「特定技能で介護スタッフを採用したいが、うちの施設は対象になるのか?」
「訪問介護は受け入れられると聞いたが、本当に解禁されたのか?」
介護業界の深刻な人手不足を背景に、特定技能「介護」への関心は急速に高まっています。しかし受入れ可能な施設・サービス類型や、人員配置基準との関係など、詳細な制度内容を正確に把握している担当者はまだ少ないのが現状です。
本記事では、介護施設で特定技能外国人を受け入れる際の対象施設・サービス類型、2025年4月に解禁された訪問系サービス、そして人員配置基準との関係を体系的に解説します。
・特定技能「介護」で受け入れ可能な施設・サービス類型
・訪問介護が以前は不可だった理由と2025年4月の解禁内容
・人員配置基準への算入ルールと受け入れ人数の上限
・受け入れの要件・手続きの流れ
・よくある質問(Q&A)
特定技能「介護」で受入れ可能な施設・サービス類型
特定技能1号「介護」の対象施設は、「介護福祉士の受験資格要件における実務経験として認められる施設」かつ「業務内容に身体介護が付随すること」の2条件を満たす施設に限定されています。

入居系施設(施設介護)
利用者が施設に居住しながらサービスを受ける形態です。以下の施設が対象となります。
| 施設名 | 特徴 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 要介護3以上が対象。最も多くの特定技能外国人が活躍している施設 |
| 介護老人保健施設(老健) | リハビリを中心とした中間施設 |
| 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 認知症の方が少人数で共同生活する施設 |
| 有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護) | 介護付きの有料老人ホーム(特定施設の指定を受けたもの) |
| 軽費老人ホーム(ケアハウス) | 身体機能低下が見られるが自立生活可能な方の施設 |
通所系施設(日帰りサービス)
利用者が自宅から通う形態のサービスも対象です。
- 指定通所介護(デイサービス):最も一般的な日帰り介護サービス
- 認知症対応型通所介護:認知症専門のデイサービス
- 通所リハビリテーション(デイケア):リハビリを主とした通所サービス
・住宅型有料老人ホーム(外部委託で介護サービスを提供する形態):直接雇用での受け入れは不可
・お泊りデイサービス(デイサービスの夜間延長):介護保険適用外のため不可
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):直接雇用は不可(訪問介護事業所経由での提供は可)
訪問介護が「不可」だった理由と2025年4月の解禁
2025年4月21日以前、特定技能「介護」は訪問系サービスへの従事が禁止されていました。これは制度上の重要な制約でした。
不可だった3つの理由
訪問介護が制限されていた背景には、主に以下の理由がありました。
- 指導体制の困難さ:利用者の自宅という孤立した環境での1対1業務のため、上司・同僚による即時サポートが困難
- 高度なコミュニケーション要件:密接な信頼関係が必要な環境で、外国人が十分に対応できるかの懸念
- 在留管理上の課題:事業所での一元管理が難しく、外国人の権利保護と適切な就労管理に課題が生じる可能性
2025年4月21日:訪問系サービスが正式解禁
介護業界の深刻な人手不足を受け、制度は大きく変わりました。訪問介護員の有効求人倍率は令和5年度で14.14倍(厚生労働省発表)という極めて高い水準が続き、政策の転換が求められていました。
2025年3月11日の閣議決定を経て、同年4月21日から特定技能外国人の訪問系サービス従事が正式に解禁されました。

解禁されたサービス類型:
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 介護予防訪問入浴介護
・介護職員初任者研修課程修了
・介護事業所での1年以上の実務経験(原則。最低2ヶ月の同行訪問は必須)
・OJT(同行訪問)の実施
・訪問介護の基本事項・日本の生活様式に関する研修の受講
人員配置基準との関係
特定技能外国人を採用するにあたり、施設の管理者が必ず確認すべき重要な点が人員配置基準です。
配置基準への算入:就労直後からOK
特定技能外国人は、就労開始直後から人員配置基準への算入が可能です。ただし、安全なケアを提供するため、就労開始から約6ヶ月程度は「経験ある日本人職員とチームを組んでケアにあたる」体制をとることが推奨されています。
