2025年特定技能登録支援機関の監査強化|定期監査と行政処分

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「最近、登録支援機関への実地検査が増えたと聞いたけど、うちは大丈夫かな…」 特定技能外国人の受入れが急速に拡大する中、出入国在留管理庁による登録支援機関への監査・実地検査が強化されています。2024年には相談記録書の作成義務化、定期面談の対面実施義務化など、支援実施状況の記録要件も相次いで厳格化されました。 登録支援機関に求められる対応を整理すると、 ・支援実施記録の適切な作成・保管 ・定期面談の対面化と報告書の整備 ・実地検査に即応できる書類管理体制の構築 が急務となっています。 本記事では、2025年現在の登録支援機関への監査強化の背景・内容から、行政処分の実例、そして2027年育成就労制度移行後の監理支援機関制度まで、行政書士の視点から実務対応を解説します。

登録支援機関への監査が急増している背景

登録支援機関への実地検査を行う入管庁職員

特定技能外国人の急増と支援機関の増加

特定技能制度が2019年4月に開始されて以来、受入れ企業数・外国人数ともに急増を続けています。出入国在留管理庁の統計によると、特定技能外国人の在留者数は2024年末時点で約28万人を超え、制度開始当初の数十倍規模に拡大しています。

これに伴い、登録支援機関の登録件数も2026年4月時点で11,315件に達しており、玉石混交の状態となっています。中には、支援業務の実態が伴わないまま登録だけを維持している機関や、記録義務を十分に理解していない機関も増えており、入管庁が管理・監督を強化する背景となっています。

入管庁による実地検査の強化方針

出入国在留管理庁は、特定技能所属機関および登録支援機関に対して定期的な実地調査(実地検査)を実施しており、違反が発見された場合は「指導・助言」または登録取消処分を行う権限を持っています。

実地検査は予告なし(抜き打ち)で行われることもあり、支援記録や面談記録を適切に整備していない機関にとっては大きなリスクです。制度の信頼性を高めるため、入管庁の検査姿勢は年々厳しくなっており、2025年以降はさらなる強化が見込まれています。

制度の信頼性向上を目的とした政策転換

2019年の特定技能制度開始当初は、登録支援機関の数を増やし受入れ体制を整備することが優先されていました。しかし現在は「量より質」の段階に移行しており、適切に支援を実施できない機関の登録取消・淘汰を進める政策方向にシフトしています。

2027年には技能実習制度が廃止され育成就労制度に移行するにあたり、監理・支援機関の質の確保はさらに重要な課題となっており、今後も規制強化の流れは続くと考えられます。

定期監査・実地検査の具体的な内容

監査コンプライアンス書類と届出フォルダ

実地検査で確認される主なチェックポイント

入管庁の実地検査では、主に以下の項目が確認されます。

確認項目 チェック内容
支援計画の履行状況 契約した支援が実際に実施されているか
定期面談の実施記録 3ヶ月に1回以上の対面実施と報告書の存在
相談記録書 相談・苦情があった場合の記録が作成されているか
支援担当者の配置要件 支援責任者・担当者の経験要件(過去5年に2年以上)
定期報告書の提出状況 届出書を期限内に提出しているか
支援委託契約書の内容 受入機関との契約が適切に締結されているか

特に問題になりやすいのは「記録が残っていない」ケースです。支援を実際に行っていても、記録書類が不備であれば「実施していない」と判断される可能性があります。

書面調査と実地検査の違い

入管庁による調査には、書面による確認(事前に資料提出を求める調査)と、職員が実際に登録支援機関を訪問して確認する「実地調査」の2種類があります。

  • 書面調査:届出書・報告書の内容確認、資料提出要求への対応。期限内に適切な資料を提出できれば問題なし
  • 実地調査:支援責任者・支援担当者へのヒアリング、記録書類の現物確認、オフィス環境の確認も含む

