「外国人を採用したいけど、ビザの手続きって何から始めればいいの?」
「内定を出してから入社まで、どれくらい時間がかかるんだろう?」
外国人労働者数が257万人を超えた2026年現在、外国人採用に踏み切る企業は増え続けています。しかし、在留資格の手続きは複雑で、準備の遅れや書類不備が入社の大幅な遅延を招くケースも少なくありません。本記事では、面接から内定・入社までの在留資格手続きフローを「海外在住者」と「国内在住者」の2パターンに分けてわかりやすく解説します。
- 海外在住者採用(認定証明書交付申請)と国内在住者採用(在留資格変更申請)の手続きフロー
- 必要書類の一覧と収集スケジュールの目安
- 行政書士に依頼すべき最適なタイミングと遅延した場合のリスク
初めて外国人採用に取り組む人事担当者の方から、採用プロセスを見直したい方まで、実務に直結する情報をお届けします。
外国人採用の在留資格手続きは「海外在住者」と「国内在住者」で異なる
在留資格と業務内容の一致が採用の大前提
外国人を採用する前に、まず理解しておくべき大原則があります。それは「在留資格と実際の業務内容が一致していなければ、就労は許可されない」という点です。
たとえばエンジニアとして採用予定であれば「技術・人文知識・国際業務」、介護職であれば「介護」、特定の分野であれば「特定技能」といった、業務に対応する在留資格を取得する必要があります。在留資格の種別と業務内容のミスマッチは、申請不許可の最も多い原因のひとつです。
面接・内定前後で確認すべきポイント
採用プロセスの早い段階で、以下のポイントを確認しておきましょう。
- 候補者が海外在住か、国内在住か:手続きの種類と所要期間が大きく異なる
- 候補者の最終学歴と専攻分野:業務内容との関連性が審査で問われる
- 国内在住の場合、現在の在留資格と期限:変更申請は期限内に完了させる必要がある
- 採用したい業務内容の具体的な説明:「なぜその外国人が必要か」を採用理由書で説明できるか
これらを内定前の段階で整理しておくことで、手続きをスムーズに進めることができます。
「認定証明書交付申請」と「在留資格変更申請」の違い
外国人採用の在留資格手続きは、候補者の在住場所によって2種類に分かれます。
| 項目 | パターン1:海外在住者 | パターン2:国内在住者 |
|---|---|---|
| 申請の種類 | 在留資格認定証明書交付申請 | 在留資格変更許可申請 |
| 申請者 | 企業(招聘機関)または行政書士 | 本人または行政書士 |
| 標準審査期間 | 1〜3か月(東京入管は実態5〜7か月) | 40〜60日(約1〜2か月) |
| 入社目安 | 内定から最低6〜9か月(東京) | 内定から2〜3か月 |
海外在住者の採用は国内在住者に比べて手続き期間が長く、特に東京入管への申請では実態として5〜7か月かかるケースが多発しています。採用計画の段階からこの差を認識しておくことが重要です。
パターン1:海外在住者の採用手続きフロー(在留資格認定証明書交付申請)
ステップ1:内定後すぐに書類収集・申請準備を開始する
海外在住者の採用では、内定直後から書類収集を始めることが最重要です。書類の準備だけで1〜2か月かかるため、内定通知と同時に行政書士への相談を開始するのが理想的です。
企業側が準備する主な書類は以下のとおりです。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 返信用封筒(簡易書留分の切手を貼付)
- 会社の登記事項証明書(3か月以内のもの)
- 直近の決算書(損益計算書・貸借対照表)
- 法定調書合計表(源泉徴収税額。カテゴリー判定に使用)
- 雇用契約書
- 採用理由書(なぜその外国人を採用するかを説明する重要書類)
- 会社パンフレット・会社概要
候補者本人側では、卒業証明書・成績証明書・職歴証明書などが必要です。海外の大学へ証明書を取り寄せる場合、2〜4週間かかることも珍しくありません。また、フィリピン・インドネシア・中国・ミャンマー・ネパール・ベトナム国籍者は、2025年6月以降「入国前結核スクリーニング証明書」の提出が義務化されており、現地の指定機関での受診が必要です(後述)。
ステップ2:出入国在留管理局への認定証明書申請
