育成就労の日本語要件N5→N4の段階的基準|企業の日本語教育計画の立て方

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「育成就労制度では日本語の試験に合格しないといけないらしいけど、具体的にどのレベルが必要なの?」

2027年4月に施行される育成就労制度では、外国人労働者に対して入国時から特定技能移行時まで段階的な日本語能力の習得が求められます。企業には日本語教育の機会を提供する法的義務が課されるため、今から教育計画を策定しておくことが不可欠です。

  • 育成就労制度で求められるN5→N4の段階的日本語要件の全体像
  • JFT-Basicの2026年改定を含む代替試験の最新情報
  • 企業が策定すべき3年間の日本語教育計画と活用できる助成金

本記事では、育成就労制度の日本語能力要件を正確に整理したうえで、企業が実務として取り組むべき日本語教育計画の具体的な立て方を解説します。

育成就労制度の日本語能力要件|3段階のステップを正確に理解する

育成就労制度の日本語能力要件を示す3段階のステップイメージ

育成就労制度では、外国人労働者の日本語能力を「日本語教育の参照枠」(CEFRに準拠)を基準として、3つの段階で評価します。技能実習制度には日本語要件がありませんでしたが、育成就労制度では入国時点から明確な基準が設けられている点が大きな違いです。

第1段階:入国時(就労開始前)|A1相当=JLPT N5レベル

育成就労で来日する外国人は、就労開始前にCEFR A1相当(JLPT N5相当)の日本語能力が求められます。具体的には、以下のいずれかを満たす必要があります。

  • JLPT N5またはJFT-Basic A1相当に合格していること
  • 認定日本語教育機関の「就労」課程でA1相当の講習を100時間以上受講していること

A1相当の試験に合格済みであれば、100時間の講習は免除されます。つまり、送出国での事前学習でN5に合格しておくことが最もスムーズなルートです。

第2段階:就労1年経過時|A1〜A2相当(分野により異なる)

就労開始から1年が経過した時点で、日本語試験の受験が義務付けられます。重要なのは、この段階では「合格」ではなく「受験」が要件であるという点です。

  • 求められる水準はA1相当以上〜A2相当以上の範囲内で分野ごとに設定
  • 不合格でも在留資格が取り消されることはなく、同一企業で就労を継続しながら再チャレンジが可能
  • 中間的な評価として位置づけられており、目標達成に向けた進捗確認の意味合いが強い

第3段階:特定技能1号への移行時(3年経過後)|A2相当=JLPT N4レベル

育成就労の最終目標である特定技能1号への移行には、CEFR A2相当(JLPT N4相当)の試験合格が必須です。3年間の育成期間を通じてN4レベルまで日本語能力を引き上げることが制度設計の根幹となっています。

  • N4レベルとは「基本的な日本語を理解することができる」段階
  • 職場での簡単な指示理解、日常会話、基本的な読み書きが可能なレベル
  • 不合格の場合は再受験のために最大1年の在留延長が認められる(合計最長4年)

N5とN4の具体的な能力差|職場で何ができるようになるか

項目 N5(A1)入国時 N4(A2)移行時
聞く力 ゆっくり話された短い会話を理解できる 日常的な場面での会話のおおまかな内容を理解できる
読む力 ひらがな・カタカナと基本的な漢字で書かれた定型的な語句を読める 基本的な漢字を使った日常的な話題の文章を読める
職場での実力 簡単な挨拶、数字の聞き取り、単語レベルの指示理解 業務指示の理解、報告・連絡・相談の基本、安全表示の読解
語彙数の目安 約800語 約1,500語
学習時間の目安 約200時間 約400時間

JLPT以外の代替試験|JFT-Basicの2026年改定と活用法

CBT方式で日本語試験を受験する外国人労働者

育成就労制度の日本語要件を満たすための試験は、JLPTだけではありません。特に国際交流基金が実施するJFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)は、2026年8月に大幅な改定が予定されており、育成就労制度との連動が強化されます。

