「育成就労制度が2027年4月に始まるらしいけど、うちの会社はいつまでに何を準備すればいいの…?」
2024年6月に公布された改正入管法により、技能実習制度は廃止され、新たに育成就労制度が2027年4月1日に施行されます。すでに2025年3月の基本方針閣議決定、2026年1月の分野別運用方針閣議決定を経て、2026年4月15日からは監理支援機関の事前申請が始まっています。本記事では、施行日までの完全タイムラインを時系列で整理し、企業が「いつまでに・何を」準備すべきかをカレンダー形式で解説します。
- 2024年公布から2027年施行までの全スケジュールを時系列で一覧化
- 2026年4月・9月の事前申請開始など、企業が対応すべき重要マイルストーン
- 既存の技能実習生への経過措置と特定技能への接続ルート
制度開始まで残り約1年。準備を後回しにすると、外国人材の確保で競合他社に遅れをとる可能性があります。
育成就労制度とは|技能実習制度との根本的な違い
育成就労制度は、技能実習制度の後継として創設された在留資格制度です。技能実習制度が「国際貢献(技術移転)」を建前としていたのに対し、育成就労制度は「人材育成と人材確保」を正面から目的に掲げています。3年間の就労を通じて特定技能1号の水準に到達する人材を育成することがゴールです。
技能実習制度からの主な変更点
- 目的の転換:国際貢献(建前)→ 人材育成・確保(実態に即した目的)。これにより「労働力としての受入れ」が制度の正面に位置づけられます
- 転籍の容認:原則禁止 → 1〜2年の就労後、本人意向による転籍が可能に。技能検定試験基礎級合格と日本語能力試験N5以上の合格が転籍要件です
- 監理団体の再編:監理団体 → 監理支援機関(許可基準の厳格化)。外部監査人の設置義務化、常勤職員の配置基準の強化が行われます
- 特定技能との接続:育成就労3年 → 特定技能1号(最長5年) → 特定技能2号(在留期間の上限なし)の明確なキャリアパスが制度として整備されました
- 日本語教育の義務化:受入企業に対し、外国人の日本語学習機会の確保が義務づけられます
対象分野と受入れ見込数
育成就労制度の対象は17分野で、2028年度末までの受入れ上限数は合計約42万6,200人と設定されています。分野別では建設が約12万3,500人、工業製品製造業が約11万9,700人と最も多く、介護が約3万3,800人、飲食料品製造業、外食業、農業なども主要な受入れ分野となっています。なお、特定技能1号と合わせた総受入れ上限は約123万1,900人です。
2024年〜2025年|法整備と基本方針の確定
育成就労制度の法的基盤が整備された期間です。企業にとっては情報収集と社内体制の見直しを始めるべきフェーズでした。以下、主要な出来事を時系列で確認しましょう。
2024年6月21日:改正入管法の公布
「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」が公布されました。技能実習法は「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」に改題され、育成就労制度の法的枠組みが確定しました。公布から3年以内の施行と定められ、2027年4月1日が施行日に決定しています。なお、技能実習法は「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」に改題されました。
2025年3月11日:基本方針の閣議決定
「育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する基本方針」が閣議決定されました。制度の目的として外国人の人材育成と国内人材確保が明記され、受入れ数は原則5年ごとに分野別に設定すること、受入れ数は原則5年ごとに分野別に設定すること、転籍は1〜2年の就労後に認めることなどが正式に決定されました。
2025年9月〜10月:施行日の正式決定と関係省令の公布
2025年9月26日の閣議で施行日が2027年4月1日と正式に決定されました。同年9月30日には関係省令・告示が官報で公布され、出入国管理及び難民認定法施行規則の改正省令や育成就労法施行規則に基づく法務大臣・厚生労働大臣告示が示されました。10月1日に施行期日を定める政令が公布され、法的枠組みが完全に確定しました。この時点で企業は具体的な準備スケジュールを策定する必要が生じました。
2026年1月〜3月|分野別運用方針と運用要領の公表
制度の具体的な運用ルールが確定した重要な期間です。企業は自社の受入れ分野の詳細要件を確認し、具体的な準備行動に移る段階です。企業経営に直接影響する内容が含まれています。
2026年1月23日:分野別運用方針の閣議決定
17分野それぞれの受入れ見込数・転籍制限期間・日本語能力基準などが正式に決定されました。主な内容は以下の通りです。
- 受入れ上限:特定技能1号 約80万5,700人+育成就労 約42万6,200人=約123万1,900人