書類が揃ったら、採用予定者の入国後の居住予定地を管轄する地方出入国在留管理局に申請します。申請取次行政書士に依頼した場合、企業担当者・本人の出頭は不要です。
注意: 東京入管管轄の申請では、「技術・人文知識・国際業務」ビザの認定証明書交付申請が2025年実績で約7か月かかっています。公式の「1〜3か月」とは大きく乖離しており、入社日の設定には余裕が必要です。
審査中は補正(追加書類の提出)を求められる場合があります。行政書士と連携して速やかに対応することで、審査の遅延を最小限に抑えられます。審査が完了すると「在留資格認定証明書」が交付され、オンライン申請の場合は電子メールで受領できます。
ステップ3:海外での査証(ビザ)申請から入国・在留カード取得まで
在留資格認定証明書を受け取ったら、候補者本人の居住国にある日本大使館・総領事館へ査証申請を行います。
- 査証申請に必要なもの:在留資格認定証明書(電子データのスマートフォン提示も可)、パスポート、査証申請書、顔写真
- 査証発給:数日〜1週間程度
- 認定証明書の有効期間:交付日から3か月以内に入国が必要(期限切れは再申請必要)
- 入国後:主要空港での上陸審査と同時に在留カードが交付される
- 住民登録:入国後14日以内に居住地の市区町村役場で転入届
2023年3月以降、オンライン申請で取得した認定証明書は電子データとして本人にメール転送でき、スマートフォンで提示して査証申請・上陸手続きが可能になりました。郵送の時間と費用を省けるため、積極的に活用しましょう。
パターン2:国内在住者の採用手続きフロー(在留資格変更許可申請)
留学・家族滞在・特定活動からの変更フロー
すでに日本に在留している外国人を採用する場合は、現在の在留資格から就労資格へ「在留資格変更許可申請」を行います。最も多いケースは留学生が卒業後に就労資格へ変更するパターンです。
| 変更前の在留資格 | 変更後 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 留学 | 技術・人文知識・国際業務など | 出席率・資格外活動(週28時間超)の違反歴が審査に影響 |
| 家族滞在 | 技術・人文知識・国際業務など | 学歴・職歴と業務内容の関連性が厳しく審査される |
| 特定活動(内定者) | 技術・人文知識・国際業務など | 就労開始と同時に変更申請が必要 |
| 技能実習/育成就労修了後 | 特定技能または技術・人文知識・国際業務 | 修了後の在留資格の手続きを早期に開始する |
なお、卒業から入社まで在留期限が来る場合は、「特定活動(内定者)」への変更を経由してから就労資格へ変更するルートもあります。行政書士に相談して最適なルートを確認してください。
2026年4月施行:技人国の日本語能力要件に注意
2026年4月15日以降に申請する「技術・人文知識・国際業務」(技人国)について、カテゴリー3・4の企業が採用する場合、対人業務で日本語を使用するポジションでは日本語能力の証明が必要となりました。
- 日本語業務の場合:JLPT N2以上またはBJTビジネス日本語能力テスト400点以上
- 免除対象:日本の大学・大学院卒業者、義務教育修了者(留学からの変更も免除)、20年以上在留者
- 英語等の言語能力についても、CEFR B2相当以上の証明が求められる可能性がある
ポイント: 日本の大学を卒業した留学生(最多ケース)はこの日本語要件の免除対象となります。ただし要件は変更される可能性があるため、申請前に行政書士へ確認することを推奨します。
在留期限切れを防ぐ申請タイミングの管理
在留資格変更申請で特に注意が必要なのが「申請中に在留期限が切れる」リスクです。変更申請中であっても在留期限が満了した場合、特例として在留期間の満了から2か月間または申請結果が出るまでの間は在留できますが、申請自体が期限内に行われていることが前提です。
4月入社を目指す場合、出入国在留管理庁は12月1日〜1月末の申請を推奨しており、それ以前から書類準備を始める必要があります。繁忙期(1〜3月)は処理期間がさらに延びるため、早め早めの行動が不可欠です。
在留資格手続きに必要な書類一覧
企業側が準備する主な書類(7種類)
在留資格認定証明書交付申請・変更許可申請ともに、企業側が準備する書類が申請の核心を担います。以下が主要書類の一覧です。