JFT-Basicの2026年8月改定|3段階判定への対応

現行のJFT-BasicはA2レベルの合否判定のみでしたが、2026年8月からは以下の3段階で判定されるようになります。

スコア 判定レベル 育成就労での位置づけ
145〜174点 A1 入国要件に対応
175〜199点 A2.1 転籍要件に対応
200〜250点 A2.2(A2) 特定技能1号移行要件に対応

この改定により、1回の試験で入国要件・転籍要件・移行要件のいずれに該当するかが明確になります。テスト形式や出題レベル自体は変更されないため、受験対策は従来と同様で問題ありません。

JFT-BasicとJLPTの違い|どちらを受けるべきか

  • JFT-Basic:CBT方式で海外14か国以上で実施。年間複数回受験可能。結果は即日〜数週間で判明
  • JLPT:年2回(7月・12月)の実施。結果判明まで約2か月。2025年12月試験からCEFRレベルの目安が併記開始

受験機会の多さから、育成就労制度ではJFT-Basicの活用が実務的に有利です。特に不合格時の再チャレンジがしやすい点は大きなメリットといえます。

その他の認められている試験

分野別運用方針において、分野ごとに独自の日本語試験を設定することも可能です。代表的なものとして以下があります。

  • 介護日本語評価試験:介護分野では通常の日本語試験に加えて合格が必要
  • NAT-TEST:JLPTに準拠した民間試験。年6回実施で受験機会が多い
  • 分野別日本語試験:2025年6月策定のガイドラインに基づき各分野で作成可能

分野別の日本語上乗せ要件|介護・建設など注意が必要な分野

介護・建設・製造業など複数分野の外国人労働者

育成就労制度の日本語要件は全分野共通のA1→A2が基本ですが、一部の分野では独自の上乗せ基準が設けられています。自社の該当分野の要件を正確に把握しておくことが重要です。

介護分野|最も厳しい日本語要件

介護分野は人命に直結する業務であるため、他分野より高い日本語能力が求められます。

  • 入国時:A1(N5)相当に加え、介護日本語評価試験の合格が必要
  • 1年経過時:N4相当(他分野ではN5で足りるケースが多い中、介護はN4が求められる)
  • 特定技能移行時:N4相当+介護日本語評価試験の合格

注意: 介護分野では「利用者の体調変化の報告」「服薬の確認」など、誤解が許されないコミュニケーションが日常的に発生します。日本語教育計画もこれらの実務を想定した内容にする必要があります。

建設分野・造船分野|安全管理に関わる要件

建設・造船分野では、現場の安全確保のために以下の点が重視されます。

  • 安全衛生教育で使用される日本語の理解が前提
  • KY活動(危険予知活動)への参加に必要な日本語力
  • 1年経過時の中間評価で安全関連の語彙理解が問われる可能性

転籍時の日本語要件との関係

本人意向による転籍を希望する場合、分野別に定められた日本語能力水準を満たす必要があります。JFT-Basicの新レベル「A2.1」は、主にこの転籍要件確認のために設けられたものです。

  • 転籍制限期間(1年または2年)が経過していること
  • 分野別運用方針で定める日本語能力水準(A1以上〜A2まで)を充足していること
  • 技能検定の合格等、技能面の要件も同時に満たすこと

企業に課される日本語教育義務|法的根拠と具体的な責任範囲

日本語教育計画を検討する企業の人事担当者

育成就労制度では、企業(育成就労実施者)に対して日本語教育の機会提供が法的に義務付けられます。これは技能実習制度にはなかった大きな変更点です。

入国後講習(A1未取得者向け)の義務

来日した外国人がA1相当の試験に未合格の場合、企業は以下の対応が必要です。

  • 認定日本語教育機関の「就労」課程でA1相当の講習を100時間以上受講させる
  • 登録日本語教員による講習の場合は同時受講20名以下
  • 講習費用は企業が負担する

就労中のA2講習機会の提供義務

入国後も継続的な日本語教育の支援が求められます。

  • 認定日本語教育機関の「就労」課程でA2目標の講習を100時間以上受講できるよう措置を講じる
  • この100時間は就労時間とみなされ、企業が賃金を支払う義務がある
  • 講習費用も企業が負担する

