「留学生のアルバイト時間をどうやって正確に管理すればいいかわからない」「週28時間を超えると企業にも罰則があると聞いたが、具体的にどんなリスクがあるのか」
外国人留学生を雇用する企業の担当者から、こうした相談が急増しています。2025年以降、政府は留学生のアルバイト就労管理を大幅に強化する方針を打ち出し、マイナンバーを活用した電子管理体制への移行が進んでいます。本記事では、以下のポイントを2026年3月時点の最新情報をもとに解説します。
- 留学生アルバイトの週28時間ルールの基本と計算方法
- 2025〜2026年の規制強化・DX管理導入の背景と最新動向
- 企業が導入すべき勤怠管理システムの機能と実務対応
- 不法就労助長罪の罰則強化と違反リスクの回避方法
留学生を雇用している飲食店・小売業・サービス業のオーナーや人事担当者は、ぜひ最後までお読みください。
留学生アルバイトの就労規制:週28時間の基本ルール
外国人留学生が日本でアルバイトをするためには、在留資格「留学」に加えて「資格外活動許可」が必要です。この許可のもとで就労できる時間には厳格な上限が設けられています。
資格外活動許可の仕組みと週28時間の定義
「資格外活動許可」とは、本来の在留目的(学業)以外の活動(アルバイトなどの就労)を行うために必要な許可で、出入国在留管理庁が発行します。留学生の場合、原則として「1週間に28時間以内」の就労が許可されます。
ここでいう「週」の定義は重要です。「月曜日から日曜日まで」などの固定された週ではなく、「どの曜日から数えても7日間の合計が28時間以内」という意味です。シフト管理の際は、任意の7日間でカウントしても常に28時間を超えないよう管理する必要があります。
長期休暇中の特例と適用条件
大学・専門学校等の長期休暇期間中(夏休み・冬休み・春休みなど)は、就労上限が週28時間から1日8時間・週40時間程度まで緩和される特例があります。ただし、この特例が適用されるのは学校の正式な休暇期間のみで、以下の点に注意が必要です。
- 休暇期間は学校ごとに異なるため、学校発行の休暇証明書等で確認することが望ましい
- 定時制課程・夜間課程に在籍する留学生には原則として特例が適用されない
- 休暇期間が終わったら翌週から週28時間以内に戻す必要がある
掛け持ちバイトの場合の合算ルール
留学生が複数の職場でアルバイトをしている場合、すべての職場での就労時間を合算して週28時間以内でなければなりません。雇用企業Aでの勤務時間と、企業Bでの勤務時間を合計して28時間を超えた時点で資格外活動許可の条件違反となります。
問題は、雇用主側が他の職場での勤務時間を把握できない点です。これが複数事業所での合算管理を難しくしている最大の要因であり、2025年以降の規制強化でも重点的に対処される課題のひとつになっています。
ポイント: 週28時間の上限は「どの7日間でも超えてはならない」ルールです。「月曜から計算して28時間以内ならOK」という考え方は誤りです。任意の7日間をとっても常に28時間以内となるよう、日常的な管理が必要です。
2025〜2026年の規制強化とDX管理導入の背景
なぜ今、留学生のアルバイト管理が急速に強化されているのでしょうか。その背景には、過去からの違反件数の累積と、マイナンバーを活用したデジタル管理体制の整備という二つの大きな流れがあります。
資格外活動違反の実態と規制強化の経緯
出入国在留管理庁の統計によると、留学生による資格外活動違反(週28時間超えなど)は毎年一定数検出されており、在留資格の取り消し・退去強制処分の主要な原因のひとつとなっています。これまでは「包括許可」として入国時に自動的に資格外活動許可が与えられていましたが、政府は2026年度を目処にこの仕組みを見直し、個別審査制への移行を検討しています。
また、2025年12月の報道では、政府が留学生のアルバイト審査や時間管理を厳格化する方針を打ち出し、マイナンバーと連携した情報管理による「不法就労の抜け穴阻止」を重要課題として位置づけていることが明らかになりました。
マイナンバー連携による電子監視体制の整備
