問先として優先的に情報提供を受けられます。
まとめ|特定技能の行政書士費用を適正に判断するために

特定技能の行政書士費用の相場を一覧で整理します。
| 申請類型 |
行政書士報酬 |
政府手数料 |
| 認定証明書交付申請 |
12万〜20万円 |
0円 |
| 変更許可申請 |
9万〜15万円 |
4,000円 |
| 更新許可申請 |
6万〜10万円 |
4,000円 |
| 建設分野加算 |
+5.5万〜16.5万円 |
― |
2026年1月の行政書士法改正により、登録支援機関が書類作成を代行する慣行は違法となりました。今後は受入企業が行政書士に直接依頼・直接支払いする体制が必須です。費用を抑えるには、複数名の同時申請、自社での事前書類準備、顧問契約の活用が有効です。
なお、オンライン対応の普及により、全国どこからでも専門事務所に依頼できる環境が整いつつあります。地方に入管専門の行政書士が少ない地域でも、東京や大阪の専門事務所にオンラインで依頼することで、専門性の高いサービスを適正価格で受けることが可能です。2026年1月には在留申請オンラインシステムの大規模改修も実施され、添付ファイル容量の拡大や一時保存機能の追加など、利便性が向上しています。
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