育成就労制度の対象17分野一覧|特定技能19分野との違いと自社該当の確認方法

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「育成就労制度の対象分野って、特定技能とは違うの?うちの業種は対象になるのかな…」

2027年4月に施行される育成就労制度の対象は17分野です。特定技能制度の19分野から航空・自動車運送業を除き、新たにリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野を加えた構成で、2026年1月23日の閣議決定により正式に確定しました。5年間の受入れ見込数の合計は42万6,200人に上り、特定技能1号と合わせると約120万人規模の外国人労働者受入れが計画されています。本記事では、17分野の一覧と各分野の受入れ見込数、特定技能19分野との対応関係、そして自社の業種が該当するかを確認するための判断基準を解説します。

  • 育成就労制度の対象17分野一覧と各分野の受入れ見込数(5年間で計42万6,200人)
  • 特定技能19分野との対応関係と、育成就労にない2分野の理由
  • 自社の業種が該当するかを判断するためのチェックポイント
  • 転籍制限期間と日本語能力要件の分野ごとの違い

制度開始前に自社の該当分野を正確に把握し、早期の準備着手につなげましょう。育成就労制度は2027年4月施行予定ですが、2026年4月からの事前申請期間が設けられるため、対象分野の確認と上乗せ要件への対応は今すぐ始める必要があります。特に、建設業のCCUS登録や飲食料品製造業のHACCP導入など分野固有の要件対応には数カ月単位の準備期間がかかります。

育成就労17分野と特定技能19分野の対応関係

制度対応関係のイメージ

育成就労制度と特定技能制度は密接に連携する制度設計ですが、対象分野の数と範囲が異なります。育成就労制度は3年間の就労を通じて特定技能1号の水準に到達する人材を育成することが目的です。対象分野は、育成期間を設けて段階的に技能を習得することに適した分野に限定されており、安全面や法規制の面で短期間の育成が困難な分野は除外されています。

17分野の選定にあたっては、3年間の就労で特定技能1号水準の技能を習得できること、国内の人材確保努力を行ってもなお人手不足であること、外国人が従事する業務が日本人の通常業務と同種であることが基準とされました。これらの基準を満たし、各業界団体から具体的な受入れ計画と人材育成プログラムの提出があった分野が対象として認定されています。育成就労の対象分野は入管法施行規則の別表および分野別運用方針で詳細に規定されているため、企業は自社の事業内容が分野別運用方針の業務区分に該当するかを事前に確認することが不可欠です。

育成就労にない2分野とその理由

特定技能19分野のうち、航空自動車運送業の2分野は育成就労の対象外です。航空分野はグランドハンドリングや航空機整備など高度な安全管理が求められ、自動車運送業は運転免許の取得や道路交通法の理解が必要なため、3年間の育成就労という枠組みでの人材育成には適さないと判断されました。ただし、この2分野は特定技能1号での受入れは引き続き可能です。航空分野は4,900人、自動車運送業は22,100人の受入れ見込数が設定されています。なお、将来的にこの2分野が育成就労の対象に追加される可能性は否定されておらず、今後の人手不足状況や業界からの要望次第で対象分野が見直されることも想定されます。また、技能実習制度にあった繊維・衣服関連の一部職種は育成就労では工業製品製造業分野に統合されているため、繊維業の企業は工業製品製造業として受入れを検討できます。

2026年1月に追加された新規3分野

2026年1月23日の閣議決定で、リネンサプライ物流倉庫資源循環の3分野が新たに追加されました。これらは従来の技能実習制度にも特定技能制度にもなかった新規分野であり、深刻な人手不足を背景に対象分野に加えられました。特に物流倉庫分野はEC市場の急拡大により人手不足が深刻化しており、リネンサプライ分野もコロナ後のインバウンド回復に伴い宿泊施設や医療機関からの需要が急増しています。資源循環分野は2050年カーボンニュートラル目標に向けたリサイクル産業の拡大を見据えて追加されました。これら3分野は受入れ実績がゼロからのスタートとなるため、施行初期から外国人を受け入れるには2026年中に監理支援機関との契約準備を完了しておく必要があります。

