登録支援機関を新規開業するには?行政書士が登録支援機関になるメリットと収益モデル

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「特定技能外国人の申請代行だけでなく、登録支援機関として継続収入を得られないだろうか…」

行政書士として入管業務を手がけているなら、登録支援機関の兼業開業は非常に相性のよいビジネスです。特定技能外国人1人あたり月額2〜4万円の委託費を受け取りながら、在留資格申請という本業との相乗効果(シナジー)も期待できます。

  • 登録支援機関の登録要件と申請手続きの全手順
  • 行政書士が登録支援機関を兼業するメリットと収益モデル
  • 開業後の業務フローと継続収入のつくり方

本記事では、入管業務に精通した行政書士の視点から、登録支援機関の新規開業に必要な知識を体系的に解説します。これから登録支援機関の立ち上げを検討している行政書士・士業事務所の方はぜひ参考にしてください。

登録支援機関とは何か|役割と業務内容の全体像

登録支援機関の支援担当者が外国人労働者に丁寧に相談対応する様子

登録支援機関とは、特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)から委託を受け、外国人の生活支援・相談対応・行政手続き支援を行う機関です。出入国在留管理庁への登録が必要で、登録されることで正式に特定技能外国人の支援業務を請け負うことができます。

登録支援機関が担う10項目の義務的支援

登録支援機関が実施する支援には、法令上定められた「義務的支援」と、任意で行う「任意的支援」があります。義務的支援の10項目は以下のとおりです。

  • 事前ガイダンス(入国前の生活・業務に関する情報提供)
  • 出入国する際の送迎
  • 住居確保・生活に必要な契約の支援
  • 生活オリエンテーション(日本のルール・慣習の説明)
  • 公的手続きへの同行等の支援
  • 日本語学習機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進に係る支援
  • 転職支援(特定技能所属機関の都合による離職時)
  • 定期面談・行政機関への通報

誰が登録支援機関になれるか

登録支援機関になれるのは、個人・法人を問わず、法令で定める登録要件を満たす者です。行政書士事務所(法人・個人事業主ともに)も登録支援機関として登録することができます。実際に多くの行政書士・行政書士法人が登録支援機関を兼業しており、入管業務との親和性の高さから注目を集めています。

登録支援機関の登録要件|審査基準を徹底確認

登録支援機関の登録申請書類を確認する行政書士

登録支援機関として認められるためには、出入国在留管理庁の定める登録要件をすべて満たす必要があります。審査は比較的厳格で、要件を満たさない場合は登録が拒否されます。

登録要件の3つの柱

登録支援機関の登録要件は大きく「欠格事由への非該当」「体制要件」「実績要件」の3つに分類されます。

要件の分類 主な内容
欠格事由への非該当 禁錮以上の刑・入管法違反・過去5年以内の不正行為等がないこと
体制要件 支援責任者1名+支援担当者1名以上(常勤)の選任
実績要件(いずれか1つ) ①2年以内に就労資格外国人の受入れ実績あり、または②2年以内に報酬を得た外国人相談業務の経験あり

行政書士が実績要件を満たすポイント

行政書士が登録支援機関の登録要件を満たす際に注目すべきは「実績要件」です。

  • 外国人相談業務の経験(②):報酬を得て外国人の在留資格申請を代行している行政書士は、この要件を満たします
  • 特定技能・技術・人文知識・国際業務などの申請実績があれば要件充足の根拠になります
  • 申請書には実績を証明する書類(受任契約書・報酬の支払い記録等)の添付が求められます

ポイント: 行政書士として入管業務(在留資格申請の取次)を行っていれば、実績要件②「報酬を得て外国人に関する相談業務に従事した経験」を満たすことができます。新規開業間もない行政書士でも、2年以内の実績があれば問題ありません。

支援責任者・支援担当者の要件

体制要件として選任が必要な役職の主な要件は以下のとおりです。

  • 支援責任者:役員または管理職であること、過去3年以内に中長期在留者(就労資格)の生活相談業務等に従事した経験あり、外国人に対する差別的取扱いをしないこと
  • 支援担当者:過去3年以内に中長期在留者(就労資格)の生活相談業務等に従事した経験あり、外国人が十分理解できる言語での情報提供ができること
  • 支援責任者と支援担当者は同一人物でも可(1人でも登録できる)

