「外国人スタッフの在留期限、ちゃんと把握できていますか?」
「気づいたら期限が切れていた、なんてことになったら大変では?」
外国人労働者が257万人を超えた2026年現在、企業における在留期限管理の重要性はこれまで以上に高まっています。2025年6月には不法就労助長罪の罰則が大幅に強化され、法人への罰金は最大1億円となりました。「知らなかった」では済まされない時代に突入した今、多くの企業が在留期限管理の見直しを迫られています。本記事では、在留期限管理のリスクと課題、そして行政書士への委託が企業にもたらすメリットについて詳しく解説します。
- 不法就労助長罪の罰則強化(法人罰金最大1億円)の実態と連鎖的ペナルティ
- 自社管理に潜む3つの落とし穴とその具体的な対策
- 行政書士への委託メリットと顧問契約の費用相場・コスト比較
外国人雇用におけるコンプライアンスリスクを根本から解消したい企業の担当者・経営者の方は、ぜひ最後までお読みください。
なぜ今、在留期限管理が企業の経営課題になったのか
外国人労働者257万人時代が到来した背景
厚生労働省の統計によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万人を超え、外国人を雇用する事業所数も34万社以上に達しました。いずれも過去最高を更新しており、外国人雇用はもはや大企業や製造業だけの話ではありません。
IT・飲食・介護・建設・農業など、あらゆる業種で外国人材の採用が加速する中、在留資格と在留期限の管理は人事部門にとって避けられない実務課題となっています。外国人従業員が増えるほど、管理対象も増え、見落としのリスクも比例して高まります。
2025年6月施行の罰則強化で何が変わったか
2024年に成立した入管法等改正法(令和6年改正)が2025年6月に施行され、不法就労助長罪の罰則が大幅に強化されました。主な変更点は以下のとおりです。
| 項目 | 改正前 | 2025年6月改正後 |
|---|---|---|
| 個人への罰則 | 懲役3年以下または罰金300万円以下 | 拘禁刑5年以下または罰金500万円以下(併科可) |
| 法人への罰金 | 最大300万円 | 最大1億円(両罰規定) |
| 公訴時効 | 3年 | 5年 |
法人への罰金が最大1億円という水準は、中小企業の経営に直接打撃を与え得るものです。在留期限管理の不備がもたらすリスクが、これまでとは比べ物にならないレベルになったことを企業全体で認識する必要があります。
不法就労助長罪の「過失犯」規定に要注意
不法就労助長罪(入管法第73条の2)が特に企業担当者にとって怖い理由は、「知らなかった」という言い訳が通用しない点にあります。故意犯だけでなく、在留カードの確認を怠るなど「当然払うべき注意を怠った」過失がある場合も処罰対象となります。
注意: 在留期限切れを「気づかなかった」「確認が漏れていた」という状況は、まさに過失犯の要件に当たります。採用時の確認だけでなく、在籍中の継続的な管理義務があることを必ず認識してください。
不法就労活動には、在留期間満了後(不法残留状態)での就労が含まれます。「申請中だったはず」という思い込みや、担当者の引き継ぎミスも過失と判断される可能性があります。
在留期限切れが引き起こす法的リスクの全貌
不法就労助長罪の罰則内容(拘禁刑5年・法人罰金1億円)
在留期限が切れた外国人を就労させた場合、企業は不法就労助長罪に問われます。2025年6月以降に適用される罰則の内容は以下のとおりです。
- 企業経営者・担当者個人:拘禁刑5年以下または罰金500万円以下(いずれも併科可能)
- 法人(会社):両罰規定により罰金最大1億円
- 公訴時効:5年(改正前の3年から2年延長)
「拘禁刑」は2022年の刑法改正で「懲役」と「禁錮」が統合されたものです。有罪判決が確定すれば前科がつき、その後の企業経営や採用活動にも大きな影響を与えます。法人罰金1億円は、中小企業にとって事業継続の危機となりかねない金額です。
業種別・許認可取消という連鎖的ペナルティ
不法就労助長罪による有罪判決は、刑事罰にとどまらず、企業が保有する許認可に連鎖的な影響を及ぼします。特に以下の業種では影響が深刻です。
| 業種・資格 | 影響内容 |
|---|---|
| 特定技能外国人受入企業 | 5年間の特定技能外国人受入停止 |
| 建設業許可 | 禁錮(拘禁刑)以上の場合、許可取消・5年間再取得不可 |
| 労働者派遣事業 | 許可取消事由に該当する可能性 |