ポイント: A2講習の100時間が就労時間扱いになるということは、時給1,300円で計算した場合、1人あたり約13万円の賃金コストが発生します。3名受入れの場合は約39万円です。この費用を事前に予算計上しておくことが重要です。

監理支援機関との役割分担

育成就労制度では「育成就労実施者(企業)または監理支援機関において、費用の負担を含め日本語能力向上のために必要な措置を取る」と規定されています。つまり、企業と監理支援機関が共同で日本語教育の責任を負う構造です。

  • 入国後講習の手配・調整は監理支援機関が支援
  • 就労中の講習機会確保も企業と監理支援機関が連携して対応
  • 費用負担の割合は個別の契約で取り決める

3年間の日本語教育計画の立て方|四半期ごとのカリキュラムモデル

3年間の日本語教育計画を立てるイメージ

育成就労の3年間で確実にN5からN4へレベルアップさせるためには、計画的なカリキュラム設計が不可欠です。以下に、四半期ごとの教育計画モデルを紹介します。

1年目:基礎固め期間(N5定着→N5確実合格)

時期 学習内容 目標
Q1(1〜3か月) 入国後講習(100時間)、職場の基本用語習得 A1レベルの定着、職場での挨拶・基本指示の理解
Q2(4〜6か月) e-ラーニング(週3回・各20分)+職場OJT連動 業務で使う専門用語50語の習得
Q3(7〜9か月) JLPT N5対策、模擬試験の実施 N5模擬試験で合格ラインに到達
Q4(10〜12か月) N5受験+N4学習の導入開始 N5合格(1年経過時の要件充足)

2年目:応用力養成期間(N5→N4の橋渡し)

時期 学習内容 目標
Q5(13〜15か月) N4文法・語彙の体系学習開始、A2講習(100時間) N4レベルの基本文型30パターンの理解
Q6(16〜18か月) 読解力強化、業務マニュアルの読み取り練習 簡単な業務文書の理解、報告・連絡の実践
Q7(19〜21か月) 聴解力強化、ロールプレイ形式の実践研修 日常会話でのコミュニケーション力向上
Q8(22〜24か月) JFT-Basic受験(実力チェック)、弱点補強 A2.1レベルの到達確認

3年目:仕上げ期間(N4確実合格→特定技能移行)

時期 学習内容 目標
Q9(25〜27か月) N4総合対策、過去問演習 N4模擬試験で合格ラインの安定到達
Q10(28〜30か月) 弱点分野の集中強化(聴解or読解) 苦手分野の克服
Q11(31〜33か月) JLPT N4またはJFT-Basic受験 N4合格(A2到達)
Q12(34〜36か月) 特定技能移行手続き、技能試験対策 特定技能1号への円滑な移行

ポイント: 不合格でも最大1年の在留延長が認められるため、Q11での受験を目標とし、Q12は予備期間として確保しておくと安心です。JFT-Basicなら年間複数回受験できるため、早めにチャレンジさせることをおすすめします。

日本語教育の手段・ツール比較|コスト別おすすめサービス

タブレットやスマートフォンで日本語を学習する外国人労働者

企業が活用できる日本語教育の手段は多岐にわたります。予算と受入れ人数に応じた最適な組み合わせを選びましょう。

コスト別の教育手段一覧

教育手段 月額目安(1名) 特徴
JFにほんごeラーニング Minato 無料 国際交流基金運営。CEFR準拠6レベル。自習型
地域の日本語教室 無料〜テキスト代のみ 自治体・NPO運営。対面で学べる
e-ラーニング(Japany等) 550〜1,100円 動画1,300本以上。11か国語対応。管理者画面あり
月額定額オンラインレッスン 3,960〜4,500円 Gakken STEP、日本語ブリッジなど。双方向型
外部講師招聘(グループ) 1〜3万円(人数按分) 週1回の定期レッスン。業種別カスタマイズ可能
マンツーマンオンライン 5万円前後 ベルリッツ等。個別最適化された指導

おすすめの組み合わせパターン

パターンA:最小コスト構成(年間約2万円/人)