2026年から段階的に整備される仕組みのなかで、特に注目されるのがマイナンバーを通じた所得情報・社会保険情報の連携です。この仕組みが本格稼働すると、以下のことが可能になります。
- 年間所得額から逆算して週28時間超過の疑いがある留学生を自動抽出できる
- 在留資格更新時に税・社会保険情報と就労時間の整合性確認が行われる
- 複数事業所での勤務情報が名寄せされ、合算時間を行政側が把握できる
特定在留カードの導入(2026年6月14日開始予定)により、在留資格情報・社会保険・税情報が一つのIDで管理される体制が整うため、これまで「申告ベース」だった就労時間管理が「電子管理・行政確認ベース」へと移行していくことになります。
企業に求められるDX対応の方向性
こうした行政側のDX化の流れに対応するために、企業側にも電子的な勤怠管理体制の整備が求められています。具体的には以下の対応が重要です。
- 外国人従業員の在留カード情報を電子的に管理・更新するシステムの導入
- 週単位の就労時間を自動集計・アラート通知できる勤怠管理システムの活用
- 本人への他社勤務時間の定期申告を義務付ける雇用契約上の規定整備
企業が導入すべき勤怠管理システムの機能と選定ポイント
週28時間のルールを遵守するためには、人手による管理には限界があります。システムを活用した電子的な勤怠管理が、今やリスク管理の必須要件となっています。
留学生管理に対応した勤怠システムの必須機能
留学生の週28時間上限を管理するためにシステムに求められる機能は以下のとおりです。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 週単位自動集計 | 任意の7日間での就労時間合計を自動算出 |
| 上限アラート機能 | 週20〜25時間時点で警告、28時間手前でシフト不可に設定できる |
| 在留カード情報管理 | 在留カード番号・有効期限・在留資格を従業員マスターに登録・管理 |
| 外国人区分設定 | 「留学」「特定技能」等の在留資格別に就労時間上限を自動設定 |
| 在留期限通知 | 在留カード期限が近づいたら管理者にメール通知 |
主要クラウド勤怠システムの対応状況
現在、外国人労働者の管理機能を備えた主なクラウド勤怠管理システムとして、KING OF TIME、ジョブカン、freee人事労務、SmartHRなどが挙げられます。これらのシステムでは在留カード情報の管理や週単位での勤務時間集計が可能ですが、「週28時間超え自動アラート」の精度はシステムによって異なります。
システム選定の際は以下の点を確認してください。
- 週の定義を「月〜日曜」以外に「任意の7日間」で設定できるか
- 在留資格の種類別に就労上限を個別設定できるか
- 在留カードの有効期限が近づいたら自動通知する機能があるか
- 将来的なマイナンバー連携に対応できる設計か
システム導入と合わせて整備すべき社内規程
勤怠管理システムを導入しても、就業規則・雇用契約書に必要な規定がなければ実効性がありません。留学生雇用に際して整備すべき規定は以下のとおりです。
- 他社勤務時間の申告義務:「他の事業所での就労がある場合、毎月○日までに勤務時間を報告すること」という条項を雇用契約書または誓約書に盛り込む
- 在留資格変更時の届出義務:在留資格・在留期間に変更があった場合は速やかに届け出る旨を規定する
- 週28時間超過の禁止と罰則:就業規則に上限超過を禁止する規定と、違反した場合の対応を明記する
複数バイト掛け持ちの合算管理と在留カード確認義務
留学生の週28時間超過が発覚するケースの多くは、複数事業所での掛け持ちバイトによるものです。各職場が独立して管理しているため、合計時間が28時間を超えていても気づかないまま就労が続くケースが後を絶ちません。
採用時の在留カード確認義務と確認方法
外国人を雇用する際、雇用主は在留カードの確認が義務づけられています。確認すべき内容は以下のとおりです。
- 在留資格:「留学」であることを確認(「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」等は週28時間制限が異なる)