| 登録支援機関・監理支援機関 | 登録取消事由に該当 |
たとえば建設業を営む企業が不法就労助長罪で摘発された場合、建設業許可が取り消され、5年間再取得できないため、事業継続そのものが困難になるケースがあります。複数の許認可を保有する企業では、一つの違反が事業全体の崩壊につながりかねません。
摘発は「他人事ではない」数字で見る実態
出入国在留管理庁の統計によると、令和6年(2024年)に退去強制手続等を執った外国人は18,908人にのぼり、そのうち不法就労事実が認められた者は14,453人と全体の76.4%を占めました。
また、2024年1月1日時点の不法残留者数は79,113人で前年比12.2%増と急増しています。外国人労働者を雇用する企業が、従業員の在留期限切れに気づかないまま就労を継続させてしまうリスクは、決して低くありません。
ポイント: 外国人労働者の多い関東地区では不法就労摘発の76.7%が集中しています。外国人従業員を多く抱える企業であるほど、在留期限管理を会社の仕組みとして整備することが急務です。
企業が果たすべき在留カード確認義務の内容
採用時に確認すべき在留カードの5つのポイント
外国人を採用する際、企業(事業主)には在留カードの原本確認義務があります。コピーや写真では不十分で、必ず原本を手元で確認してください。採用時に確認すべき5つのポイントは以下のとおりです。
- 在留資格の種別:就労が認められている在留資格か(技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習など)を確認する
- 在留期間満了日:カードに記載されている在留期限の日付を正確に記録する
- 在留カード有効期限:在留期間満了日とは別物。カード自体の更新期限を別途管理する
- 就労制限の有無:カード裏面に「就労不可」や「資格外活動許可」の記載がないか確認する
- 偽変造の確認:出入国在留管理庁が無料提供する「在留カード等読取アプリ」でICチップを読み取り、偽変造をチェックする
なお、外国人雇用状況の届出(ハローワーク)も採用時・離職時に義務付けられており、怠ると30万円以下の罰金が科せられます。こちらも忘れずに実施してください。
在留期限と在留カード有効期限の違いを正しく理解する
企業担当者が混同しがちな「在留期間満了日」と「在留カード有効期限」は、まったく別の概念です。この違いを正確に理解していないと、重大な管理ミスにつながります。
| 項目 | 内容 | 管理上の注意点 |
|---|---|---|
| 在留期間満了日 | 在留資格が有効な期限。この日を過ぎると不法残留となる | 満了3か月前から更新申請を開始する |
| 在留カード有効期限 | カード自体の更新期限。16歳以上は7年ごと、16歳未満は5年ごと | カード更新≠在留期間更新。別々に管理が必要 |
カードの有効期限がまだ先であっても、在留期間満了日が近づいていれば更新申請が必要です。「カードがまだ使えるから大丈夫」という思い込みが、重大なコンプライアンス違反の原因になります。
在留期限確認の頻度と在留カード等読取アプリの活用
採用時だけでなく、在籍中も定期的な在留期限確認が必要です。推奨される確認体制は以下のとおりです。
- 採用時:在留カード原本の目視確認+読取アプリによる偽変造チェック
- 在籍中:年2回程度の定期確認(年度初め・年度末など)
- アラート設定:在留期限の3か月前・1か月前・2週間前の3段階で通知
- 担当者異動時:引き継ぎプロトコルの明文化と確実な引き継ぎ
出入国在留管理庁が無料提供している「在留カード等読取アプリケーション」をスマートフォンにインストールしておけば、ICチップを読み取るだけで偽変造の有無を確認できます。採用担当者のスマートフォンには必ず入れておきましょう。
自社管理に潜む3つの落とし穴
落とし穴1:担当者の退職・異動で引き継ぎが断絶する
自社管理で最も多い失敗パターンが、外国人雇用担当者の退職や部署異動による管理断絶です。特定の担当者に在留期限管理を属人的に任せていると、その担当者が離れた瞬間に管理が途絶え、期限切れを見落とすリスクが生じます。
中小企業では人事担当者1人が全外国人の管理を担っているケースが多く、引き継ぎ資料が不十分であればそのまま管理不在の状態に陥ります。不法残留は本人が意図しなくても発生するため、「前任者から引き継いでいなかった」という事情も、企業側の過失として問われる可能性があります。
落とし穴2:在留期限と在留カード有効期限を混同する