| 書類名 | 入手先・作成方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 雇用契約書 | 企業作成 | 職務内容・賃金・勤務地・期間を具体的に明記 |
| 登記事項証明書 | 法務局(窓口・オンライン) | 3か月以内のものが有効 |
| 直近の決算書 | 税理士・経理部門 | 損益計算書・貸借対照表。直近1〜2期分 |
| 法定調書合計表 | 税務署提出済みのもの | カテゴリー(1〜4)の判定に使用 |
| 採用理由書 | 行政書士と協力して作成 | 学歴との関連性と採用必要性を具体的に説明 |
| 業務内容説明書 | 企業作成 | 日常業務の内容・割合を具体的に記載 |
| 会社パンフレット・会社概要 | 企業保有 | 事業内容が明確に示されているもの |
採用理由書は審査において特に重要な書類です。「なぜ日本人ではなくこの外国人を採用するのか」「この業務に学歴・専攻がどう活かされるのか」を具体的かつ説得力をもって説明する必要があります。行政書士と連携して作成することを強くお勧めします。
本人側が準備する書類と入手先
採用候補者(申請人)側が準備する主な書類は以下のとおりです。
- パスポートのコピー:顔写真ページ・入出国スタンプページ
- 最終学歴の卒業証明書・成績証明書:海外大学の場合は英語または日本語訳が必要。取り寄せに2〜4週間かかる
- 職歴証明書(在職証明書):前職がある場合は前職会社が発行。海外機関の場合は英語または日本語訳
- 資格証明書:ITパスポート・語学資格・業務関連の資格など
海外の大学や機関から証明書を取り寄せる場合、国によっては1〜2か月かかることもあります。採用が決まり次第、すぐに手配を開始してください。
2025年6月以降:入国前結核スクリーニング証明書の義務化
2025年6月以降、以下の国籍者が日本に入国する場合、現地の指定医療機関での結核検査を受け「結核非発病証明書」を取得・提出することが義務化されました。
- 2025年6月23日〜:フィリピン、インドネシア、中国、ミャンマー、ネパール国籍者
- 2025年9月1日〜:ベトナム国籍者
証明書の有効期間は胸部レントゲン撮影日から180日です。指定機関での受診から証明書発行まで2〜4週間かかるため、認定証明書の申請と並行して手配を開始してください。この証明書なしでは査証申請が受理されません。
行政書士に依頼する最適なタイミング
海外在住者:内定後すぐが鉄則(最低6〜9か月前)
海外在住者を採用する場合、内定を出したその日のうちに行政書士へ連絡することを強くお勧めします。内定から入社までに必要な期間を逆算すると、その理由は明確です。
| フェーズ | 所要期間の目安 |
|---|---|
| 書類収集・申請準備 | 1〜2か月 |
| 認定証明書の審査期間(地方入管) | 1〜3か月 |
| 認定証明書の審査期間(東京入管) | 5〜7か月(2025年実態) |
| 査証申請〜入国 | 1〜2週間 |
| 合計(東京入管) | 最短でも6〜9か月 |
繁忙期(1〜3月)の入社を希望する場合は、さらに1〜2か月の余裕が必要です。たとえば4月入社を目指すなら、前年の7〜8月には行政書士への相談を開始することが理想です。
国内在住者:入社希望日の3〜4か月前に依頼する
国内在住者の変更申請は海外在住者より短期間で完了しますが、それでも余裕を持った準備が必要です。
- 書類収集・申請準備:2〜4週間
- 在留資格変更許可審査:40〜60日(繁忙期はさらに延長)
- 合計目安:2〜3か月
4月入社の留学生に対しては、出入国在留管理庁が「12月1日〜1月末の間に申請してください」と公式に呼びかけています。それ以前、つまり11月頃には行政書士への依頼を開始し、書類準備を進めることが望ましいです。
依頼が遅れると何が起きるか
行政書士への依頼が遅れることで発生しうるリスクをまとめます。
- 入社日の遅延:手続きが間に合わず、内定者に入社延期を告げることになる
- 認定証明書の有効期限切れ:取得後3か月以内に入国しないと失効し、再申請が必要
- 不法滞在リスク:変更申請が在留期限後になると、本人が不法残留状態となる可能性
- 不許可後の再申請:書類不備による不許可後の再申請は、原因分析・書類再整備で1〜2か月以上追加でかかる