実地調査は突然行われることがあるため、日常的に書類を整備しておくことが何より重要です。「指摘を受けてから整える」では間に合いません。

検査の頻度と業界全体の動向

現時点では、全ての登録支援機関が定期的に実地検査を受けるわけではなく、苦情・通報があった機関や届出状況に疑義がある機関が優先的に検査対象となる傾向があります。しかし、特定技能外国人の増加に伴い、入管庁の検査人員も強化されており、抽出検査の対象が広がっています。

また、受入機関や外国人本人からの通報によって実地検査が開始されるケースも報告されています。日頃の支援品質が、そのままリスク管理につながります。

支援実施状況の記録義務化(2024年改正)

支援担当者が外国人と定期面談を行う様子

相談記録書の作成義務(2024年1月1日〜)

2024年1月1日以降、特定技能外国人から相談や苦情があった場合、その内容を記録した「相談記録書」を作成することが義務化されました。

記録すべき内容は以下のとおりです。

  • 相談・苦情を受けた日時
  • 相談・苦情の具体的な内容
  • 提供した支援・助言の内容
  • 関係行政機関(労働局・警察等)への相談・通報の有無と対応内容

相談・苦情がない場合は提出不要ですが、「相談があったのに記録がない」場合は義務違反となります。面談の都度、口頭で確認するだけでなく、記録として残す習慣が必要です。

定期面談の対面化義務(2024年1月1日〜)

同じく2024年1月1日以降、定期面談は原則として対面で実施することが義務付けられました。電話・メール・オンラインのみの対応では義務を満たしません。

定期面談の要件は次のとおりです。

  • 頻度:3ヶ月に1回以上
  • 方法:対面が原則(例外的にビデオ通話が認められる場合もあり)
  • 記録:定期面談報告書(参考様式第5-5号、第5-6号)を作成・保管
  • 面談内容:業務状況・生活状況・労働条件の確認など

複数の外国人を担当している機関では、全員の面談記録を漏れなく作成・管理することが求められます。管理ツールの活用が事実上不可欠です。

届出様式の統一化(2025年4月〜)

2025年4月以降、従来の「受入れ・活動状況に係る届出書」と「支援実施状況に係る届出書」が一体化され、「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-6号)」に統一されました。

また、2026年4月提出分(2025年度分)からは、定期報告の提出頻度が年1回(毎年4月1日〜5月31日)に変更されました。半年ごとの提出から年1回への変更は手続きの負担軽減に見えますが、1回あたりの記載内容が充実することが求められます。

⚠️ 注意
旧様式(参考様式第4-3号)で届出を行っている機関は、速やかに新様式への移行が必要です。様式の誤りも審査での指摘対象となります。

行政処分の種類と実際の事例

支援実施状況の管理ダッシュボード画面

登録取消・業務停止となる主な取消事由

登録支援機関の登録が取り消される主な事由は、入管法第19条の32第1項に規定されています。

  • 登録拒否事由への該当:設立後5年未満の法人、役員に不正行為歴がある場合など
  • 支援計画の不履行:義務的支援(住居確保・生活オリエンテーション・定期面談等)を実施していない場合
  • 不正な手段による登録:虚偽の申請書類、改ざんされた資料での登録
  • 虚偽報告:入管庁の求めに対して虚偽の内容を報告した場合
  • 外国人の行方不明者発生:支援担当者の怠慢が原因で外国人が所在不明になった場合

実務では「支援計画の不履行」と「虚偽報告」が最も問題となるケースが多く、特に支援を実施していないにもかかわらず実施したと報告するケースは厳しく処分されます。

行政処分を受けた機関の実態

入管庁の調査・行政処分情報によると、登録取消となる典型的なパターンは以下のとおりです。

  • 書類の偽造・改ざん:外国人の署名を偽造して面談記録を作成
  • 実態なき支援:支援計画書は作成しているが実際の支援を全く実施していない
  • 連絡体制の不備:担当者が不在で外国人との連絡が取れない状態が継続
  • 記録の不存在:定期面談を実施したと主張するが記録書類が一切ない