- 在留期間:在留期間が就労開始日以降も有効であることを確認
- 資格外活動許可欄:在留カード裏面に「資格外活動許可」の記載があることを確認
- 在留カードの真正性:ICチップ確認アプリ(在留カード確認アプリ)で真偽を確認することを推奨
採用時だけでなく、在留期限の更新時にも在留カードの再確認を行うことが重要です。更新忘れが続き、オーバーステイの状態で雇用を続けると雇用主の責任が問われます。
他の職場での勤務時間を把握する実務的な方法
複数バイト掛け持ちの合算管理において、雇用主が他社の勤務時間を直接把握することは法律上できません。そのため、以下の実務的な対策が有効です。
- 月次報告書の提出を義務化:他社勤務がある場合、毎月の勤務時間(勤務先名・時間数)を書面で報告させる
- 採用面接時の確認:面接で他のアルバイトの有無と週あたりの就労時間を確認し、採用条件として他社合計での週28時間以内を確約させる
- シフト申請時の確認:シフトを組む際に「今週他社での勤務時間」を申告させ、合計が28時間に近づいたら調整する
注意: 他社での勤務時間の虚偽申告があった場合、原則として雇用主の法的責任は軽減されますが、「十分な確認措置を取っていたか」が問われます。確認した記録(書面・システムログ)を保存しておくことが重要です。
在留カードの有効期限管理と更新確認
在留カードの有効期限が切れた状態での就労は、在留資格を持たない状態での就労(不法残留・不法就労)と同様の扱いになるリスクがあります。複数名の外国人留学生を雇用している場合は、各自の在留カード有効期限を一覧管理し、期限の3ヶ月前から更新の声かけを行う体制を整えましょう。
違反時のリスク:不法就労助長罪と罰則強化(2025年改正)
留学生の週28時間を超える就労を知りながら、あるいは十分な確認をせずに就労させた場合、雇用主は「不法就労助長罪」に問われるリスクがあります。2025年の法改正により、この罰則が大幅に強化されました。
不法就労助長罪の罰則強化内容(2025年改正)
2025年6月の入管法改正により、不法就労助長罪の法定刑が以下のとおり強化されました。
| 項目 | 改正前 | 改正後(2025年6月〜) |
|---|---|---|
| 懲役 | 3年以下 | 5年以下 |
| 罰金 | 300万円以下 | 500万円以下 |
| 併科 | あり | あり(継続) |
不法就労助長罪が成立するのは、「在留資格のない者を就労させた」「在留資格の範囲外の活動をさせた」「業として不法就労を斡旋した」の3つのケースです。週28時間を超えた就労は「在留資格の範囲外の活動」に該当するため、雇用主が知っていた場合はもちろん、「知ろうとしなかった(確認義務を怠った)」場合にも適用されるリスクがあります。
外国人本人(留学生)への影響
留学生本人についても、資格外活動違反は深刻な結果をもたらします。
- 無許可資格外活動罪:1年以下の懲役もしくは禁錮または200万円以下の罰金(またはこれらの併科)
- 在留資格の取り消し:入管法28条に基づき在留資格が取り消される可能性がある
- 退去強制処分:取り消し後は退去強制処分の対象となり、最長5年間の再入国禁止
- 在留更新の不許可:軽微な違反でも在留期間更新の審査で不利に働く
違反発覚のきっかけと対処法
週28時間超過の違反が発覚する主なきっかけは以下のとおりです。
- 在留更新時の所得確認:給与所得が週28時間以内の就労で得られる額を大幅に超えている場合、審査担当者が詳細確認を行う
- 職場への抜き打ち調査:出入国在留管理庁が飲食店・コンビニ等に調査に来るケースがある
- 他従業員・第三者の通報:内部告発や匿名通報によって発覚するケースがある
- マイナンバー連携情報:2026〜2027年以降、所得・社会保険情報との照合が可能になる
発覚した場合は速やかに行政書士または弁護士に相談し、適切な対応策を検討することが重要です。
週28時間管理の実務フローとシフト管理の注意点
法的リスクを理解したうえで、実際の現場でどのようにシフト管理・勤怠管理を行えばよいか、具体的なフローを確認しましょう。
採用から就労開始までの確認フロー