| 施設種別 | 配置基準(常勤換算) |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 入居者3人につき介護・看護職員1人(3:1) |
| 介護老人保健施設 | 入居者3人につき看護・介護職員1人(3:1) |
| 通所介護(デイサービス) | 利用者15人以下は生活相談員・介護職員各1名以上 |
受入れ人数の上限:事業所単位で計算
特定技能外国人の受け入れ人数は無制限ではありません。事業所単位で、日本人等常勤介護職員の総数が上限となります。
事業所の日本人等常勤介護職員が10名 → 特定技能外国人は最大10名まで受け入れ可能※「日本人等」には、日本人・EPA介護福祉士国家試験合格者・在留資格「介護」保有者・永住者等が含まれます。
※技能実習生や留学生は「日本人等」に含まれない点に注意してください。
※上限は法人全体ではなく事業所単位で計算します。
受入れの要件と手続きの流れ
2024年6月から変わった協議会加入のタイミング
重要な制度変更として、2024年6月15日以降、在留資格申請の前に「介護分野における特定技能協議会」への加入が必須となりました。従来は受け入れ後4ヶ月以内でよかったため、注意が必要です。
協議会加入は国際厚生事業団(JICWELS)の申請システムから手続きが可能で、費用は無料・入会証明書の発行まで通常約2週間かかります。
受入れの流れ(海外からの場合)
- 外国人が試験に合格(介護技能評価試験+日本語試験+介護日本語評価試験)
- 事業者が協議会に加入して入会証明書を取得
- 在留資格認定証明書(COE)を申請(地方入管に申請、審査期間1〜3ヶ月)
- 外国人が査証(ビザ)を取得(自国の日本大使館で取得)
- 来日・就労開始
- 就労後4ヶ月以内に協議会システムへ外国人情報を登録
他の在留資格との比較
| 項目 | 特定技能1号 | 技能実習(介護) | 在留資格「介護」 |
|---|---|---|---|
| 配置基準算入 | 就労直後からOK | 6ヶ月経過後またはN2取得後 | 就労直後からOK |
| 訪問系サービス | 2025年4月から可(条件あり) | 不可 | 制限なし |
| 在留期間 | 通算5年(上限) | 最長5年 | 更新無制限 |
| 家族帯同 | 不可 | 不可 | 可 |
| 日本語要件 | N4以上 | N4推奨 | N2程度(介護福祉士取得必須) |
よくある質問(Q&A)
Q. 特定技能外国人に夜勤をさせることはできますか?
A. できます。対象施設であれば1人夜勤も可能です。ただし就労開始から約6ヶ月程度は経験ある職員とのチーム体制が推奨されます。なお、デイサービスの「お泊りデイ(夜間帯サービス)」は介護保険適用外のため対象外です。
Q. 特定技能「介護」に2号はありますか?
A. ありません。介護分野には在留資格「介護」(介護福祉士の国家資格が必要)という上位の在留資格が存在するため、特定技能2号は設けられていません。特定技能1号の5年満了後は、介護福祉士を取得して在留資格「介護」へ移行することがキャリアパスとなります。
Q. 派遣形態で雇用することはできますか?
A. できません。介護分野は直接雇用のみが認められています。
Q. 技能実習から特定技能への移行はできますか?
A. できます。介護分野の技能実習2号を修了した方は、技能試験・日本語試験が免除され、特定技能1号へ移行可能です。
Q. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)でも受け入れられますか?
A. サ高住への直接雇用はできません。ただし、サ高住に入居する利用者への訪問介護を提供する訪問介護事業所が特定技能外国人を雇用することは、2025年4月の解禁以降、可能になっています。
まとめ
特定技能「介護」の受け入れ可能施設・制度のポイントを整理しました。
- 特養・老健・グループホーム・デイサービスなど入居系・通所系の幅広い施設が対象
- 2025年4月21日から訪問介護を含む訪問系サービスも解禁(一定要件あり)
- 人員配置基準への算入は就労直後からOK。ただし受け入れ上限は事業所の日本人等常勤職員数
- 2024年6月から協議会加入は在留資格申請前が必須に変更
- 特定技能1号の5年修了後は在留資格「介護」(介護福祉士)へのキャリアアップが可能
手続きの複雑さや制度の変更点が多いため、正確な情報をもとに進めることが重要です。MIRAI行政書士事務所では、介護分野の特定技能受け入れに関する無料相談を受け付けております。ぜひお気軽にご相談ください。

