特定技能制度2025年の変更点まとめ|16分野拡大・年次定期届出・5年の壁緩和を2026年視点で解説

  • 特定技能徹底解説

「特定技能制度が変わったと聞いたが、自社の採用計画にどう影響するのか把握できていない」
「年次定期届出が義務化されると聞いたが、具体的に何を準備すればいいのかわからない」

そんな声が、採用担当者・登録支援機関の担当者の間で増えています。2025年は特定技能制度にとって大きな転換の年でした。そして今、2026年を迎え、その変更内容がいよいよ実務に直結する段階に入っています。特に2026年4月〜5月の年次定期届出(初回)まで残りわずかとなった今こそ、制度変更の全体像を整理する必要があります。

  • 2025年4月施行|対象分野が12から16分野へ拡大し採用機会が広がった内容
  • 2026年4月〜5月が初回提出期限|年次定期届出の義務化と準備事項
  • 特定技能2号拡大・5年の壁緩和・2027年育成就労制度との関係

2026年3月現在、制度変更を正確に把握し、初回年次届出に向けて今すぐ準備を始めましょう。

2025年最大の変更|対象分野が12分野から16分野に拡大

特定技能の対象分野が16分野に拡大

新たに追加された4つの分野

2024年3月29日の閣議決定を経て、2025年から特定技能の対象分野が従来の12分野から16分野に拡大されました。新たに加わった4分野は以下の通りです。

新規追加分野 所管省庁 主な業務内容
自動車運送業 国土交通省 トラック・バス・タクシー運転業務
鉄道 国土交通省 軌道整備・電気設備保守・駅業務等
林業 農林水産省 伐採・搬出・育林等の林業業務
木材産業 農林水産省 製材・木材加工・木製品製造等

5年間の受入れ見込数が82万人に拡大

分野拡大にあわせて、2024年度から2028年度までの5年間の受入れ見込数が82万人に設定されました(前期2019〜2023年度の34.5万人から約2.4倍)。主要分野の見込数は以下の通りです。

分野 受入れ見込数(5年間)
工業製品製造業 173,300人(前期比約5.5倍)
飲食料品製造業 139,000人(前期比約4.1倍)
介護 135,000人(前期比約2.3倍)
建設 80,000人
農業 78,000人
外食業 53,000人
自動車運送業(新規) 24,500人

今後さらに3分野の追加が予定

政府は現在、「倉庫管理・運営業」「廃棄物処理業」「リネン供給業」の3分野を新たに追加する方針を打ち出しています。実現すれば2027年以降に19分野体制となる見通しです。人材確保の長期計画を立てている企業は、この動向も注視しておきましょう。

訪問介護が解禁|2025年4月21日からの特定技能介護の大転換

特定技能介護で訪問介護が解禁

解禁された業務の詳細

介護分野では、これまで禁止されていた訪問系サービスへの従事が2025年4月21日より解禁されました。これは特定技能介護にとって施行以来最大の変更です。

新たに認められる業務は以下の通りです。

  • 訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • 夜間対応型訪問介護
  • 介護予防訪問入浴介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 訪問型サービス(総合事業)

受入れ要件と企業が実施すべき対応

訪問系サービスに特定技能外国人を従事させるには、以下の要件を満たすことが必要です。

訪問介護受入れの必須要件
① 業務の基本事項等に関する研修の実施
② サービス提供責任者等による一定期間の同行OJT実施
③ 外国人介護人材とのキャリアアップ計画の共同作成
④ ハラスメント対策の実施
⑤ 不測の事態に備えたICT活用等の環境整備

訪問介護事業者にとっては人材確保の新たな選択肢が広がりました。ただし研修・OJTの実施体制を整備してから受け入れを行う必要があります。

特定技能2号の対象分野拡大と永続的な雇用の可能性

特定技能2号の対象分野拡大とキャリアパス

15分野での2号取得が可能に

2023年6月9日の閣議決定により、従来「建設」「造船・舶用工業(溶接区分のみ)」の2分野しか対象外だった特定技能2号に、一括で9分野が追加されました。介護分野(在留資格「介護」が別途存在するため除外)を除く全15分野で特定技能2号が適用可能となっています。