留学生を新たに採用する際の標準的な確認フローは以下のとおりです。
- 面接時:在留カード原本を確認し、コピーを保管。資格外活動許可の記載を確認
- 雇用契約時:週28時間以内での就労であること、他社での就労時間を含む合計であることを書面で確認・署名取得
- システム登録時:勤怠管理システムに在留カード番号・有効期限・在留資格を入力。留学生区分の上限アラートを設定
- 外国人雇用状況届出:ハローワークへの届出(入社翌月の末日までに)
シフト作成時の具体的な管理ポイント
週28時間の管理でシフト担当者が特に注意すべき点は以下のとおりです。
- 週をまたぐシフトの計算:1週間を「月〜日」と固定して計算するのではなく、任意の7日間でも28時間を超えないよう確認する
- 月の換算:1ヶ月を4.33週として計算すると月あたり約121時間が目安。ただし週単位管理が原則
- 繁忙期の対応:年末年始・お盆等の繁忙期でも、長期休暇中でない限り週28時間の上限は変わらない
- 前後の週の調整:ある週に28時間使い切っても、翌週の枠は0からのリセット(超過分の繰り越しは不可)
定期的なコンプライアンス確認の仕組み
採用後も継続的な管理が必要です。最低限、以下のサイクルで確認することをお勧めします。
- 毎週:勤怠システムで週別就労時間を確認し、24時間を超えたらシフト調整の検討を始める
- 毎月:留学生本人から他社勤務時間の申告書を受け取り、合計時間を確認
- 在留カード更新時:更新後の新しい在留カードのコピーを取得し、システム情報を更新
- 年1回:全外国人従業員の在留資格・在留期限を一覧でレビュー
行政書士によるサポートと企業が今すぐ始めるべきこと
週28時間管理の体制整備は、法令違反リスクの回避だけでなく、留学生が安心して働ける職場環境の構築にもつながります。行政書士の専門的なサポートを活用することで、より確実な体制を整えることができます。
行政書士が支援できる留学生雇用管理の内容
留学生雇用に関して行政書士が提供できる支援には、以下のものがあります。
- 在留カード確認の実務指導:採用担当者向けに在留カードの確認方法・読み方を指導
- 雇用契約書・誓約書の作成支援:週28時間遵守・他社勤務申告等の規定を盛り込んだ書類の作成
- 就業規則への外国人管理規定の追加:労働基準法と入管法の両面に対応した規定整備
- 外国人雇用状況届出の代行:ハローワークへの届出書類の作成・提出
- 在留資格変更申請のサポート:留学終了後の就労ビザへの切り替え手続き
ポイント: 入管業務に精通した行政書士(申請取次行政書士)は、在留資格の確認から書類整備まで一貫して対応できます。外国人労働者の雇用管理に不安がある場合は、定期的なコンプライアンス点検を依頼することをお勧めします。
企業が今すぐ着手すべき3つの対応
2026年以降のマイナンバー連携・特定在留カード導入に備え、企業がすぐに取り組むべき対策は以下のとおりです。
- ① 現状の棚卸し:現在雇用しているすべての外国人従業員の在留資格・在留期限・就労時間の現状を把握する。特に留学生については週の就労時間を確認し、超過リスクがないかチェックする
- ② 勤怠管理システムの機能確認・強化:現在使用しているシステムが週28時間上限管理・在留カード情報管理に対応しているか確認し、不足があれば機能追加またはシステム変更を検討する
- ③ 管理規程・書式の整備:雇用契約書・就業規則・他社勤務申告書などの書式を整備し、採用フローに組み込む
初回相談のタイミングと相談費用の目安
行政書士への相談は、以下のタイミングで検討することをお勧めします。
- 初めて留学生をアルバイトとして採用しようとしている段階
- 週28時間超過の可能性がある事実に気づいた段階(早期相談が重要)
- 外国人雇用の社内管理体制を一から整備したい段階
- 留学生を卒業後の就労ビザ(技人国等)に切り替える手続きを検討する段階
初回相談は無料の事務所も多く、相談内容に応じて雇用管理体制の整備サポートで3万〜10万円程度が一般的な費用感です。当事務所では留学生雇用から就労ビザへの変更まで一貫したサポートを提供しています。お気軽にご相談ください。