キャリアパスと技能実習からの変更点

育成就労制度の最大の特徴は、特定技能制度と一体的に設計されている点です。育成就労(3年間)で基礎的な技能と日本語能力を習得し、技能検定試験と日本語試験に合格すれば特定技能1号に移行できます。さらに特定技能1号(最長5年)で実務経験を積んだ後、特定技能2号への移行も可能です。特定技能2号は在留期間の更新に上限がなく、家族の帯同も認められています。このように、育成就労は単なる就労制度ではなく、外国人労働者が日本で長期的にキャリアを築くための入口として位置付けられています。企業にとっては、3年間育成した人材がそのまま特定技能1号として継続就労するため、採用コストの削減と人材の定着率向上につながります。

また、従来の技能実習制度では90職種165作業という細かい職種・作業区分が設定されていましたが、育成就労制度では17分野という大きな分野区分に再編されました。これにより、同一分野内であれば異なる業務への配置転換が可能になり、多能工としての育成がしやすくなります。例えば、技能実習制度では「機械金属加工」「鋳造」「金属プレス加工」「溶接」など個別に設定されていた職種が、育成就労制度では「工業製品製造業」として統合されました。企業は繁忙期の業務変更にも柔軟に対応できます。

さらに、技能実習制度では原則として同一の実習先でしか就労できませんでしたが、育成就労制度では一定の条件のもとで転籍(転職)が認められるようになりました。転籍制限期間は分野によって1年または2年と異なるため、この違いも分野選択の重要な判断材料です。

育成就労17分野の一覧と受入れ見込数

介護・建設分野のイメージ

2026年1月23日の閣議決定で確定した17分野の受入れ見込数を一覧で示します。数値は2028年度末までの上限数です。なお、この受入れ見込数は固定値ではなく、制度施行後の受入れ状況や人手不足の動向に応じて定期的に見直される予定です。各分野の数値は有識者会議での議論を経て、業界団体からの要望と労働市場データをもとに算出されています。受入れ見込数の上限に達した分野では新規受入れが停止される可能性があるため、早期の計画策定が有利です。

以下の一覧表では各分野の育成就労受入れ見込数と特定技能1号受入れ見込数を並列して掲載しています。育成就労の受入れ見込数は3年間の育成期間を前提とした新規入国者数の上限であり、特定技能1号の受入れ見込数には育成就労からの移行者と技能試験に直接合格して入国する者の双方が含まれます。分野によって育成就労と特定技能の比率が大きく異なるため、各分野の人材供給構造の特徴に注目してください。

全17分野の受入れ見込数一覧

分野 育成就労 特定技能1号 合計
介護33,800126,900160,700
ビルクリーニング7,30032,20039,500
工業製品製造業119,700199,500319,200
建設123,50076,000199,500
造船・舶用工業13,50023,40036,900
自動車整備9,9009,40019,300
宿泊5,20014,80020,000
農業26,30073,30099,600
漁業2,60014,80017,400
飲食料品製造業61,400133,500194,900
外食業5,30050,00055,300
鉄道1,1002,9004,000
林業5009001,400
木材産業2,2004,5006,700
リネンサプライ(新規)3,4004,3007,700
物流倉庫(新規)6,90011,40018,300
資源循環(新規)3,6009004,500
合計(17分野)426,200778,7001,204,900

育成就労の受入れ見込数が最も多いのは建設(123,500人)工業製品製造業(119,700人)で、この2分野だけで全体の約57%を占めます。なお、特定技能1号のみ対象の航空(4,900人)と自動車運送業(22,100人)を含めた全19分野の総合計は約123万1,900人です。

主要分野の業務内容と特徴

製造業のイメージ

各分野で外国人が従事できる業務の範囲は、分野別運用方針で詳細に定められています。主要分野の業務内容を確認しましょう。

介護分野

身体介護(入浴・食事・排泄の介助等)を中心とした介護業務が対象です。2026年1月の閣議決定で、従来認められていなかった訪問系サービスへの従事も容認されました。介護分野は日本語能力の上乗せ要件があり、入国時にN4相当以上が必要とされています。利用者とのコミュニケーションが不可欠なためです。

建設分野

土木・建築・ライフライン設備等の建設作業が対象です。受入企業はJAC(建設技能人材機構)への加入と建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が必須要件です。建設分野は受入れ人数枠に常勤職員数の制限があり、常勤職員数を超える外国人を受け入れることはできません。