登録申請の手続きフロー|書類準備から登録完了まで

登録支援機関の申請書類を提出する行政書士

登録支援機関の登録申請は、管轄の地方出入国在留管理局に書類を提出して行います。審査にはおおむね2か月程度かかるため、支援業務開始予定日の2か月前までに申請することが推奨されています。

申請に必要な主な書類

登録申請時に準備が必要な書類は以下のとおりです。

  • 登録支援機関登録申請書(別記第29号の15様式)
  • 登記事項証明書(法人の場合)または住民票の写し(個人事業主の場合)
  • 定款または寄付行為の写し(法人の場合)
  • 役員・支援責任者・支援担当者の住民票の写しおよび履歴書
  • 支援責任者・支援担当者の就任承諾書
  • 相談業務等の実績を証明する書類(契約書・請求書等)
  • 支援の実施に要する費用の支弁方法を示す書類
  • 登録手数料28,400円(収入印紙)

申請から登録完了までのステップ

  • ステップ1:登録要件の確認と書類準備
  • ステップ2:申請書類の作成
  • ステップ3:管轄の地方出入国在留管理局に郵送または持参で提出
  • ステップ4:審査(約2か月間)
  • ステップ5:登録通知書の受領
  • ステップ6:出入国在留管理庁の登録支援機関データベースへの掲載

登録の有効期間と更新

登録支援機関の登録有効期間は5年間です。5年ごとに更新申請が必要で、更新登録手数料は17,000円です。更新申請は有効期間満了日の3か月前から受け付けられています。

収益モデルの全体像|月額委託費から年間売上を試算する

登録支援機関の収益を示す財務レポートを確認する経営者

登録支援機関として最も重要な収益源は、受入企業から受け取る特定技能外国人1人あたりの月額委託費です。市場相場を把握したうえで、自社の価格設定と事業計画を立案しましょう。

委託費の市場相場

出入国在留管理庁の調査によれば、特定技能外国人1人あたりの月額委託費の平均は約28,386円(約2.8万円)です。一般的な相場は以下のとおりです。

委託費の帯 目安
低価格帯 1.5〜2万円/人/月(支援内容簡略)
標準価格帯 2〜3万円/人/月(フルサポート)
高価格帯 3〜4万円/人/月(多言語対応・手厚い支援)

預かり人数別の年間売上シミュレーション

月額3万円の委託費を設定した場合の年間売上試算は以下のとおりです。

支援人数 月額売上 年間売上
10人 30万円 360万円
20人 60万円 720万円
30人 90万円 1,080万円
50人 150万円 1,800万円

注意: 月額委託費はストック型の安定収入ですが、支援品質の維持にはスタッフ配置や多言語対応のコストが伴います。特に小規模事務所では人件費とのバランスを慎重に検討してください。支援人数が増えるほど収益性が上がるため、スケールアップ計画も事業計画に含めておきましょう。

行政書士業務とのシナジー効果

行政書士業務と登録支援機関業務のシナジーを示すオフィスシーン

行政書士が登録支援機関を兼業する最大の強みは、在留資格申請(フロービジネス)と支援委託(ストックビジネス)の両輪を回せることです。この組み合わせにより、事務所全体の収益安定性が大幅に高まります。

具体的なシナジーの内容

  • 受任機会の拡大:登録支援機関として特定技能外国人を支援することで、受入企業からの在留資格申請も自然に受任できる
  • 顧客の囲い込み:支援委託契約で企業と長期的な関係を構築し、ビザ更新・変更申請を継続受任できる
  • 専門知識の活用:入管業務の知識・経験が支援業務でも直接活きる(在留手続きの同行支援等)
  • 紹介案件の増加:支援先企業からの口コミで新規顧客を獲得しやすくなる
  • 育成就労への対応:2027年施行の育成就労制度でも、登録支援機関は監理支援機関への参画機会がある

行政書士が登録支援機関を兼業する際の注意点

行政書士が登録支援機関を兼業する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 業際問題への注意:支援業務の中で行政書士業務(申請代理等)と非行政書士行為(申請取次等)を明確に区別する
  • 支援担当者の確保:本業が繁忙な時期でも支援義務を果たせる体制の維持
  • 多言語対応の準備:外国人が十分理解できる言語での支援が求められる(翻訳ツール・通訳者の活用)
  • 定期面談の実施:年4回(3か月に1回)の定期面談義務を怠ると登録取消のリスクがある