在留資格手続きでよくある失敗事例
失敗例1:東京入管の審査期間を「1〜3か月」と思い込んだ
出入国在留管理庁の公式ウェブサイトには標準処理期間として「1〜3か月」と記載されています。しかし、2025年の実態データでは東京入管の技術・人文知識・国際業務ビザの認定証明書審査が約7か月かかっています。
「公式発表を信じて3か月前に申請したら、入社予定日になっても許可が下りなかった」というケースが多発しています。特に東京に本社を置く企業は、実態に基づいたスケジュール設定が不可欠です。
失敗例2:学歴と業務内容の関連性不足で不許可
在留資格の申請において最も多い不許可理由のひとつが、採用候補者の学歴・専攻と従事させようとする業務内容の関連性が認められないケースです。
- 情報システム専攻卒業者をホテルの客室清掃業務で採用しようとした→不許可
- 文学部卒業者を製造ラインの品質検査作業で採用しようとした→不許可
- 「翻訳・通訳業務」として申請したが実態は単純な電話受付業務→不許可
採用理由書で業務内容と学歴の関連性を具体的に説明できない場合、不許可リスクが高まります。事前に行政書士に相談し、業務設計の段階から関連性を確保することが重要です。
失敗例3:書類不備・遅延で入社日に間に合わなかった
海外在住者採用で特に多いのが、書類収集の遅れによる申請の後ろ倒しです。
- 海外大学への卒業証明書請求に2か月かかり、申請自体が大幅に遅延した
- フィリピン国籍の採用候補者の結核スクリーニング証明書の取得を失念し、査証申請が受理されなかった
- 採用理由書の内容が不十分として入管から補正を求められ、1か月以上の審査遅延が発生した
これらの失敗は、いずれも行政書士に早期に依頼していれば防げたケースです。「書類の収集漏れリスト」や「スケジュール管理」は専門家のサポートが有効です。
行政書士に依頼するメリット
申請取次権限で本人・担当者の出頭が不要
申請取次の認定を受けた行政書士(申請取次行政書士)は、外国人本人や企業担当者に代わって出入国在留管理局に出頭し、申請手続きを行うことができます。
- 外国人本人:平日に有給を取得して入管に行く必要がなくなる
- 企業担当者:申請のたびに入管へ出向く工数(半日〜1日)が不要になる
- オンライン申請にも対応し、書類の電子提出から補正対応まで一括対応
複数の外国人採用が重なる場合や、入管が遠方にある企業では、申請取次代行による工数削減効果は特に大きくなります。
最新制度変更への対応と不許可リスクの低減
2025〜2026年は在留資格制度の変更が相次いでいます。行政書士はこれらの最新情報を常にキャッチアップしており、適切な対応を提案してくれます。
- 2025年6月:入国前結核スクリーニング証明書の義務化(フィリピン・インドネシア等)
- 2025年4月:在留資格申請手数料の改定・オンライン申請優遇
- 2026年4月15日:技人国申請における日本語能力要件の追加
また、採用理由書・業務説明書など審査に直結する書類の作成を専門家が担うことで、書類の精度が上がり、不許可リスクを大幅に低減できます。不許可になった場合の再申請サポートも、行政書士に依頼できます。
費用相場と依頼のコストパフォーマンス
行政書士への在留資格申請依頼の費用相場は以下のとおりです。
| 申請の種類 | 費用相場(1件) |
|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 8万円〜15万円 |
| 在留資格変更許可申請 | 6万円〜15万円 |
| 在留期間更新許可申請 | 3万円〜6万円 |
外国人採用にかかる採用コスト(求人広告・エージェント費用など)は一般的に50〜100万円以上になることも多く、行政書士への依頼費用はその一部に過ぎません。内定辞退や入社遅延のリスクを最小化するための投資として、行政書士の活用は合理的な選択です。
ポイント: 当事務所では、外国人採用の在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請を豊富な実績をもとにサポートしています。内定後すぐにご相談いただくことで、入社日に間に合うスムーズな手続きをご支援します。まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。