工業製品製造業・飲食料品製造業

工業製品製造業は、金属加工・機械組立・電気電子組立・塗装・溶接など幅広い製造業務が対象です。日本標準産業分類の該当区分への適合が上乗せ基準として設定されています。飲食料品製造業は、食品の加工・包装・保管等の製造業務が対象で、HACCP(衛生管理)に沿った衛生管理体制の構築が求められます。

外食業・宿泊分野

外食業は飲食店での調理・接客・店舗管理等の業務が対象です。受入れ見込数は育成就労5,300人と特定技能50,000人で、特定技能の比率が高い点が特徴です。宿泊分野はホテル・旅館でのフロント・企画・接客・レストランサービス等の業務が対象で、受入れ見込数は育成就労5,200人+特定技能14,800人の計20,000人です。いずれも日本語でのコミュニケーション能力が重視される分野です。

ビルクリーニング・自動車整備分野

ビルクリーニングは建築物内部の清掃業務が対象で、受入れ見込数は育成就労7,300人+特定技能32,200人の計39,500人です。建築物衛生法に基づく清掃作業が中心で、清掃作業監督者の指導のもとで業務を行います。自動車整備分野は自動車の日常点検整備・定期点検整備・分解整備が対象で、受入れ見込数は育成就労9,900人+特定技能9,400人の計19,300人です。道路運送車両法に基づく整備作業の知識が必要です。

農業・漁業

農業は耕種農業(栽培・収穫等)と畜産農業が対象で、派遣形態での就労も認められている点が他分野と異なります。漁業は漁船漁業と養殖業が対象で、船員保険への加入や漁船員手帳の取得が必要です。

転籍制限期間と日本語能力要件の分野別比較

農業分野のイメージ

分野によって転籍制限期間と日本語能力要件が異なるため、受入れ前に自社分野の要件を正確に把握しておく必要があります。

転籍制限期間の分野別設定

制限期間 対象分野(8分野)
2年 介護、建設、工業製品製造業、造船・舶用工業、自動車整備、飲食料品製造業、外食業、資源循環
1年 ビルクリーニング、リネンサプライ、宿泊、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、林業、木材産業(9分野)

日本語能力要件のステップ

育成就労制度では、段階的な日本語能力の向上が求められます。入国時にはA1相当以上(N5レベル)の試験合格または相当する日本語講習の受講が必要です。就労開始後1年経過時にはA1〜A2相当以上の分野別試験の合格が必要で、特定技能1号への移行時にはA2相当以上(N4レベル)の合格が必要です。介護分野では入国時からN4相当以上が求められるなど、分野ごとの上乗せ基準が設定されている場合があります。

分野別の上乗せ要件(協議会加入・CCUS等)

分野ごとに受入れ企業に求められる上乗せ要件が異なります。建設分野ではJAC(建設技能人材機構)への加入とCCUS登録が必要です。介護分野では介護分野の特定技能協議会への加入が求められます。飲食料品製造業では食品産業特定技能協議会への加入とHACCPに基づく衛生管理体制の導入が要件です。農業・漁業では各地域の協議会への加入が必要で、漁業分野は船員保険や漁船員手帳の取得も必須です。新規3分野についても、リネンサプライは日本リネンサプライ協会の衛生基準への適合、資源循環は廃棄物処理法に基づく許可の保有が要件に含まれます。

新規3分野(リネンサプライ・物流倉庫・資源循環)の詳細

新規3分野のイメージ

2026年1月に追加された3分野は、従来の技能実習制度にもなかった新しい分野です。受入れを検討する企業は制度開始と同時に参入できるよう準備を進める必要があります。

リネンサプライ分野

ホテル・病院等のリネン類(シーツ・タオル・ユニフォーム等)の洗濯・仕上げ・配送を行う事業所が対象です。業務内容は仕上げ作業(機械投入・検品・結束包装・機械操作)が必須業務で、洗濯・染み抜き・補修等が関連業務です。受入れ見込数は育成就労3,400人+特定技能4,300人の計7,700人。日本リネンサプライ協会の衛生基準への適合が受入れ要件に含まれます。宿泊業界のインバウンド需要回復に伴い、リネン類の供給が追いつかない事業所が増加しており、人手不足は今後さらに深刻化すると見込まれています。転籍制限期間は1年です。