  • Minato(無料)+地域の日本語教室+JLPT/JFT-Basic受験料
  • 小規模事業所や初めて外国人を受入れる企業向け

パターンB:標準構成(年間約6〜8万円/人)

  • e-ラーニング(Japany等)+月額定額オンラインレッスン+試験対策
  • 5〜20名程度の受入れ企業に最適。学習進捗の管理もしやすい

パターンC:充実構成(年間約30〜60万円/人)

  • マンツーマンレッスン+e-ラーニング+外部講師による定期研修
  • 早期のN4取得を目指す場合や、介護分野など高い日本語力が求められる分野向け

成功のためのポイント

  • 「間違えても大丈夫」という心理的安全性の確保が最も重要
  • シフト調整による学習時間の確保(就業前後に15〜20分のスキマ学習が効果的)
  • JLPT取得による給与アップなどのインセンティブ設計
  • 交換日記やロールプレイなど、日本人社員との交流機会を組み込む

助成金・支援制度を活用して教育コストを抑える方法

助成金の申請書類を提出する企業経営者

日本語教育には一定のコストがかかりますが、国や自治体の助成金を活用することで負担を大幅に軽減できます。主要な制度を確認しておきましょう。

人材開発支援助成金(人材育成支援コース)

厚生労働省が実施する最も活用しやすい助成金です。

  • 経費助成:研修費用の45%(中小企業の場合)
  • 賃金助成:研修中の賃金として760〜1,000円/時/人
  • 年間上限:1,000万円/事業所
  • 対象:10時間以上のOFF-JT研修(日本語研修も対象)

ポイント: 賃金を5%以上アップまたは資格手当を導入すると、助成率が+15%加算されます。JLPT合格者への資格手当の導入を検討してみてください。

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

  • 1制度あたり20万円(上限80万円)
  • 対象:就業規則の多言語化、通訳費、翻訳機器導入など
  • 日本語教育と合わせて職場環境の整備にも活用可能

IT導入補助金

  • 最大150万円(導入費用の50%)
  • 対象:e-ラーニングシステムの導入など
  • Japany(明光グローバル)はIT導入補助金の採択実績あり

助成金申請の基本手順

  • 「職業訓練実施計画届」を作成する
  • 訓練開始日の1か月前までに管轄の労働局に提出する
  • 研修を実施する(10時間以上のOFF-JT)
  • 研修終了日から2か月以内に支給申請書類を提出する

注意: 助成金の申請は必ず研修開始前に行う必要があります。研修実施後の事後申請は認められないため、受入れが決まった段階で早めに準備を進めてください。

まとめ|2027年4月の施行に向けて今から始める日本語教育準備

育成就労制度の日本語能力要件と企業の教育義務について、改めてポイントを整理します。

項目 内容
入国時の日本語要件 A1(N5)相当の合格、または100時間の講習受講
1年経過時の要件 日本語試験の受験(分野によりA1〜A2)
特定技能移行時の要件 A2(N4)相当の試験合格が必須
企業の教育義務 A2講習100時間の機会提供(賃金・費用とも企業負担)
活用すべき試験 JFT-Basic(2026年8月から3段階判定対応)
教育コスト目安 年間約2万〜60万円/人(手段の組み合わせによる)

育成就労制度の施行は2027年4月ですが、日本語教育計画の策定や教育サービスの選定、助成金の申請準備は今から始めておくべきです。特にA2講習の100時間が就労時間扱いとなる点は、シフト計画や予算にも直結するため、早期の対応が求められます。

日本語教育への投資は、外国人労働者の定着率向上や職場の安全確保にも直結します。行政書士法人みらいでは、育成就労制度への移行準備や在留資格の手続きについて、企業ごとの状況に応じた個別相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者

西脇 清訓

MIRAI行政書士事務所

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代表行政書士

西脇 清訓

プロフィール

2020年行政書士事務所開業以来、国際業務、相続業務、補助金申請・法人設立など、人生と事業の節目に寄り添う専門家として、実務経験と豊富な知識を活かし、多くのお客様の課題解決に貢献してまいりました。

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