在留期間満了日と在留カード有効期限の混同は、前述のとおり非常によくある間違いです。特に中途採用で入社した外国人従業員の管理を引き継ぐ際に起きやすい問題です。
管理台帳では「在留期間満了日」と「在留カード有効期限」を必ず別の列で管理し、どちらが先に来るかを常に意識した運用が必要です。前任者が作成した台帳をそのまま引き継ぐ場合でも、両者が正しく区別されているかを必ず確認してください。
落とし穴3:法改正への対応が遅れる
2025年6月の罰則強化のように、入管法の改正は頻繁に行われます。自社管理の場合、人事担当者が最新の法令情報をタイムリーに把握し、社内ルールに反映させる必要がありますが、本業を抱えながらこれを継続するのは容易ではありません。
法改正への対応遅れは、以前は問題なかった慣行が突然コンプライアンス違反となるリスクをはらんでいます。2027年には育成就労制度の本格施行も予定されており、在留資格管理に関する新たな実務対応が今後も求められます。
行政書士に委託する4つのメリット
メリット1:在留期限の一元管理と3か月前アラートで見落としゼロ
行政書士事務所に委託する最大のメリットは、在留期限の一元管理と自動アラート体制です。担当行政書士が全外国人従業員の在留期限を管理台帳で一括管理し、期限の3か月前・1か月前に通知を行います。
出入国在留管理庁では、在留期間が6か月以上ある場合は満了の概ね3か月前から更新申請を受け付けています。更新申請の審査には通常2週間〜1か月程度かかるため(繁忙期はさらに延長)、3か月前に動き出すことが理想です。行政書士への委託により、このタイミング管理が自動化されます。
- 担当者の退職・異動があっても管理が途絶えない
- 複数の外国人従業員の期限を一括で把握できる
- 更新準備の開始タイミングを見逃さない
メリット2:申請取次権限で担当者の入管出頭が不要に
行政書士の大きな強みのひとつが「申請取次」権限です。申請取次の認定を受けた行政書士は、外国人本人や企業担当者に代わって出入国在留管理局に出頭し、申請手続きを行うことができます。
- 外国人本人が平日に休暇を取得する必要がなくなる
- 企業担当者が入管に出向く工数(半日〜1日)が削減できる
- 申請書類の不備による窓口での差し戻しリスクが低減する
- 出入国在留管理庁のオンライン申請にも対応可能
外国人従業員が複数いる企業では、更新申請のたびに担当者が入管へ出向く工数が積み重なります。申請取次権限を持つ行政書士への委託により、この工数を大幅に削減できます。
メリット3:法改正・制度変更への即時対応と不許可リスクの低減
行政書士は業務として最新の法令情報を継続的に収集・習得しており、法改正があれば速やかに企業へ情報提供し、必要な対応を提案します。2025年6月の罰則強化、2027年予定の育成就労制度施行など、企業が把握しておくべき制度変更に自動的に対応できます。
また、在留期間更新許可申請の書類は在留資格の種別や本人の状況によって異なり、書類の不備や記載内容の不整合が不許可の原因になることがあります。行政書士は申請前に書類を精査し、不許可リスクとなる箇所を事前に修正します。
ポイント: 在留期間更新が不許可になった場合、外国人従業員は帰国せざるを得なくなるケースもあります。採用・育成コストをかけた人材を失わないためにも、専門家への依頼は重要なリスクヘッジです。
メリット4:管理工数の削減でコア業務に集中できる
在留期限管理を行政書士に委託することで、人事部門は在留資格の確認・更新申請の書類収集・入管への出頭といった非コア業務から解放されます。その分、採用活動・研修・評価制度といった本来注力すべき人事業務に集中できます。
また、常時10人以上の外国人を雇用する事業所では、厚生労働省の指針により「外国人雇用労務責任者」の選任が求められます。責任者として選任された社員が法令知識を習得・維持するコストも、行政書士との顧問関係を通じて低減できます。
行政書士との顧問契約の内容と費用相場
顧問契約で受けられるサービス一覧
行政書士との顧問契約(外国人雇用顧問)では、一般的に以下のサービスが提供されます。契約内容は事務所によって異なるため、契約前に必ず確認してください。
- 全外国人従業員の在留期限・在留資格の一元管理台帳の作成・維持
- 更新時期の事前アラート通知(期限3か月前・1か月前など)
- 在留期間更新・変更申請書類の作成と申請取次代行
- 新規採用外国人の在留資格認定証明書交付申請代行
- ハローワークへの外国人雇用状況届出の代行
- 在留資格・入管法に関する相談対応(メール・電話)