物流倉庫分野

倉庫内での貨物の入出庫・保管・仕分け等の各種作業を行う事業所が対象です。受入れ見込数は育成就労6,900人+特定技能11,400人の計18,300人。EC市場の拡大に伴う物流需要の増加を背景に追加されました。フォークリフト操作やピッキングシステムの操作など一定の技能習得が求められる業務が含まれており、3年間の育成就労で十分な技能習得が可能と判断されています。転籍制限期間は1年です。

資源循環分野

家庭や事業所から排出される廃棄物の収集・運搬・分別・中間処理に関わる業務が対象です。受入れ見込数は育成就労3,600人+特定技能900人の計4,500人。廃棄物処理法やプラスチック資源循環促進法の遵守が受入れ要件に含まれます。カーボンニュートラルの実現に向けた廃棄物のリサイクル・再資源化需要の高まりを背景に追加された分野で、産業廃棄物処理業者や一般廃棄物処理施設が主な受入れ事業所です。転籍制限期間は2年です。

自社の業種が該当するかを確認する方法

確認フローのイメージ

育成就労制度で外国人を受け入れるためには、自社の事業が対象分野に該当する必要があります。以下のステップで確認してください。

ステップ1:日本標準産業分類での確認

各分野は日本標準産業分類に基づいて対象事業所が定められています。自社の事業所が該当する産業分類を確認し、分野別運用方針で指定された分類に含まれるかを確認します。特に工業製品製造業分野は該当する産業分類の範囲が広いため、詳細な確認が必要です。総務省の「日本標準産業分類」検索サイトで自社の事業内容に該当する分類を検索できます。

ステップ2:業務区分の確認

分野に該当しても、外国人に従事させる業務が分野別運用方針で定められた業務区分に含まれるかを確認する必要があります。業務区分は「必須業務」と「関連業務」に分かれており、必須業務を主たる業務として従事させることが要件です。

ステップ3:受入れ要件の確認チェックリスト

  • 過去1年以内に同種業務の労働者を解雇していないか
  • 労働・社会保険・租税関連の法令を遵守しているか
  • 分野別の協議会に加入しているか(または加入予定か)
  • 監理支援機関との契約を締結しているか(または予定があるか)
  • 分野固有の上乗せ要件(CCUS登録、HACCP導入等)を満たしているか

これらの要件は分野ごとに異なるため、分野別運用方針を必ず確認してください。判断が難しい場合は、行政書士や監理支援機関に相談することをお勧めします。

ステップ4:監理支援機関への相談

育成就労制度では、受入れ企業は監理支援機関(旧監理団体に相当)との契約が必要です。監理支援機関は育成就労計画の作成支援・外国人の入国前講習・定期監査・相談対応などの業務を行います。自社の分野に対応している監理支援機関を選定し、受入れ体制の整備について具体的な相談を行うことが、スムーズな制度活用の第一歩です。監理支援機関は2027年4月の施行に合わせて新たに認定される予定で、現在の監理団体からの移行手続きも進められています。

まとめ|自社の対象分野を見極めて早めの準備を

多業種チームのイメージ

育成就労制度の17分野は、日本の人手不足が深刻な産業分野を網羅しています。自社の業種が該当するかを早期に確認し、2027年4月の施行に向けた準備を進めることが重要です。

分野選択の重要ポイント

  • 転籍制限期間:1年の分野は早期に転籍されるリスクが高いため、待遇改善と定着施策が特に重要
  • 受入れ見込数:上限に達すると新規受入れが困難になる可能性があるため、早期の計画策定が有利
  • 分野固有の要件:建設業のCCUS登録、介護のN4要件など、分野ごとの上乗せ基準を事前に確認し対応が必要

育成就労制度は技能実習制度を発展的に解消し、人材育成と人材確保を両立する新しい制度です。企業規模や業種にかかわらず、外国人労働者の受入れを検討している企業は、まず自社の事業が17分野のいずれに該当するかを確認することから始めてください。分野によって転籍制限期間や上乗せ要件が大きく異なるため、事前の正確な把握が制度活用の成否を左右します。

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この記事の監修者

西脇 清訓

MIRAI行政書士事務所

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代表行政書士

西脇 清訓

プロフィール

2020年行政書士事務所開業以来、国際業務、相続業務、補助金申請・法人設立など、人生と事業の節目に寄り添う専門家として、実務経験と豊富な知識を活かし、多くのお客様の課題解決に貢献してまいりました。

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