区分 特定技能1号 特定技能2号
在留期間 通算最長5年(2025年9月改正後は最長6年) 上限なし(更新し続けることが可能)
家族帯同 原則不可 可能
永住申請への道 在留歴要件あり(長期) 在留期間の積み上げが可能
技能レベル 相当程度の知識・経験 熟練した技能

2025年9月改正|「5年の壁」緩和措置

2025年9月30日の運用要領改正により、特定技能1号の「通算5年の在留期間上限」に関する救済措置が導入されました。

  • 特定技能2号試験を受験し合格基準点の8割以上を取得した場合、通算1年の在留延長が認められる(最長6年に)
  • 1回あたりの在留期間更新が最長3年に延長(従来は最長1年)
  • 産休・育休・病気療養期間は申請により5年のカウントから除外可能

企業が考えるべきキャリアパス設計

2号への移行が可能になったことで、特定技能外国人を長期戦力として育成する道が開けました。採用段階からキャリアパスを設計し、2号取得に向けた技能研鑽の支援を行うことが、優秀な外国人人材の定着につながります。

2026年4月からの年次定期届出義務化

年次定期届出の義務化

制度変更の概要と初回提出スケジュール

従来は四半期ごと(年4回)だった定期届出が、2025年4月1日施行の制度改正により年1回の年次定期届出に変更されました。初回の提出期限は2026年4月1日〜5月31日です。

⚠️ 年次定期届出のスケジュール
・届出対象期間:2025年4月1日〜2026年3月31日
・初回提出期間:2026年4月1日〜5月31日(この期間に1日でも特定技能外国人を受け入れていた全企業が対象)
・以降は毎年4月〜5月31日が提出期限

年4回から年1回へ回数が減った分、1回あたりの届出内容が大幅に増加します。当該期間を通じた活動状況・支援実施状況を正確に報告するために、今から日常的な記録管理を徹底することが不可欠です。

届出に必要な書類と提出方法

年次定期届出に必要な書類は、登録支援機関への委託状況によって異なります。

  • 全企業共通:受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-6号)
  • 登録支援機関に全委託の場合:届出書+委託先名簿+面談報告書など3点以上
  • 自社で支援を行う場合:上記に加え、支援状況報告書・相談記録書等を含む6〜7点以上

提出先は所属機関の住所を管轄する地方出入国在留管理局です。窓口持参・郵送のほか、電子届出システム(オンライン)での申請が推奨されています(2026年1月にシステム改修予定)。

違反した場合の罰則

⚠️ 定期届出違反の主な罰則
・不提出・虚偽届出:30万円以下の罰金または10万円以下の過料
・入管法違反として処理される場合:最大3年以下の懲役または300万円以下の罰金
・特定技能外国人の受入れ継続が不可能になる可能性
・登録支援機関の場合は登録取消・登録抹消の対象

特定技能制度の変更への対応や2026年の年次定期届出の準備についてお困りの方は、MIRAI行政書士事務所にご相談ください。受入れ企業・登録支援機関双方のサポート実績があります。初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

受入れ企業(特定技能所属機関)の実務対応ポイント

受入れ企業の実務対応ポイント

新設された随時届出義務への対応

2025年4月の改正で、以下のケースが新たな随時届出義務として追加されました。これらは年次届出とは別に、事象発生から速やかな報告が求められます。

  • 在留資格許可から1ヶ月以上経過しても就労開始していない場合
  • 雇用後に1ヶ月以上就労できない状態(病気・事業都合等)が続く場合
  • 支援計画の実施が困難な状況が生じた場合

入社・就労開始のタイミング管理、体調不良者への対応記録など、日常的なモニタリング体制の整備が求められます。

不正行為の新類型と記録管理の徹底

2025年の改正で、以下の行為が「不正行為」として新たに追加されました。これらは許可取消の事由となりうるため、特に注意が必要です。

⚠️ 新たに追加された不正行為類型
外国人の意思表示を妨げる行為(不満・相談を抑圧するなど)
必要な記録を作成しない行為(支援実施記録・面談記録の不作成)

これらは従来の暴力・脅迫等の明示的な不正行為と異なり、「記録がない」という消極的な状態も対象となります。

3ヶ月に1回以上の定期面談の実施と記録保管、相談対応記録の整備は今すぐ着手してください。「実施はしているが記録がない」という状態が最大のリスクです。

登録支援機関が対応すべき変更点

登録支援機関の対応事項

支援実施困難報告制度の新設

2025年の改正で、登録支援機関が受入れ企業側の基準不適合等を把握した場合に、入管庁へ報告できる制度が新設されました。これにより登録支援機関は、単なる業務委託先から「制度の番人」としての役割を担うことになります。