これらの問題を抱える機関は、実地検査で即時取消や業務停止命令を受けるリスクがあります。

取消後の影響と再登録の制限

登録を取り消された機関は、取消日から5年間は新たに登録支援機関として登録できなくなります。これは事業として致命的な影響を及ぼします。

また、取消処分を受けた場合、受入機関との委託契約も即時終了となり、担当していた特定技能外国人の支援が途絶えることになります。受入企業側も新たな登録支援機関を探す必要が生じるため、関係各所に多大な迷惑をかけることになります。

登録支援機関がすべきコンプライアンス対応

抜き打ち実地検査に訪れた入管庁職員

記録管理システムの整備が最重要課題

実地検査での指摘の多くは「法令を知らない」のではなく、「記録が残っていない」ことに起因します。まず優先すべきは、記録の作成・保管体制の整備です。

  • 定期面談報告書(3ヶ月ごと)の統一フォーマット作成と保管
  • 相談記録書の作成ルール明確化(口頭相談でも記録を残す)
  • 支援実施状況届出書の下書きを常時最新状態に保つ
  • 電子ファイルと紙書類の二重保管でリスク分散

支援管理専用のクラウドシステム(SaaSツール)を導入すれば、記録漏れの防止と期限管理が大幅に改善されます。担当する外国人の人数が10名を超えるようであれば、専用ツールの導入を強くお勧めします。

定期面談スケジュール管理の徹底

定期面談は3ヶ月に1回以上の実施が義務であり、実施漏れは直ちに義務違反となります。担当する外国人の人数・所在地が多岐にわたる場合は、計画的なスケジュール管理が不可欠です。

  • 全担当者の面談スケジュールを一覧管理するカレンダーを作成
  • 面談実施の1ヶ月前・2週間前にアラートを設定
  • 面談実施後24時間以内に報告書を作成・保管するルールを設ける
  • 複数担当者がいる場合は責任者が月次で実施状況を確認

内部監査・自己点検の定期実施

入管庁の実地検査を待つのではなく、定期的に自己点検を行い、不備を事前に発見・修正する体制が重要です。

  • 四半期ごとに全担当者の記録書類の完備状況を確認
  • 新しい届出様式・ルール変更を即時に社内周知する仕組みを構築
  • 支援責任者・支援担当者の要件(経験年数等)を年1回確認
  • 行政書士等の専門家による外部コンプライアンス監査の実施(年1〜2回)
実務アドバイス
自己点検チェックリストを用いて毎月30分の確認作業を行うだけで、実地検査対応の準備は格段に向上します。問題が小さいうちに発見・修正することが、行政処分回避の最善策です。

2027年育成就労制度移行後の監査強化

行政処分通知の封筒と公式印鑑

技能実習廃止と監理支援機関への転換

2027年4月1日に施行される育成就労制度では、現在の「監理団体」は「監理支援機関」として新たに許可申請が必要になります。また、現在の登録支援機関の役割も制度の中で再整理される予定です。

監理支援機関への許可申請は2026年4月15日から受付が開始されており、現在の監理団体は2027年3月31日までに新制度での許可取得が必要です。申請が遅れると2027年4月以降の業務継続が困難になります。

外部監査人制度の義務化

育成就労制度の最大の変更点の一つが「外部監査人」の設置義務化です。監理支援機関は、以下の要件を満たす独立した第三者を外部監査人として選任することが義務付けられます。

  • 要件① 国家資格保有:行政書士・社会保険労務士・弁護士のいずれかの資格を有すること
  • 要件② 独立性:監理支援機関とは独立した第三者であること(役員・従業員は不可)
  • 要件③ 定期的な監査実施:年1回以上の外部監査を実施し、報告書を作成・提出

この制度により、行政書士が監理支援機関の外部監査人として就任する新たなビジネス機会が生まれています。現在の登録支援機関との連携関係がある行政書士にとっては、自然なキャリア展開となります。

支援責任者・支援担当者の要件厳格化(2027年〜)