- 新規3分野の追加:リネンサプライ・物流倉庫・資源循環が対象分野に追加
- 介護分野の拡大:訪問系サービスへの従事を容認
- 外食業分野の拡大:ホテル・旅館における飲食提供全般に係る就労を容認
転籍制限期間の分野別設定
| 転籍制限期間 | 対象分野 |
|---|---|
| 2年 | 介護、建設、工業製品製造業、造船・舶用工業、自動車整備、飲食料品製造業、外食業、資源循環 |
| 1年 | ビルクリーニング、リネンサプライ、宿泊、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、林業、木材産業 |
転籍制限期間が1年の分野では、早期に外国人が転籍するリスクが高いため、企業は労働環境の改善や待遇の見直しを早急に進める必要があります。転籍には技能検定試験基礎級合格と日本語能力試験N5以上合格が要件とされています。企業は転籍制限期間内に外国人が定着するよう、労働環境・賃金水準・キャリアパスを競合他社と比較して改善しておくことが不可欠です。
2026年2月20日:運用要領の公表
育成就労制度の具体的な運用ルールを定めた運用要領が公表されました。育成就労計画の記載事項・添付書類・認定基準、育成就労実施者(受入企業)の要件、監理支援機関の役割と許可基準などが具体化されています。企業はこの運用要領を確認し、自社が育成就労実施者としての要件を満たしているか点検する必要があります。育成就労実施者の基本要件としては、過去1年以内に行方不明者を発生させていないこと、同種業務の労働者を過去1年以内に解雇していないこと、労働・社会保険・租税関連の法令を遵守していることなどが挙げられています。
2026年4月〜2027年3月|事前申請期間と施行準備
制度施行に向けた実務的な準備期間です。監理支援機関の事前申請や育成就労計画の事前申請など、具体的な手続きが始まります。この期間の対応が施行日にスムーズに新制度で受入れを開始できるかどうかを左右します。特に監理支援機関の許可審査には数か月を要するため、各マイルストーンを正確に把握して余裕をもった準備スケジュールを組むことが不可欠です。
2026年4月15日:監理支援機関の事前申請開始
既存の技能実習監理団体が育成就労制度の監理支援機関として継続事業を行うためには、新制度での新規許可申請が必要です。主な許可要件は以下の通りです。
- 外部監査人の設置が必須(弁護士・公認会計士・税理士・社労士・行政書士等)
- 常勤役職員2人以上の配置が必要
- 1人あたりの担当上限は8社または40人
- 直近決算で債務超過でないこと
- 3か月ごとの外部監査人による訪問監査が義務
推奨申請期限は2026年9月末です。施行日に間に合うよう、早めの申請準備が重要です。審査期間は通常3〜4か月程度を見込んでください。
2026年9月1日:育成就労計画の事前申請開始
受入企業は、育成就労計画認定申請を2026年9月1日から提出できるようになります。育成就労計画には、分野・業務区分の選定、技能目標の設定(1年目・3年目の技能試験受験計画)、日本語教育計画、転籍制限期間の設定などを記載する必要があります。分野によっては上乗せ基準(工業製品製造業等)への対応も必要です。育成就労計画認定の施行日前申請に関する詳細は2026年6月に公表される予定ですので、最新情報を確認してから申請準備を進めてください。
2026年9月〜2027年3月:施行前の最終準備チェックリスト
- 監理支援機関との契約締結(既存監理団体の許可状況を確認)
- 育成就労計画の作成・認定申請の提出
- 社内の受入れ体制の整備(育成就労責任者・担当者の選任)
- 日本語教育体制の構築(オンライン学習ツール・日本語教室との連携)
- 外国人の住居・生活支援体制の確認
- 就業規則・雇用条件の見直し(転籍リスクを踏まえた待遇改善)
- 技能検定受検のサポート体制構築(1年目:基礎級、3年目:3級の受検計画)
- 行政書士への相談(育成就労計画の作成支援、監理支援機関との契約書の確認)
既存の技能実習生への経過措置
現在受け入れている技能実習生への影響を正しく理解しておくことが重要です。育成就労制度への移行は段階的に行われ、既存の技能実習生が不利益を被ることのないよう経過措置が設けられています。2027年4月の施行日以降は新たな技能実習計画の認定は行われませんが、一定期間は技能実習制度と育成就労制度が並存します。
2027年3月までに入国した技能実習生の扱い
2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請がなされ、2027年6月30日までに技能実習を開始する者については、現行の技能実習制度のまま実習を継続できます。施行日時点で技能実習1号の外国人は技能実習2号への移行が可能であり、技能実習2号を1年以上経過した外国人は技能実習3号への移行も可能です。したがって、施行日を境に突然制度が切り替わるわけではありません。なお、経過措置により技能実習を継続する1号・2号の技能実習生は、育成就労外国人の受入れ人数枠にカウントされる点に注意が必要です。