支援委託先の受入れ企業が不適切な状況にあることを把握しながら報告しなかった場合、登録支援機関自身の責任が問われる可能性があります。委託先企業の状況を定期的に確認する体制が必要です。

定期面談記録と年次届出への準備

登録支援機関にとって最も重要な変更点は、年次定期届出に添付する面談記録・支援実績の蓄積です。年4回から年1回への変更で提出頻度は減りましたが、1年分の記録を一括報告するための日常的な整理が求められます。

登録支援機関の年次届出準備チェックリスト
☑ 3ヶ月ごとの定期面談の実施と記録保管(オンライン実施も可)
☑ 相談対応記録の整備(相談内容・対応結果を文書化)
☑ 支援計画の実施状況を証明する資料の蓄積
☑ 電子届出システムへの事前登録(2026年1月のシステム改修後に確認)
☑ 行政処分の新類型(記録不作成・意思表示妨害)を社内で周知

登録支援機関として行政処分を受けた場合、登録取消・登録抹消という最も重い処分が課されます。制度理解の不足よりも「記録がない」「判断が一貫しない」という運用面の不備が処分の主な対象となっています。

2027年の育成就労制度施行に向けた準備

2027年育成就労制度への移行と特定技能との関係

育成就労制度の概要と施行スケジュール

2024年6月の法改正で創設された育成就労制度が2027年4月1日に施行されます。これは技能実習制度を廃止し、「特定技能1号の取得」を正面から目的とした新制度です。

時期 主な変更
2025年4月 16分野正式運用、定期届出年次化方針施行、訪問介護解禁(4月21日)
2025年9月30日 「5年の壁」救済措置導入、在留期間3年延長
2026年4〜5月 初回の年次定期届出(2025年度分)
2027年4月 育成就労制度施行・技能実習制度廃止
2027年以降 「倉庫管理」「廃棄物処理」「リネン供給」追加予定(19分野化)

技能実習から育成就労へのキャリアパスの整理

育成就労制度では、特定技能1号の取得を正面から目指すことが制度の目的として明示されています。在留期間は最長3年で、修了後に特定技能1号へ移行するルートが標準化されます。

  • 育成就労(最長3年) → 特定技能1号(最長5〜6年) → 特定技能2号(上限なし)
  • 育成就労には登録支援機関とは別の「監理支援機関」への登録が必要となる
  • 転籍・移籍の自由化(一定要件下)が認められるため、労働者保護の書類・管理体制の整備が求められる

現在の技能実習制度の経過措置は2027年3月末まで継続されますが、今後の採用計画は育成就労制度を前提とした設計に切り替えていく必要があります。

まとめ|2026年の年次届出に向けて今すぐ着手すべきこと

2025年の特定技能制度は、分野拡大・届出変更・新義務追加など受入れ企業・登録支援機関双方に大きな影響を与える変更が集中した年となりました。変更内容を整理すると、最優先で対応すべきことは明確です。

2026年の初回年次届出に向けて今すぐ着手すべきこと
① 2025年4月以降の特定技能外国人の就労・活動状況の記録整備・保管開始
② 3ヶ月ごとの定期面談の実施と記録の蓄積
③ 電子届出システムへの事前登録(オンライン申請推奨)
④ 不正行為の新類型(記録不作成・意思表示妨害)を社内で周知・対策
⑤ 随時届出の新設事由(1ヶ月以上就労不能等)の管理体制構築
⑥ 2027年の育成就労制度施行を見据えた採用計画の見直し

制度変更は今後も継続的に行われます。MIRAI行政書士事務所では、受入れ企業・登録支援機関向けの最新情報の提供と実務サポートを行っています。制度変更への対応でお困りの際は、お早めにご相談ください。

この記事の監修者

西脇 清訓

MIRAI行政書士事務所

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代表行政書士

西脇 清訓

プロフィール

2020年行政書士事務所開業以来、国際業務、相続業務、補助金申請・法人設立など、人生と事業の節目に寄り添う専門家として、実務経験と豊富な知識を活かし、多くのお客様の課題解決に貢献してまいりました。

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