2027年4月1日施行の改正により、支援責任者・支援担当者の要件が現行より厳格化される予定です。

  • 常勤要件の必須化:支援責任者は常勤職員であることが要件化(名義だけを借りる体制は不可)
  • 経験要件の強化:在留外国人の生活相談業務の経験要件が厳格化される見込み
  • 研修・養成講習の受講:新制度での業務開始前に所定の養成講習受講が求められる可能性

2026年中に要件を満たす人材の採用・育成を進めることが急務です。「2027年に慌てて対応する」では間に合わないケースが出てきます。

行政書士が登録支援機関をサポートできること

コンプライアンス対応策を協議するスタッフ

実地検査対応の書類整備支援

行政書士は、登録支援機関の書類整備をサポートする立場として、以下の業務を担うことができます。

  • 定期面談報告書・相談記録書の作成フォーマット整備
  • 支援実施状況届出書(参考様式第3-6号)の作成代行・確認
  • 支援委託契約書の法的チェックと必要事項の確認
  • 実地検査対応マニュアルの作成支援

行政書士には官公署への書類作成権限があり、入管庁への届出書類の作成は行政書士の業務範囲です。一方で、書類を「取次する」だけなら行政書士でなくてもできますが、書類の「作成」は行政書士に依頼することで法的な適正担保が図れます。

定期コンプライアンス監査の実施

外部の専門家として行政書士が年1〜2回のコンプライアンス監査を実施することで、登録支援機関は「第三者チェック」の体制を整えることができます。

  • 支援実施記録の網羅性チェック(面談漏れ・記録漏れの確認)
  • 支援責任者・支援担当者の要件適合確認
  • 入管庁通知・法令改正の最新情報の周知
  • 実地検査を想定した模擬検査の実施

このような継続関与型の支援は、スポット相談よりも登録支援機関にとって価値が高く、行政書士にとっても安定した顧問報酬収入を生む契約形態です。

2027年制度移行に向けた伴走サポート

育成就労制度への移行に際しては、登録支援機関・監理団体がそれぞれ対応すべき変更が多岐にわたります。行政書士がこの移行期を伴走サポートすることで、クライアントとの信頼関係を深められます。

  • 監理支援機関の許可申請書類の作成・提出
  • 外部監査人制度への就任(行政書士自身が監査人に)
  • 支援責任者・支援担当者の要件充足に向けた採用・研修計画の策定支援
  • 経過措置期間中の旧制度・新制度の並行管理対応

まとめ:監査強化の波に備えた今すべき行動

期限管理カレンダーとコンプライアンスタイムライン

2025年現在、登録支援機関に求められる対応を改めて整理します。

対応項目 優先度 期限の目安
相談記録書の作成体制整備 緊急 即時対応(2024年1月義務化済)
定期面談の対面実施と記録 緊急 即時対応(2024年1月義務化済)
届出様式の新様式への移行 2025年4月届出分から
監理支援機関の許可申請 2026年4月〜2027年3月
支援責任者の要件確認・採用 2026年中に完了
外部監査人の確保 2026年末までに決定

最も大切なのは「記録を残すこと」です。支援を実施していても記録がなければ「実施していない」と判断されかねません。書類管理の体制を今すぐ見直し、実地検査にいつでも対応できる状態を保つことが、登録支援機関として事業を継続するための基本です。

行政書士への相談は、問題が起きてからではなく、日常的なコンプライアンス管理のパートナーとして活用することが、登録支援機関にとって最もリスクの低い経営判断です。当事務所では、登録支援機関の書類整備・届出代行・コンプライアンス監査を一括してサポートしております。まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

西脇 清訓

MIRAI行政書士事務所

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代表行政書士

西脇 清訓

プロフィール

2020年行政書士事務所開業以来、国際業務、相続業務、補助金申請・法人設立など、人生と事業の節目に寄り添う専門家として、実務経験と豊富な知識を活かし、多くのお客様の課題解決に貢献してまいりました。

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