移行期間と特定技能への接続
2027年4月の施行から2030年頃まで、技能実習と育成就労が並存する移行期間が設けられています。技能実習を修了した外国人は、従来通り特定技能1号への移行が可能です。育成就労制度で入国した外国人も、3年間の育成期間を経て特定技能1号に移行するルートが明確に設計されています。育成就労 → 特定技能1号(最長5年) → 特定技能2号(在留期間の上限なし)という長期的なキャリアパスが整備されたことで、優秀な外国人材の長期的な確保が可能になります。なお、育成就労から特定技能1号への移行に際しては、技能検定3級等または分野別の特定技能評価試験に合格するとともに、日本語能力試験N4相当以上の合格が必要です。企業は3年間の育成期間中に、外国人がこれらの水準に到達できるよう計画的な育成支援を行うことが求められます。日本語については、育成就労開始時にN5レベル(A1相当)、就労開始後1年でA1〜A2相当の試験合格が求められるため、入社直後から継続的な日本語教育環境を整備しておく必要があります。日本語能力の向上は転籍防止にも直結するため、企業にとっても重要な投資と言えます。
企業が今すぐ始めるべき準備行動
2027年4月の施行まで残り約1年。すでに2026年4月15日から監理支援機関の事前申請が始まっており、準備は待ったなしの状況です。企業規模や受入れ状況に応じて、優先度の高い準備から着手することが重要です。
既に技能実習生を受け入れている企業の準備
- 監理団体の移行状況を確認:現在利用している監理団体が監理支援機関の許可申請を行っているか確認。申請していない場合は別の監理支援機関との契約を検討
- 育成就労計画の準備:2026年9月1日以降に事前申請が可能。分野・業務区分、技能目標、日本語教育計画を策定
- 転籍対策としての労働環境改善:賃金水準の見直し、キャリアパスの明確化、生活支援の充実で転籍リスクを軽減。転籍制限期間が1年の分野(農業・ビルクリーニング等)では特に緊急性が高い
- 定款の確認:受入れ分野が育成就労の対象分野に該当するか確認し、必要に応じて事業目的の変更を行う
新たに外国人材の受入れを検討している企業の準備
- 対象分野・業務区分の確認:自社の業種が17分野に該当するか確認。分野別運用方針で業務内容の範囲を確認
- 監理支援機関の選定:2026年4月15日以降に許可申請が始まった新制度の監理支援機関から、実績・対応言語・地域を考慮して選定
- 受入れ体制の整備:育成就労責任者・担当者の選任、外国人の住居確保、日本語教育環境の準備
- 送出機関との連携:受入れを希望する国の送出機関との連絡・調整を開始。2国間取決めに基づく送出しが基本となります
- 受入れ対象分野別の協議会への加入:各分野の協議会への加入が受入れの前提条件です。入会手続きに時間がかかる場合があるため、早めの申請が推奨されます
全企業共通の準備事項
- 就業規則・雇用契約書の見直し(育成就労制度に対応した内容への改定)
- 社内研修の実施(育成就労制度の概要・義務・禁止事項の周知)
- 日本人従業員への説明(外国人材受入れの目的・共生に向けた職場環境づくり)
- 日本語教育環境の整備(オンライン学習ツールの導入、地域の日本語教室との連携体制の構築)
まとめ|施行日までの重要マイルストーンカレンダー
育成就労制度の施行に向けた重要日程を改めて整理します。以下のタイムラインを参考に、自社の準備状況を確認し、未対応の項目があれば早急に着手してください。
施行までのタイムライン一覧
| 時期 | イベント | 企業の対応 |
|---|---|---|
| 2024年6月 | 改正入管法公布 | 情報収集開始 |
| 2025年3月 | 基本方針閣議決定 | 社内体制の見直し検討 |
| 2025年10月 | 施行日決定(2027年4月1日) | 準備スケジュール策定 |
| 2026年1月 | 分野別運用方針閣議決定 | 自社分野の要件確認 |
| 2026年2月 | 運用要領公表 | 具体的な申請要件の確認 |
| 2026年4月15日 | 監理支援機関 事前申請開始 | 監理団体の移行状況確認 |
| 2026年9月1日 | 育成就労計画 事前申請開始 | 育成就労計画の作成・申請 |
| 2027年4月1日 | 育成就労制度 施行 | 新制度での受入れ開始 |
専門家に相談する
育成就労制度への移行は、約30年続いた技能実習制度の廃止という大きな制度転換を伴います。監理支援機関の選定、育成就労計画の作成・認定申請、経過措置の適用判断、転籍対策としての労働条件の見直しなど、専門的な知識が必要な場面が多くあります。制度移行の準備でお困りの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。育成就労制度に精通した行政書士が、御社の状況に応じた最適な移行計画の策定と届出手続きをワンストップでサポートいたします。初回相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。