- 法改正・制度変更情報の随時提供
費用相場と費用対効果の試算
行政書士への外国人雇用顧問契約の費用相場は、事務所や雇用する外国人の人数によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。
| サービス | 費用相場 |
|---|---|
| 顧問契約月額 | 1万円〜5万円(外国人人数・企業規模による) |
| 在留期間更新申請(1件) | 3万円〜6万円 |
| 在留資格変更申請(1件) | 6万円〜15万円 |
| 在留資格認定証明書申請(1件) | 8万円〜15万円 |
月額2〜3万円の顧問契約費用と、不法就労助長罪が適用された場合の法人罰金最大1億円・許認可取消・事業停止リスクを比較すれば、委託のコストパフォーマンスは明らかです。「転ばぬ先の杖」として、顧問契約は合理的な投資といえます。
自社管理 vs 行政書士委託のコスト比較
外国人10名を雇用する中小企業を例に、年間コストを試算します。
| 比較項目 | 自社管理 | 行政書士委託 |
|---|---|---|
| 月次管理工数 | 担当者10〜20時間/月 | ほぼゼロ(報告受取のみ) |
| 更新申請の出頭 | 年数回×半日〜1日の工数 | 不要(申請取次代行) |
| 法改正対応 | 自社で情報収集・社内反映が必要 | 行政書士から随時提供 |
| 見落としリスク | 属人管理・異動時の断絶リスクあり | 専門家が一元管理し排除 |
| 年間コスト目安 | 担当者人件費換算で年30〜60万円相当+リスクコスト | 顧問料24〜36万円+申請実費 |
自社管理は「コストゼロ」に見えますが、担当者の工数を人件費換算すると相応のコストがかかっています。さらに見落としによるリスクコストを加味すると、行政書士委託の方が総合的にコストパフォーマンスが高いケースが多いといえます。
今すぐ始める在留期限管理体制の構築ステップ
ステップ1:現状の在留期限管理を棚卸しする
まず、現在在籍している全外国人従業員の在留情報を棚卸しします。以下の情報をリストアップしてください。
- 氏名・国籍・在留資格の種別
- 在留期間満了日(在留期限)
- 在留カード有効期限(在留期間満了日と別に記録)
- 現在の業務が在留資格の業務範囲内かどうかの確認
- 最終在留カード確認日と確認者
この棚卸しで、すでに期限が近い外国人従業員が見つかる場合があります。在留期間満了日の3か月前以内であれば、すぐに更新申請の準備を始めてください。1か月前を切っている場合は、至急行政書士に相談することをお勧めします。
ステップ2:在留期限管理台帳を整備する
棚卸しの情報をもとに、管理台帳を整備します。Excelでの管理でも可能ですが、以下のルールを徹底してください。
- 在留期間満了日の「3か月前」「1か月前」「2週間前」の日付を自動計算する列を設ける
- カレンダーアプリやスケジュール管理ツールにアラートを設定する
- 担当者が変わっても管理が継続できるよう、管理手順書を作成する
- 定期確認の実施記録(確認日・確認者・結果)を残す
在留カードの有効期限と在留期間満了日を必ず別列で管理し、どちらが先に来るかを常に意識した設計にすることが重要です。台帳の更新ルールと責任者を明確に定め、文書化しておきましょう。
ステップ3:行政書士との顧問契約を検討する
自社での管理体制を整えつつ、並行して行政書士との顧問契約を検討することをお勧めします。特に以下に当てはまる企業は、早期に相談されることをお勧めします。
- 外国人従業員が5名以上いる
- 人事担当者が1〜2名しかおらず、管理が属人的になっている
- 近い将来、外国人採用をさらに拡大する予定がある
- 特定技能・育成就労など複雑な制度を利用している(または予定している)
- 建設業・派遣業など、許認可への影響が大きい業種を営んでいる
入管業務に強い行政書士は、「申請取次行政書士証明書」(ピンクカード)を取得しています。顧問契約の相談時には、申請取次の認定有無と外国人雇用案件の実績件数を必ず確認してください。適切な専門家と早期に顧問関係を築くことが、企業の在留期限管理リスクをゼロに近づける最善の方法です。
ポイント: 当事務所では、在留期限管理の一元管理から更新申請の取次まで、外国人雇用に関するコンプライアンス対応をトータルでサポートしています。現在の在留期限管理体制に不安を感じている企業担当者の方は、まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。