開業後の業務フロー|受入企業への営業から継続管理まで

登録支援機関のスタッフが複数の外国人労働者に生活支援を行う場面

登録支援機関として登録が完了したら、いよいよ本格的な営業活動と業務運営が始まります。受入企業との契約から外国人への支援実施まで、スムーズな業務フローを確立することが継続収入につながります。

受入企業への営業アプローチ

  • 既存顧客へのアプローチ:すでに在留資格申請を受任している企業に登録支援機関サービスを提案
  • 業種別ターゲット設定:特定技能外国人を多く受け入れる介護・建設・飲食・製造業をターゲットに
  • ホームページ・SNSでの発信:登録支援機関として登録されたことをウェブで積極的に告知
  • セミナー・説明会の開催:特定技能制度の解説セミナーを通じた見込み客の獲得

支援委託契約の締結から実務開始まで

  • 特定技能所属機関(受入企業)との支援委託契約書の締結
  • 外国人労働者への事前ガイダンス(入国前のオンライン実施も可)
  • 入国時の空港送迎(または受入企業への代替手段の案内)
  • 住居・生活インフラの確保支援(銀行口座・スマホ・役所手続き等)
  • 生活オリエンテーションの実施(日本の法律・ルール・文化の説明)
  • 定期面談(3か月に1回以上)と記録の保存

必要な書類管理と届出義務

登録支援機関には、適切な書類管理と定期的な届出義務があります。

  • 支援業務の実施記録:面談記録・支援内容記録の保存(1年以上)
  • 定期報告(年次届出):毎年1月1日〜12月31日の支援実績を翌年1月中に届出
  • 随時の届出:登録事項(住所・役員等)の変更時は速やかに届出
  • 行政機関への通報義務:労働基準法違反等を把握した場合の通報

2027年の育成就労施行に向けた将来展望

登録支援機関を経営する行政書士が未来のビジネス拡大を見据えるシーン

2027年4月の育成就労制度施行は、登録支援機関にとって大きなビジネスチャンスです。現在の特定技能外国人の支援に加え、育成就労制度でも支援業務の需要が高まることが見込まれます。

育成就労制度と登録支援機関の関係

育成就労制度では、現行の登録支援機関に相当する役割を「監理支援機関」が担います。主な変更点は以下のとおりです。

  • 現行の登録支援機関は、育成就労制度施行後も特定技能1号の支援機関として機能し続ける
  • 育成就労制度の監理支援機関への参画を希望する場合は別途許可申請が必要
  • 登録支援機関の経験・実績は、監理支援機関の許可審査で評価される可能性がある
  • 育成就労外国人の特定技能1号移行後も継続して支援業務を受任できる

特定技能外国人の受入拡大と市場成長

2026年1月に閣議決定された5年間の受入見込数では、特定技能外国人の受入上限が大幅に拡大されました。受入数の増加は登録支援機関のビジネス拡大に直結します。

  • 特定技能外国人の受入見込数:5年間で約123万人(2024〜2028年度)
  • 市場全体の支援委託需要は今後も高水準で推移する見込み
  • 大手企業・派遣会社との差別化には専門性・品質・地域密着が鍵

登録支援機関の新規開業は、行政書士にとって入管業務との高いシナジーと安定したストック収入を両立できる優れたビジネスモデルです。2026年から始まる育成就労制度の事前申請受付に向けて、今から登録支援機関の立ち上げを準備しておくことが中長期的な事務所経営の強みになります。

登録支援機関の登録申請手続き、支援委託契約書の作成、特定技能外国人の在留資格申請まで、当事務所では一貫したサポートを提供しています。開業をご検討の方はお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

西脇 清訓

MIRAI行政書士事務所

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代表行政書士

西脇 清訓

プロフィール

2020年行政書士事務所開業以来、国際業務、相続業務、補助金申請・法人設立など、人生と事業の節目に寄り添う専門家として、実務経験と豊富な知識を活かし、多くのお客様の課題解決に貢献してまいりました。

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